2018年10月30日火曜日

小説紹介:「空中ブランコ」がなかったら、今も漫画しか読んでいなかったかもしれない

ひさしぶりに小説紹介。時間のある夏ってすばらしいが、あっという間に終わってしまった。

奥田英朗さんの小説が好きである。そもそも子供のころから活字が大っ嫌いだった(←どこかで書いたかもしれない・・)。

自分の親に勧められた本は、夏目漱石とか井上靖とか森鴎外とか・・・。べつにそれがダメではないが、小学生が授業でやるには良いと思うが、それを名作だ!楽しめ!と言われても困る。正直、今読んでも自分の好みには合わない。名作なのかもしれないが、絵画と一緒で、「そんなの個人の趣味だろ」としか思えない。

ということで、ちょっとミステリーを読んだくらいで、大学生までは全く活字をあまり読まず、漫画の方が多かった。

ところが、2004年に状況が一変する。大学院生のころである。

奥田英朗さんの「空中ブランコ」という作品が直木賞を受賞した。空中ブランコwiki

この作品は、テレビドラマ化もされたので非常に有名である。

伊良部という太った精神科医が、めちゃくちゃな方法で患者を直していくオムニバス形式の物語である。

この作品は、完全にコメディで本当に笑える。それでいて、ぐさっと心に刺さる部分が突然訪れる。

それまで、文学って退屈なもの・・・と思っていたのに、「え!直木賞作品ってこういうのありなのか!?」と衝撃を受けたのを覚えている。

この作品以来、「なんだ、娯楽として本を読んでいいんだ!」ということに気づいた。当たり前なのかもしれないが、国語の授業のようなものばかり押し付けられていた自分には、かなりの衝撃だった。

そこからはその反動でいろんな小説を読んでいる。

ということで、この空中ブランコがなかったら、今も漫画ばかりだったかもしれない。

自分の中で、小説に目を向けさせてくれた重大な作品である。

2018年10月29日月曜日

I.F.を気にすることはいけないのか?

少し前の話だけれど、I.F. (インパクトファクター)という言葉がドラマにも出てくるようになったらしい。



I.F.は、過去2年間(または過去5年間)の引用総数を、出版論文数で割った数である。論文雑誌(ジャーナル)の格付けに使われている。

要するに、良い論文はたくさん引用されるはずであり、たくさん引用される論文が掲載されず雑誌は良い雑誌である、という論理である。

Cell, Nature, Scienceなどの有名雑誌はI.F.が高い。

著名な雑誌以外を選択するときには、I.F.が高いかどうかを見て、投稿するか否かを決めることもある。

このI.F.には批判があり、その中の1つは、たくさん引用されればよいのか?というものである。これはI.F.という雑誌その指標だけではなく、個別の論文の被引用数を指標とする場合も同様である。

実際、I.F.や被引用数を上げるために、自分たち(雑誌に関連する人たちや著者自身)で引用をしまくるということが行われている。こうして、I.F.や被引用数が釣り上げられていることも多い。

ということで、I.F.は世界的にものすごく批判されている

ただし、そういう批判の中でたまに目にするのが、

「I.F.を気にする人は、I.F.ばかり気にして、論文の中身を見ていない」

というものである。

そういう場合もあるかもしれないが、この批判は少し違っているように思える。

なぜならば、I.F.に高い雑誌に掲載させるためには、「ものすごく中身を充実させなければならないから」である。

うちの研究室でも、最近はI.F.が2~4、せいぜい5くらいの論文が増えてきてしまった。実際に出してみるとわかるが、I.F.が5, 6以上になると、途端に難しくなる。

これ以上の雑誌に投稿する場合には、少なくとも論文2本分以上のデータを費やしている

極端な例かもしれないが、自分の例を1つ。

The Plant Journalという植物ではそれなりに格式のある雑誌に論文を掲載したことがある。

この論文に使ったデータは、実は別の2本の論文としてすでにほぼ完成の段階まで作られていたものであった。

2つの論文を作成し、なんと英文校正までかけて、さあ投稿しよう!という段階であった。

ところが当時のビックボスより、「まとめて良い雑誌に出しなさい」という神の声(?笑)があり、1つにまとめてThe Plant Journalに出した。1つにまとめるにあたり、そのまま長くするのではなく、無駄な部分をそぎ落としまくって、濃縮することになった。これが結果的にとても良かったと思う。だらだらした論文なんて読みたくないので。

The Plant Journalよりももっと良い雑誌に掲載しようと思えば、さらにデータが必要が必要だったり、新規性が必要である。下手すれば論文3本分、4本分のデータを濃縮して費やしているものもあると思う。

なので、I.F.にこだわることはよくないと思うが、世界的な批判の波に乗って、I.F.にこだわる人は中身を見ていない」と結論づけるのはまったく正しくないと思っている。

さらに、I.F.が批判されるあまり、論文の本数そのものや、h-indexや個別の引用数などを指標とする動きもあるが、これらがI.F.よりもフェアであるという論拠を見たことはないし、結局は流行り過ぎればI.F.と同じ道をたどると思う。

むしろ、h-indexや引用数の方が、とにかく論文を量産して、引用しまくれば上がっていく。全然フェアではない。

I.F.はだめだけれど、引用数やh-indexは良い!なんて言っている人を見かけたら、おそらく自分がその指標を使った方が有利なだけだと思って良い。

ということで、(指標にこだわるのがそもそも間違いであるというのは当然のことだが)、I.F.の高い雑誌を目指している人を、論文の中身を考えない人とするのは的外れな批判であると思っている。

そもそもこういう議論が巻き起こる原因はなぜかといえば、ようするにマウンティングからくる感情論だと思う。しょうもない勝った負けた程度の話に起因することが多い。

なので、指標はそれほど気にせず、まあ、良い雑誌に通った人がいたら、素直におめでとうと言えばそれで良い気がする。I.F.の高い雑誌には良い論文も多いので、それを全否定してしてしまうのは、I.F.しか見ないことと同義であると考えている。

気にしていない、気にしていない、と必死に言い続けるのは、気にしている証拠である。自分は、適度に気にして、内容を良くして、せっかくならばレベルの高い雑誌に掲載したいと思っている。

2018年10月28日日曜日

社会人になるって・・・

研究室発足から3年半経った環境バイオテクノロジー研究室。研究室の学生も立派な社会人として働いている。

卒業式では、「仕事は恐ろしく大変・・・」みたいなことを先生たちは、言葉を変えて伝えている。これは脅しではなく、やっぱり仕事というのはとても大変なものだと思っている。

一方、大変なだけかというとそれも全く違う。正直、学生時代よりも働いているときの方が楽しい。

その理由はなぜかというと、
1. 学生ではないので、自分の裁量が増える。
2. ポジションを得ていくと、世界が広がって、仕事をしていなければ出会わないような人たちと会うことができる。
3. 仕事を通して、いろいろな夢を持つことができる。

特に今、研究はかなり良い方向に進んでいる。もちろん、研究というのはすぐには進まないのだけれど、少しずつ、しかし着実に進んでいる。

そうすると、いろいろな研究機関や企業の方とお話をする機会が増える。

特に最近、いろいろな企業の方とコラボする可能性が広がっていて、とても夢のある状態になっている(すでに2つの会社とは共同研究を進めている)。

社会人になって仕事をすることはとても大変なのだけれど、頑張ると良いことも増える。頑張らないと良いことはやってこないし、頑張ってもなかなか良いことはやってこないのだけれど、それでもねばって続けていると、道が開けることがある。

こうした少しの希望を求めて、今日も仕事をしているのだと思う。



2018年10月27日土曜日

ポスドク問題への反応。。

先週までポスドク問題についての私見を書いていた。
https://environbiotechnology.blogspot.com/2018/10/no1.html

解決策はあるのか?と書いたが、そんな簡単な解決策などあるはずもない。感想みたいな記事になってしまったかもしれない。

さて、内容の問題もあるだろうけれど、ポスドク問題の記事を書いてみたが、ブログのアクセス数はさっぱりだった。

ブログのアクセス数で多かったものが、給料の話や研究室の話、最近では学振の話も結構反応があった。こういうものと比べ、全然反応がないのがポスドク問題の記事であった。

なぜかと考えれば簡単で、ポスドク問題に関係するのは当然ポスドクおよび任期付きの研究員やテクニカルスタッフ、派遣職員などに限られている

そう、ポスドクなどの給料が低く、待遇が悪くても、当事者以外は全く興味がないようである。当たり前と言えば当たり前かもしれない。

だれかがツイッター上でつぶやいていたが、「自分が民間企業に就職した瞬間、ポスドク問題とか大学にお金がないとかいう問題がどうでもよくなった」というものがあった。やっぱりそういうものだろう。別に研究界隈だけが苦しいわけではないので。

ということで、単に「予算をもっとください!」と叫んだところで、何にも効果はないことだけはよくわかった。そんな文章を書いても読まないで終わるだけだと思っている。もっと具体的に実行しなければならない。

自分についても、また研究に新しい展開が見えている。もっともっと頑張って、基礎研究の現場に人や予算が集まるように頑張りたいと思う。微力ではあるが、チャレンジは続ける。諦めたらそこで試合終了なので。

2018年10月26日金曜日

本気を出すと人は集まる。鶴岡の本気を見た。

先週メタボロームシンポジウムに参加した記事を書いた。
https://environbiotechnology.blogspot.com/2018/10/blog-post_20.html

このシンポジウムは、毎年開催され、隔年で鶴岡市で開催される。鶴岡市はメタボロームの拠点である。

慶応大学、理化学研究所、ヒューマンメタボロームテクノロジーズなどの会社が中心となってメタボロームの一大拠点となっている。

他にもアジレントテクノロジーズ、国立がんセンター、スパイバー、鶴岡高専もキャンパス内にあるなど、まさに素晴らしい研究環境である。

それだけでない点が、街をあげてメタボロームを推進しようというところである。

この鶴岡での会議だけれど、非常に豪華である。

ランチョンセミナーという無料のランチがこちら。
山形牛の上にいくらが乗っている・・・

懇親会も、肉料理に魚介類、生ハムの切り落としに、マッシュルームのスープ。そして、山形の郷土料理である芋煮が2種類もあった。
大きな里芋に牛肉、こんにゃく、キノコなどが贅沢に入っている。こちらは内陸風の芋煮で、すき焼きの味が近い。庄内風の芋煮は味噌仕立てであり、一口に山形の芋煮といっても全然違うものだった。

また、日本酒も地元の酒蔵が来て冷おろしの新酒を大盤振る舞い。まさに街をあげて会を盛り上げようという本気を感じた。

こういう姿勢から、やっぱり、本気を出すと人は集まるなと強く感じている。

研究プロジェクトだってそうだけれど、「絶対にやる!」という姿勢だと協力者も集まる。

一方、「うーん、難しいかもしれない・・・」、「いやいや、これくらいが限界ですよ・・・」なんて逃げ腰だと、周りも本気では協力してくれない。

当たり前のようだけれど、これはとても大事で、大人になるとついつい逃げる言い訳を作ってしまう。自分も油断をすると、今での状態を自己正当化して、満足してしまう。

こういう鶴岡市の本気なシンポジウムを体験し、4年前と比べて人が多くなっている組織を見ると、本気を出すこと、挑戦することの大事さを思いだす。

そういう意味からも今回は本当によい会だった。逃げる言い訳を作らずに、目標に向かって本気で挑戦しなければと決意を新たにしてくれた会だった。

2018年10月25日木曜日

おめでとうと言えるだろうか?

勉強にしろ研究にしろ仕事にしろ、すぐにうまくいくものではない。うまくいかない時に、隣の人がうまくいくと、内心は落ち着かない。

自分だけがダメなのだろうか、差をつけられてしまったかという気持ちが芽生える。だれでも経験があるのではないかと思う。

研究業界でもそうで、良いデータを出したり、論文が採択されたとしても、喜ばれるとは限らない。いや、正直、正確に言うと、喜んでくれる人の方が少ないのはないかと思う。

大学院生の時からそうだが、自分の論文が通った時のリアクションをみると様々である。

もちろん、おめでとうと言ってくれる人もいるが、残念ながら「ちっ!」みたいな不機嫌なリアクションをとってくる人も少なくない。学生の時だけでなく、研究を仕事にするようになってからも同様である。

誰しも人の成功は、羨ましくもあり、嫉ましくもあり、悔しくもあるものだと思う。それが自然だと思う。

しかし、それをぐっと我慢して、「おめでとう」の一言くらいいうのが大人なのではないかと思う。

ところが、こんなこともできない人は少なくない。なので、自分の中のルールとして、人におめでとうと言えない人間とは疎遠になることにしている。仕事の関係もなるべく関わりを減らすようにしている。

なんかコミュニティーから外されるのではないか?みたいに恐れて、嫌な人とも我慢して付き合ってしまう人は結構多いと思う。

しかし、実際にはそんな嫌な人が多いコミュニティーにいても大した得はない。さっさと出る方がよほど自分のためである。

ということで、自分は仕事関係で付き合う人を選んでいる。そうすると、正直、とても快適である。

ブラック企業の問題にも通じると思うが、嫌な人が多いコミュニティーからはさっさと脱出してしまうのが得策だと思う。もちろん、すべての人が素晴らしいコミュニティーなんてないけれど、おそれずに合わないコミュニティーから脱出してみると、「なんで今まで我慢していたんだろう?」と不思議な気持ちになると思う。

2018年10月24日水曜日

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.8

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No. 8である。

さて副業の話をしてきたが、これまでを7回の話をまとめると、

その1 獲得した研究費をなるべく人件費にまわす

その2 テーマを柔軟にして、企業とのコラボを増やす

その3 文章作成能力を活かすこと、知財を生かして特許などの知財で稼ぐこと

を挙げた。うーん、タイトルでは解決法としてしまったが、焼け石に水感は否めない・・・。


ただし、その1、その2はすでに実行しているし、現在は企業の研究費で雇用していないが、それなりの予算である。また、コラボしている間に、企業のマインドも多少なりとも身についていくことも重要だと思う。世界が広がると思う。

その3はこれから拡大していきたいと思うが、うまくいけば悪くはない収入になると思う。これは自分のアイデア次第だと思う。

(まだたった4年前だが)自分が任期付きのときも思ったが、ポスドク問題って結局当事者しか本気になっていない。苦しいのはアカデミアだけでなく、保育園の先生の待遇も問題だし、小学校〜高校の先生の激務も問題だし、介護の人手不足も有名だと思う。シャッター商店街なんてどこでもあるもので、個人商店の経営だって楽ではない。大手企業ですら、一寸先は闇である。

なので、「苦しい、助けて!」と、いくら叫んでいても仕方がないことだけは自覚した。なので、上の通り必死に抵抗はしている。他にも資産運用(株を買ってるだけだけど)などをやっているのだが、おすすめになってしまうとよくないので、紹介はできない。

大事なことは、自分で稼ぐ方法を考えて、研究とうまく融合していくことだろうか。研究って本来自由なはずなのに、いつの間にか自分のテーマに固執し、それ以外を排斥しようとしてしまう。しかし、世の中には面白いことはたくさん転がっている。稼ぐことと研究をすることが相反することと考える必要はないと思う。

基礎研究の楽しさを忘れずに、どうやったら稼げるかを模索していくことは、今の自分のライフワークでもある。お金に余裕があると、心にも余裕が生まれるので、研究者貧乏なんて言わずにうまく研究と融合していきたいと考えている。

2018年10月23日火曜日

新潟でへぎそば

今回のメタボロシンポジウムは山形県鶴岡市で開催された。いつもなら当然飛行機で行くのだけれど、よくよく調べると陸路があった。

東京 → 新潟 → 鶴岡

という経路で、東京-新潟間は新幹線、新潟-鶴岡間は特急だった。時間は飛行機よりも多くかかるのだけれど、乗り継ぎや飛行機の待ち時間次第では飛行機に近いレベルで到着できることがわかった。

ということで、今回はじめて陸路を試してみた。

途中の新潟で、早めのランチを。
新潟といえば米、魚介類、日本酒などおいしいものがたくさんある。昼から日本酒を呑むわけにはいかなかったが。笑

この日食べたのは、新潟名物”へぎそば”。へぎそばは、つなぎに海藻を使うという珍しいそば。上のような独特な細長い長方形のざるに盛られている。

つなぎに海藻が使われているせいか、より喉越しがつるっとしているというか、若干ぬめっとしているというか、とにかくさくさく食べてしまう。写真は1.5人前だったのだけれど、いくらでも食べられそうな錯覚を覚える。

ということで、学会に行く途中でランチ。普段なかなか行かない場所に行けるのも、学会のいいところである。。

2018年10月22日月曜日

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.7

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No. 7である。

ポスドク問題とは、博士研究員(ポスドク)、さらには技術員(テクニカルスタッフ、テクスタ)、派遣職員、パートタイマーなどの不安定な雇用のことである。

その3は副業の話で、この業界は仕事は楽しいので、要するに稼げてしまえば問題解決である というマインドで話している。まあ、そんなことが簡単にできたら苦労しないのだけれど・・・

文章を書いてお小遣い稼ぎはできるかもしれないというのが前回の話。

では他には何かあるだろうか?

副業といっても研究で忙しい。副業で時間や労力を使ってしまったら元も子もない。本末転倒である。なるべく本業を邪魔しないものがよい。

本業と直結するものとしては、特許がある。研究で得られた新しい技術や製品で特許を取るのは、研究の一環でもある。

では特許で稼げるのかという話だけれど・・・・

とても凄い成功例を除くと、やはりお小遣いくらいかもしれない。でも、研究には必要なので仕組みを。

勘違いしている人が多い点として、特許出願でお金がもらえることが挙げられる。特許で大金持ち!なんてイメージが先行しているが、実際にはいろんなステップがある。

新しい技術や製品が生まれたら、まずは特許出願をする。明細書という難解な言葉で書かれた資料を作成しなければならない。この仕事は弁理士に頼むことが多いと思う。頑張って自分で書いている人もいるかもしれないが(正直、なぜあのような難解な言葉を使わなければいけないのか、理解ができないが)。

この特許の資料は特許明細書、あるいは単に明細書と呼ばれている。

これを作成して、特許庁に出願する。さらっと「作成して」といったが、弁理士に自分のデータを説明し、図表も作らなければならない。なかなか大変。2、3ヶ月はかかる。

これが終わると、特許事務所から特許出願をしてもらう。これにより、特許出願が成立する。特願2018-XXという番号がつく。これが特許出願である。正確には、日本国内への特許出願である。

ここで勘違いしているのが、これは特許出願であって、まだ特許を取得したわけではない。このシステムはややこしくて、自分もよくわからないが。

特許を出願した後は、1年間の追加出願が可能である。ようするに新しい技術ができたときに、内容を追加することができる。

ただし、出願をお願いするにも、追加にもお金がかかる。大学や研究機関の予算、研究費などで支払うことになる。

特許出願のあとはどうするかというと、外国へも出願するかどうかを決める。外国へは個別にもできるが、PCT出願といって、特許に関する条約に加盟している国々に、まとめて出願するのが一般的である。こちらも弁理士に明細書を作成してもらう。

当然だが、ここでも明細書の作成費用とPCT出願の費用がかかる。

さらにこれが1年くらいすると、特許の登録をするかどうかの判断になる。各国移行とも言って、ようするに、日本やその他の国で特許を取るかどうかという話になる。一般のイメージで言う「特許を取る」というのは、これが成立したときのことである。

特許の登録は、1つ1つの国で行う。当然、翻訳が必要である。弁理士などにも頼むことになるが、英語のチェックは必要になる。

この資料が準備できたら、それぞれの国の特許庁に申請をする。

しかし、まだこれでは通らない。

なんと半年〜1年半も審査に時間がかかる。

そして、すぐに通るわけではなく、審査なので、「この部分は新規性がない」「この部分は削れ」などの要求がくる。これに反論することになる。論文のバトルに似ている。

これが終わって、晴れて特許登録となる。人によると思うが、自分の場合は、特許出願からだいたい4、5年後にやっと特許登録となる。もう、いつのデータだよ・・・レベルである。

副業の話だったが、どこでお金が入るかというと・・・・ここまでの話では、本来は1円もお金は入らない。むしろ払う一方である。

ただし、大学や研究機関が、「特許出願するとXX円」、「特許登録するとXX円」とインセンティブをつけていることがある。これで少し収入になる。

本物の特許収入としては、特許が登録に至り、ライセンス契約をしてくれたり、権利を買ってくれて、やっと収入になる。

基礎研究をしているとなかなか難しいかもしれないが・・。

とはいえ、分子生物学や生化学を基盤としている自分でも、一部権利を買ってもらったこともなる。給料ほどにはならないが、お小遣い程度が単発でくることもある。

時間がとても長くかかるが、研究の一部でもあるし、知的財産でもあるので特許はおすすめである。ただし、労力は結構かかる。

No.8に続く。

2018年10月20日土曜日

メタボロームシンポジウムがすごかった・・

鶴岡で開催された第12回メタボロームシンポジウムに参加してきた。

http://mb2018.iab.keio.ac.jp/

キリンビール株式会社吉田先生にお声をかけてもらい、先生が座長を務めるシンポジウムでの発表であった。聴衆は200人を超えていた。シンポジウム参加者は350人だったそうである。

たしか4年前に開催されたメタボロームシンポジウムでも発表をした(6年前だったかもしれない。。)。

その時の印象とは全然違う。。

少し前のメタボロームのシンポジウムというと、メタボローム技術の進展を報告することが多かったように思う。キャピラリーをこれこれこうすることで、分離能がよくなりました・・などが多かったように思う。

また、メタボロームのデータにしても、ヒートマップや統計解析などがあっても、クリアになんらかの結論を出せることがなかなか難しかった印象がある。

ところが今回参加してみて、驚いた。

メタボローム技術の発展に加え、最近のインフォマティクスやデータサイエンスの発展もあるかもしれない。はるかにデータが蓄積しており、きっちりとした結論が出ている研究が多かった。

また、大学や研究機関、分析メーカーだけでなく、製薬会社、食品会社、電機メーカー、化学メーカーなどなど多種多様な企業が参加していた。メタボロームが広がってきた証拠だと思う。

前に参加した時は、参加者は200人にみたなかったのではないかと思う。今回は参加者が予想を超えて増え過ぎてしまい、急遽外にサテライト会場を作ったそうである。いまどきこんな研究会はなかなか聞いたことがない。

ご発表された方々のレベルもとても高く、めちゃくちゃ面白かった。いや、こんなすごい方々の中で発表の機会を与えていただき、本当に光栄であった。自分の研究についてもとても素晴らしい意見をたくさんいただいた。また、企業の方々ともたくさん知り合いになった。

食べ物も美味しかったけれど、それはまた別の記事で。

今回のメタボロームシンポジウム、信じられないほど有意義だった。本当に感動。すばらしかった。

記事が参考になったら、下記のクリックをお願いします!!

↓ブログランキング大学教育部門1位をキープ中!

大学教育ランキング


ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.6

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.6

前回は、その3で副業で稼ぐというもの。その続き。

研究者と言えば文章を書く仕事といってもいい。なので、これで稼げると一番良い。

ごくたまに勘違いしている人がいるのだけれど、学術論文を書いてもお金はもらえない。というか、むしろ掲載料を支払う(自腹ではなく、主に研究費から)というひどいシステムになっている。。。最近、この掲載料が高騰しすぎて、世界的に問題になっているが、その話はまた別の機会に。

一方、商業誌に記事を依頼されることがある。自分の場合だと、環境、プラスチック、素材などの専門誌である。月刊誌のようなものが多いだろうか。非常に専門的なので、コンビニはもちろん、おそらくよほど大きな本屋にしか置いていないものだと思う。

自分だとバイオプラスチックや水素の話なんかの記事を依頼されることがある。

こういう記事は、だいたい誌面にして5ページくらい。文字数にすると、図表を含めて1万字くらいだろうか。図表を除くと6000~8000字くらいだと思う。

学会誌ではなく、商業誌だと原稿料が入る。それでだいたいいくらくらいもらえるかというと、8000円〜2万円くらいである。

ただ、こういう文章を書くのにどれくらい時間がかかるかというと・・・・ゆっくり書いていたら時給1000円を切ってしまうかもしれない。なので、文章を書くスピードが命である。

しかし、図表なんかを作るだけで数時間経ってしまうし・・・かなり大変である。

ということで、すごく儲かるかというとかなり微妙だと思う。さらに、依頼があったときだけなので、単発の仕事である。まあ、お金よりも、自分の仕事を少しでもいろんな分野に知ってもらうという側面が大きいかもしれない。

注意して欲しいのは、悪質な出版社がある点である。

原稿を書かせておいて、原稿料を支払わないところもある。ひどいところは、なんと掲載料を要求するというところすらあるとのことである。

自分は後者に出会ったことはないが、前者はいくつかある(断ったので書いたことはない)。ただで書かせて、それを売ろうとするところがある。(雇用契約がないのでグレーゾーンだけれど)ただで人に仕事をさせるのは違法である。

なので、必ず原稿料がいくらかをはじめに聞くことにしている。日本人はこういうところを変に遠慮をすることがある。そこをつかれて騙されることがあるので、絶対に原稿料を聞いた方が良い。仕事をして対価を要求するのは、全く恥ずかしいことではない。

誤解のないように言っておくが、あくまで商業誌の話であって、学会誌からの依頼は無料でももちろんかまわない。

ということで、焼け石に水程度ではあるけれど、原稿を書いて稼げることもある。多少のお小遣いにはなるかもしれない。

No.7へ続く。

2018年10月19日金曜日

やる気を持続させるのも能力

10月に入り、秋学期も半月以上経った。少しペースが戻ってきた。

今年は7月末が忙しさのピークで、夏もバタバタとしていた。7月があまりにも忙しかったので、その反動でだいぶ仕事のやる気がなくなってしまっていた。やっと復活気味。

よくあるセリフだが、勉強でもなんでも「やればできる」という言い訳がある。もちろん、これは言い訳で、だれだってずっとやる気が持続すれば、勉強だって研究だって仕事だってどんどん進んで素晴らしい成果が挙がる。

でも、このやる気を持続させることが難しい。

大人になればなるほど強制されることが減ってくるし、サボっていても怒られなかったする。

でも、サボって成果が挙がらなければ、その後の進路や仕事の自由度が減り、待遇が悪くなる。気がついた時には手遅れになっていることも多い。

受験勉強などと違って、だんだんと明確な目標がなくなってくる。どこまで仕事をすれば良いのか?到達点はどこなのか?自分は十分に仕事をしているのか?と誰かに聞いてみたいところだが、誰に聞いても教えてくれる訳ではない。

自分で設定していかなければならない。そして、それをずっと続けていかなねればならない。

こういう手探りの状況の中で、やる気を持続させるというのはとても大変で、だからこそやる気を持続させることができるのは、立派な能力だと思っている。

自分もまだまだこの能力は上げていかなければと思うが、一方で、人生が仕事ばかりではつまらない。どのようなバランスで時間や労力を配分していくかが、とても大事である。

2018年10月18日木曜日

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.5

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No. 5。

任期制の研究者について、若手研究者でも実践できそうな解決策を。焼け石に水感はあるがそれでも抵抗を。

その3 副業で稼ぐ。
そもそもポスドクもテクスタも、仕事としては良い仕事だと思う。研究の仕事って、やりたい人がたくさんいる。だからこそ競争が激しい。

問題なのは任期制で1年契約なことと、相対的にあまり給料がよくないことだと思う。

それ以外は、例えば比較的時間も自由になるし、中身は面白いし、良い仕事だと思う。

これは研究者がよく言うセリフだけれど、「宝くじで1億円当たったら、自由になって研究に没頭したい」などがある。要するに、待遇の心配がなければ、かなり良い仕事だと思う(もちろん大変なことはたくさんある)。

宝くじだとさすがに運任せなので、やはり副業で稼いでしまうのが良いと思っている。副業については家庭の大問題でもあるので、育児ブログの方でもしてきたいと思っている。

さて、研究者の副業といえば何があるだろうか?
有名なものとしては、本を書くことだろうか。しかし、本はだいたい印税が10%(出版社による差は知らないけれど)。ようするに1000円の本を書いて1冊売れれば100円(とりあえず税金関係は無視するとして)。100冊売れてやっと1万円になる。1000冊売れて10万円。

さて、1000冊売れるだろうか。・・・ブルーバックスなどの有名なシリーズものならばともかく、専門書だとかなり大変である。

さらに本を書くには必要経費ももちろんかかる。中身をよくしようとすればするほど、正確性を上げようとすればするほど、時間がかかる。副業としてはかなりつらいところかもしれない。教科書的な本は、副業というよりは知の集積、学問への貢献の色合いが濃いかもしれない。

ちなみにこういうブログを書いているが、ブログをまとめたものならばよいのかもしれない。まあ・・・・だれが買うか!って感じだけれど笑。なので、世の中の人は炎上させたりして、注目を集めて必死なのだと思う。

また、このブログにも広告が出ていると思うけれど、このような稼ぎ方もある。ただし・・・稼ぎはポリシー上言えないけれど・・・まあ、察してください。よほど注目を浴びないと難しいです。だからこそ、過激なことを言ったり、わざと真逆のことを言って、必死に炎上させている人がいるのだと思う。

でも、こういう広告配信をやってみたい人用に、会を開いても良いかなと思っている。

なんか副業の話になったら長くなりそうだ・・・No. 6に続く。


2018年10月17日水曜日

そろそろ研究室案内の時期?

10月になり、そろそろ研究室を紹介していく時期かもしれない。

環境バイオテクノロジー研究室の案内は、下記の「研究室案内」のラベルを見てもらうといろいろ書いてあります。

研究室案内
とはいえ、だいぶ記事の量が膨大になってしまった。

そもそもこのブログを始めたきっかけは何かと言うと、情報共有のためである。

研究室の案内でも、だれもが知りたい質問、よく聞かれる質問(要するにFAQ)がある。

例えば、

Q. コアタイムはありますか?
Q. 研究テーマはどのように決定しますか?いつ頃決定しますか?
Q. アルバイトはできますか?
Q. 大学院に進学する人はどのくらいの割合ですか?

などである。

この間リンク集を作ったのでそちらをぜひ見てほしい。
研究室案内2018

研究室訪問の時にもちろん答えるのだけれど、これって情報公開しておけば、こちらは1回で説明は終わりだし、知りたい人も実際に訪問した時にいろんな質問をすることができる。

こうして、研究室案内の他に、ブログでは、レポートの書き方論文の書き方プロトコールなどを公開するようになった。これならばスマホですぐに情報にアクセスすることができる。

とはいえ、ブログもはじめて1年くらいになった。そうすると、カテゴリーも増え、カテゴリー内の記事も多くなった。こうなると必要な情報へのアクセスが悪くなる。

しばらくしたら、また方法を考えなければならない。現代は、情報をいかに整理するかが、本当に重要になった時代である。

2018年10月16日火曜日

修士の学生5人全員が論文投稿中という珍しい状況

今日論文を投稿したことで、5本の論文が投稿中になった。
5本も投稿中というのはさすがにはじめて。
たまたまだけれど、この5本は、
M2 3人
M1 2人
が筆頭著者で、つまり、

うちの修士全員がそれぞれ筆頭著者になっている論文である。

すばらしいことである。

さて、いつかの記事で書いたかもしれないが、こうして頑張っている学生は、決して楽な顔をしてはいない

論文投稿などを行って、世の中に出れば、あれば足りない、これが足りないと言われて責められる。そもそも、投稿前の教員が第一関門である。

実際には責められているわけではなく、これらをこなすことによって研究内容が良くなるとともにすごく成長しているのだけれど、責められているようにしか思えない。これが現実である。

そして成果を挙げても、おめでとうと言われるばかりではなく、心ない人からやっかまれたり嫌味を言われたりすることもある。それが人間社会ではあると思う。

いずれにせよ、成果を挙げて素晴らしいと思うが、成果を挙げている人は人一倍頑張っているからそうなっているのであって、決して楽しい顔はしていない。

それでも振り返れば充実はしているとは思うし、未来も開けてくると思う。

小山内研では、「心と体の健康が最優先」という言葉をよく耳にするはずである。学生やポスドク、テクスタによく言っている。

この言葉をよく使う理由は、「君たちはたくさん成果を挙げる人間たちなのだから、人一倍苦しい目に合う。だから人一倍心と体の健康を気をつけなければいけない」という意図である。

ということで、論文をたくさん投稿して素晴らしいとは思うが、そもそも投稿中が一番苦しいとは思うので、焦らず継続的に進めてほしいと思っている。

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.4

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No. 4。
任期制の研究者について、若手研究者でも実践できそうな解決策を。

その2 公的研究費以外を獲得する。

国の予算配分が変わればよいのだが、それはだいぶ上の方々の話。自分たちだと科研費やJST予算を獲得して研究を進めることになる。

しかし、誰かが予算を獲得せれば、誰かは獲得できなくなる。公的研究費を獲得しあっても、根本的な解決策ではないような気がする。

なので、全体の枠を増やすために公的な研究費(国や地方公共団体、独立行政法人からの研究費)以外を獲得するのが大事だと思う。

今はやりのクラウドファンディングも一般の方々から予算を集めるという意味ではこの方向だと思う。

あとは何と言っても企業からの予算だろうか。自分の場合も企業の研究費をいただいているので、ある意味では全体の予算を増やすことになっている。

もちろんだけれど、企業とコラボすると、テーマは限定される。好き勝手というのは不可能である。

でも、これは研究者側に言いたいのだけれど、別に科研費やJST予算で雇用されたとしても好き勝手に研究ができるわけではない。柔軟な修正が認められるというくらいである。

そもそも、「役に立たなくても興味があるからやりたい!」「世の中には面白いことがたくさんある!」というマインドで基礎研究をやっているのに、「自分のこれまでのテーマしかやりたくない」というのは少し矛盾しているのではないかと思っている。

自分はシアノバクテリアの転写がスタートだけれど、そのあと代謝研究に入ったし、次はシロイヌナズナだった。いつの間にか微細藻類に戻ったけれど、代謝工学で物質生産に変わってきている。そのほかにも最近は純粋な酵素の生化学から培養法の開発、企業のとの共同研究までいろいろやっている。

つながりは大事にしているけれど、いろいろ楽しめるのが基礎研究者ではないかと思っている。

実はポスドク問題でネックと感じているのが、自分のこれまでのテーマをやらせてほしい」、「自分のこれまでの技術を生かしたい」という固い考えである。

これまでのテーマに固執するあまり、企業予算だけでなく外部資金のテーマともあまり合わずに任期が続かない。これが結構多いように思える。

さらに付け加えると、その方法で生き残ってきた人たちが声高に「興味本位でやってきたらポジションを得た!」と言うので、それを真に受けてしまうことも多い。いや、一部の本当にすごい人たちはそれでやってきたと思うが、ほかの人たちはもう少し柔軟だと思う。

ということで、解決法その2としては、企業などから予算を獲得すること、そして、そのためには研究テーマの柔軟性を、研究者側も持って欲しいということだろうか。世の中には面白いことがたくさんあると思うのだけれど・・・。

加えて言うと、企業の人たちが金のことばかり言っているかというと、それは完全に間違い。これは強く言いたい。

企業の人たちも結構基礎メカニズムとか興味があって、自社で進めていたりする。基礎でいうとソニーの研究所なんてとても有名だけれど、他にも「趣味じゃないのか?」みたいな研究をしているところって、それなりにある気がする(企業なのでなかなか情報は表にはでないけれど)。アプトプットとして表に出せるかは企業によるのでなんとも言えないが。

しかし、企業=利益だけ考えるというのは、すごく狭い視野だと思う。

なので、企業の人たちと知り合いになってみると、意外に基礎研究を一緒にできるかもしれない。

No. 5に続く。

2018年10月14日日曜日

みなとみらいBioJapan2018で発表完了。

先週は、3日間に渡ってBioJapan2018というイベントが開催された。

横浜みなとみらいのパシフィコ横浜という大規模な展示会場で開かれた、バイオの展覧会である。アジア最大級らしい。大学、研究機関、企業、地方公共団体、大使館などが出展する華やかなイベントである。

今回は、明治大学とはなっているものの、JST-ALCAの代表の一人として出展した。ポスター1枚に展示物、それに15分間のブースでの発表だった。
隣は経済産業省のNEDOやドイツのブースだったが・・・・

お金のかけ方が違う。。

さらに企業ブースはお酒を振舞っていたり(飲まなかったけれど)、無料のTシャツを配っていたりと派手だった。

いや、もったいないので、無理に予算を使う必要はないと思うので、こちらはこれでいいと思うが、お金の力ってすごいなと実感する。。。

ここで微細藻類を用いたコハク酸、フィコシアニン生産をアピール。コハク酸が大事であることは、化学メーカーの人はよく知っているのだけれど、それ以外の人にはあまり馴染みがない。そんなに競合がいなくて、我ながらとても良い目の付け所だと思っている。

フィコシアニンについても青い綺麗な色素は目を引くので、とてもよい。なんとか使い道が見つかると良いのだけれど。

JST-ALCAの研究もアピール。とはいえ、難しい話は全部削除。いきなりRNAポリメラーゼが・・・とか言われても困るだろうし。学会ではなく、BioJapanなので、話し方は全然違う。こういうのも良いトレーニングである。

ちなみに発表には、ブログとかツイッターとか、インスタも登場した。SNSの使い方も立派な研究の一部。こういうのが単なる遊びだと思ったら大間違いである。。

この日のランチはタイ料理。他にもブログをQRコードでアピール。こちらは別のブログにて。

疲れたけれど、とっても楽しいイベントでした。。

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.3

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.3。

任期制の研究者について、若手研究者でも実践できそうな解決策を。

その1 研究費をなるべく人件費に使う。
そう、具体的な統計はでてこないのだけれど、日本は人件費ではなく、研究機器に予算を使うことが多いのではないかと思っている。

海外で研究した人が、「有名ラボでも結構古い実験機器をみんなで共有して使っている」と言っている。そもそも、アメリカだったら大学院生にも給与を支払ったり、学費すら研究費から支払わなければならないこともある。そもそも人件費に費やされるようなシステムになっている(のだと思う)。

ところが、日本だと、最近は結構ポスドク、テクスタも増えたが、一昔前の大学だとこういう人材は少なかった。自分が所属していた研究室も、卒業する2、3年くらい前まではポスドク・テクスタがいたことがなかったようである(いわゆる大学所属の技官はいたが)。

一番直接的な方法で、限られた予算は、なるべく人に使うというのが大事だと思う。

試薬とかちょっと高いの使うとすぐに数万円とか言ってしまう。少し節約して、半分で済む方法とか考えれば、あっという間に研究費が浮く。研究が滞るなら問題だけれど、進捗に問題のない節約法はいっぱいあると思う。こういう工夫をして、人件費に廻すのが良いと思っている。

ちなみにうちの研究室は、機器は十分揃っていると思うが、超高額機器はない。超高額機器はメンテナンスコスト・ランニングコストもすごいし、かなりの予算がないと廻せないので、最初から諦めて、人件費に廻すようにしている。

1つ大きな問題なこととしては、ごくたまに「人件費に使うなんてけしからん!」という人がいることである。直接自分が言われたわけではないが、「若手研究者が人を雇うなんて生意気!」と言っている人もいるらしい(だいぶ昔の話だけれど)。人にはこのような裏に隠れた本音がある。こういうのをうまく交わしていかなければならない。生意気!というなんとなくの感情だけで、人の雇用が失われているのだから・・・

話は逸れたが、限られた研究費を、なるべく人件費に使うというのは、一番直接的な解決法だと思う。ブログタイトルを「解決法」としてしまったが、少し言い過ぎか・・・貢献法くらいかも・・・まあ、このまま続けます。。

No. 4に続く。


2018年10月12日金曜日

学振DCに通らなくてハッピーだった話。

なんか学振の結果が出ているみたいなので、過去の話を。

学振とは、日本学術振興会のことである。英語の略だとJSPS。予算配分機関である。

なので、通常「学振」と言えば組織・機関のことなのだが、特別研究員制度を指すこともある。今日話題になっているのはこちらである。

学振DCとは、博士課程の大学院生が給料と研究費をもらいながら研究をできる制度である。毎月20万円。DC1というのに採用されると博士課程(博士後期課程)1年目から3年間、毎月20万円の給与がもらえる。

DC1の次がDC2で、博士課程の2年目から給与がもらえる。こちらも月額は同じく20万円だが、2年間になる。また、このDC2は博士課程の3年目に通ることもあり、この場合は博士課程3年目とポスドク1年の2年間もらえることになる。

ようするに、大学院生にとって学振DCが通るかどうかによって、大学院生としてのクオリティオブライフにものすごく差が出ると言える。

特に博士課程に進むと、同年代はみんな社会人としてお金を稼いでいる。そんな劣等感も吹き飛ばしてくれる制度なのである。

もちろん誰もが通るわけではなく、論文を書いて申請書を出し、審査を受けて合否が決まる。採択率はおよそ20%ということで、狭き門である。

この制度の応募は5月中旬から終わりである。DC1からもらいたければ、修士2年の5月に応募するということになる。

さて、今日のブログのタイトルは
「学振DCに通らなくてハッピーだった話。」
である。

自分の学振DCがどうだったかというと、現在PIになっているにもかかわらず、学振DCには通らなかった。そして、それのどこがハッピーなのか?という話である。


自分が大学院生の時どんな状況であったかというと、DC1には出したが、通らなかった。DC1には筆頭著者論文が1本あると、かなり確率が高いと言われている。しかし、申請時期である修士課程2年の5月には論文はなかった。

続いてのチャンスはDC2。DC2の1回目の応募はいつかというと、博士課程1年の5月になる。

しかし、このころは、論文を投稿はしていたが通っておらず、実験と論文で死にそうだった。いや、例えではなく死にそうだった。ということで、応募すらしなかった

そして、次のDC2の応募は、博士課程2年の5月になる。

・・・応募しなかった。

このころになっても1本目の論文がずっと通らずに疲れ果てていた。しかし、そうこうしているうちに2本目の論文投稿となっていた。投稿したのが確か博士2年の4月くらい。という状況で、2本の論文を投稿やリバイスなどで戦っていたのだけれど、通ってはいなかった。なので、論文ゼロ。実験に集中という感じで応募しなかった。いや、疲れていただけかもしれない笑。

その後、6月に論文がいきなりJBCに通り、長年かかっていた論文が8月にもう一本JBCに通った。ずっと苦しかったのに、なんだこの展開??と自分でも不思議だった。博士課程2年目の夏のことである。

なので、もう少し頑張れば応募の5月のDC2に間に合ったかもしれない筆頭著者論文があったら迷わず出していたことだと思う。いずれにせよ、論文が長い間通らなかったので、結局学振DCは取れず終いだった。


しかし、である。


何がラッキーだったかというと、実は論文が5月に間に合わず、学振DCが取れないことによって、百万円以上得をしてしまった。

おいおい、何を愚かなことを、と思うかもしれない。しかし、事実である。

どういうことかというと、以下の通りである。

自分は、博士課程の3年間、学生支援機構の奨学金をもらっていた(みんな知っている学生支援機構である)。

博士課程の第一種奨学金は月額12.5万円だった(←金額は少しずれてるかもしれない。正確な金額は忘れた・・・)。ただし当然貸与である。返済義務がある。

ところが、結果としては、博士取得までにJBCに2本通り、その他にもう2本論文が通った。これによって、3年間の奨学金が免除になった。当時はすでに免除職がなく、学内選考によって、奨学金の免除が決まるシステムだった。

そしていくら免除になったかというと、

12.5万円 X 12ヶ月 x 3年間 = 450万円

である。大きい・・・

そして、この日本学生支援機構の免除規定だけれど、これは所属の大学で決定される。そして、その当時の所属機関では、途中でDCに採用されたら、当然奨学金は終了(←これは当たり前かもしれないが)で、かつ、免除もなかった

どういうことかというと、もし論文が少し早く通って5月の学振申請に間に合い、博士3年目だけDC2に採用されたとしたら、
博士3年目 
月20万円 x 12ヶ月 x 1年 = 240万円
をもらえたことになるが、学生支援機構から借りた
博士1, 2年目 
月14万円 x 12ヶ月 x 2年 = 336 万円
を返済しなければならなかった。

ようするに、
博士課程3年間の合計は、
240 - 336 = マイナス96万円
である。もちろん、そんなに使わなければマイナスにはならないが、それでももらえた金額は240万円だけである。

ということで、少し論文が早く通り、学振に通っていたら(いや、通らなかったかもしれないが笑)、200万円以上損していたかもしれないのである(※免除の基準は大学などに依存するので、必ずこれが当てはまるとは限りません)。

言うまでもないが、当時はこんなことを考える由もなく、単に論文が通らなくて、学振DCを通せなかっただけである。

しかし、人生にはこういうこともあるもので、短期的な結果で、たとえそれが悪かったとしても絶望する必要はない、むしろハッピーなことすらあると、身をもって知ることになったのである。

学振DC、学振PDが通るに越したことはないと思うけれど、通らなかったからといってがっかりしすぎる必要はなく、こんな風に、逆転現象や再浮上などがいろいろあるということを伝えたかった。

今自分のラボは、学部・修士の学生がメインだけれど、やはり若ければ若いほど短期的な結果にとらわれてしまう。上のような事例をことあるごとに伝えてはいるのだけれど、経験してみないとなかなか納得できないかもしれない。学生たちには繰り返し伝えているのだけれど、短期的な結果って、結局誤差みたいなものなので、あまり深刻になりすぎず、自分のやるべきことに集中すると良いと思っている(なんか、長老みたいなブログになってしまった・・・・笑)。

ということで、長くなってしまったが、学振DC・PDが通った人にはおめでとうと言いたいし、通らなかった人には、上のような例もあるので、くよくよせず研究を続けましょう!と言いたい。人に言っている場合ではなく、自分もまだまだ頑張らねばだけれど。。学振にせよ、科研費にせよ、ドキドキするものがある人生は悪くはないと思っている。

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.2

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.2。

任期付きで不安定かつあまり良くない待遇で働く問題(ポスドクだけではなく、テクニカルスタッフ、派遣職員、パートタイマーも)の解決法ってあるのか?について。

そもそもなぜこんな問題が起こるのかといえば、大学や研究機関にお金がないからである。

少子高齢化が進んでいる日本。定年退職でポストが空いたはずなのに、増員がないという話は珍しくない。地方私立大学の苦境は有名だけれど、有力国立大学ですらそのような話が聞こえてくる。ポストが減れば争いが増えるのは言うまでもない。

ポストが減ったとしても、予算があれば、特任教員を作ったり、任期付きでもそれなりに長い期間働くことができる。やはり予算がないのが大きい問題である。

じゃあどうすれば良いかといえば、全体の予算を増やすことだと思う。

日本学術振興会の科研費の増額、JST(科学技術振興機構)の新しい研究領域の立ち上げ、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクト発足など、とっても偉い先生方が各省庁と連携して、こういう交渉をして、研究業界へと予算を引っ張ってきている

自分も一度くらいは参加したことがあるが、うーん、末席にいただけ。こういうレベルはだいぶ先かもしれない(いや、そんな機会は自分には来ないかもしれないが・・)。

なので、もうすこし自分のような若手研究者にもできることはないかと考えている

なので、次回の記事以降、少しでもいいからこのポスドク問題に貢献できる術がないかを探っていきたいと思っている。

No. 3に続く。

2018年10月11日木曜日

いろんな場所で仕事。

いまだに大学教員・研究者は、大学の研究室か自宅にこもって論文を書き、大学の講義と教授会に参加すればよいと考えている人は多い。

いや、んな羨ましすぎる生活はできない。。

いろんなところでいろんな仕事をする。


明治大学の場合、キャンパスが4つあり、たまに違うキャンパスで会議などがある。役職が上がるにつれて違うキャンパスでの仕事が増える。上の先生たちは大変である。

リバティータワーがある駿河台キャンパスは、神保町にある。神保町はカレーが有名である。有名なエチオピアというカレー店もあるが、混んでいるのでいっていない・・・。その隣にあるカレー店が上の画像である。

生田には店が少ないので神保町がうらやましい。。。

また、今週はBioJapan2018というイベント(全部行くわけではないが・・)、さらに今月、来月と出張が目白押しである。移動は疲れる・・・・。ただし、行ってしまうといろんな経験をするので、後悔することはほとんどないのだけれど。行く前が一番疲れるかもしれない。

仕事が多岐にわたるので、集中力を一瞬で上げる能力が大事である。何かをやろうと思ったら、他の仕事が入り・・・というのを繰り返している。これを乗り越えないと、仕事ができない。

さて秋は移動が多いけれど、体調を崩さないように気をつけねば。今ところ結構元気。朝のトマトジュースとヤクルトと黒にんにくが効いているのだろうか。。

2018年10月10日水曜日

ポスドク問題の解決法ってあるのか?No.1

ポスドク問題とは、博士号を取得した後にアカデミック(大学や国などの公的研究機関)で研究をする場合に、1年契約などの任期付きのポジションしかなく、待遇が安定しないことである。ポスドクとは、ポストドクターであり、博士号を取得した後の研究者を意味する。博士研究員のこと。

ポスドクに限らず、テクニカルスタッフ(技術員)、派遣職員、パートタイマー、アシスタントなども任期付きが多い。これらの解決が叫ばれているが、実際には全然改善している気配はない。

SNS上でもしばしば問題になるが、改善した話はあまり聞かない。激論を交わして終わりになっている気がする。

2014年に日本植物学会の年会で、若手のキャリアパスの理事会主催シンポジウムを主催した。リンクはこちら

タイトルは、本音で語ろう若手のキャリアパス ~研究者貧乏よ、さらば~」

というものだった。うーん、自分らしいタイトル・・・笑。

ちなみに今いる明治大生田キャンパスで開催され、その半年後にその場所に就職するという偶然。ほんとにただの偶然。

この時は任期付きの研究員だったので、任期付きの立場も必要とのことで白羽の矢が立った。任期付きで、かつ、好き放題言える奴ということだったのだと思う。よくわかっていらっしゃる・・・

それでこういうシンポジウムもやってきたのだが、残念ながら無力感が強い


自分は2015年に明治大学に職を得て、パーマネントになった。なので、自分のことだけ考えると、まあ安定である。でも、雇用している人たちもいるし、業界全体の底上げも必要である。

なので、ポスドク問題(この場合、テクスタ、派遣職員なども含む)の解決を考えたいのだが、何が障害なのだろうか?何回かのブログ記事を書いてみたいと思う。

No.2に続く。

2018年10月9日火曜日

予告:明日からポスドク問題の記事を。

今日は予告。明日からポスドク問題について書こうと思っている。

ポスドクとは博士研究員のこと。博士号を取った後になる任期制の研究員のことである。

自分は大学生のときに当時の先生に言われたが、「研究はポスドクが支えている」というくらい、研究には大事な存在である。教授などの教員になると、管理職の割合が増え、自分で実験することはなかなか難しいので。

ポスドク問題といっても博士研究員でだけでなく、テクニカルスタッフ(技術員)、派遣職員、アシスタント、パートタイーマなどの含まれる。要するに、任期付きで研究をしている人たちにどうやって安定雇用を提供するかという問題である。

ただし、状況は厳しい。

ちょうど本庶先生のノーベル賞受賞があり、「基礎研究にもっと予算を」という発言があった。ノーベル賞受賞のたびに、受賞者の先生方はこのような発言をして下さっている。

しかし、これによって大きく動いた試しはない。受賞分野にはそれなりにプロジェクトが立ち上がったりするが、それだけで、下手をすると重点分野に予算を投入するために、他の分野が削減されただけの可能性もある。

なので、少なくとも苦しい苦しいと訴えかけるだけで問題を解決することはないと思っている。

自分も3年半前まで任期付きだったが、本当に理不尽だと思っていた。自分は幸いポジションが取れたが、全体としては厳しいし、雇用している人たちに安定雇用を提供しなければならない。

とはいえ、解決策なんてすぐあるわけではないが。明日からの記事はタイトルに「解決策」という言葉が入っているのだけれど、「抵抗策」くらいの焼け石に水感はある。それでも何もしないよりはましだと思うので、明日から連載していきたいと思う。


2018年10月8日月曜日

秋の生田キャンパスの芝生。

秋学期(後期)も始まって半月ほど経った。そろそろ夏休みぼけもなくなり、仕事モードでもある。学生たちも勉強・研究モードかもしれない。


今年の秋は、秋の長雨通り、雨が多い。こちらの写真は晴れた日に撮影した生田キャンパスの芝生である。ここには冒険家で国民栄誉賞受賞者の植村直己さんの記念碑もある。学生たちがランチを食べたりする場所でもある。

こちらのブログでも紹介した。そういえば、最近360度カメラの撮影していない・・・久しぶりに散歩がてら出かけようかな。

大学は勉強や研究をする場所。とはいえ、毎日行けば飽きてしまう。やる気や集中力を持続させるのはすごく難しい。

なので、こういう芝生で体と心を休めるのは、とても大事だと思う。生田キャンパスは自然が多いが、それほど居場所が多くはないので、こういう場所は貴重である。冬になるとさすがに寒いので、まだ寒くなる前に、貴重なキャンパスの自然を体感しておきたいものである。昨日はちょっと暑すぎたけれど。。

2018年10月7日日曜日

就活ルールの混乱にみる情けなさ

就職活動のルールが変更になるかもしれないとのことである。

現在は、経団連に所属する企業は、3月1日に就職活動解禁(説明会などがスタート)、6月1日に面接解禁という決まりである。なので、大学3年生、修士課程1年生の終わりからスタートすることになっている。

しかし、実際にはインターンなどと称して、秋頃からスタートする。早い人はもうインターンに行き始める頃かもしれない。

昔は10年前は10月くらいに就職活動がスタートしていた。今のインターン開始時期がすなわち就職活動スタートと同じと言っていいと思う。大学3年生、修士課程1年生の10月からスタートである。もはやなんのために学校に行っているのかわからないくらい、長い期間就活をさせられる。

エントリーシートとか、面接とか、それなりにスキルアップの役には立つのだろうが、教育のためのものではない。これらを書いて「スキルアップしました!」なんて言っている学生はほとんどいない。

こうしたことから、3月解禁になったのだが、実際には全然守られていない。今年も6月に面接解禁のはずなのに、すぐに内定が出た学生も結構いたと思う。

「最近の学生は〜」とか「大学教育が〜」とか、よく苦言を呈してくるのだが、こんな風に就職活動で妨害し、若者の貴重な1年間の教育機会を奪っているのは企業側である。

そして、自分たちで統一的なルール作りもできないのに、学生や大学に高い期待だけはして、失敗した責任を押し付けるもの筋が通らない。ころころルールを変えて、迷惑を被るのはいつだって若者である。

繰り返すが、若者の1年は貴重である。せっかくの教育の機会を思いつきのルールで奪わないで欲しいというのが、一大学教員としての意見である。

育児の問題でもあるので、こちらの育児ブログにも就職活動のことを。

2018年10月6日土曜日

ケーキの上に乗っているあれについて。

この間、准教授承認のお祝いをしてもらい、ケーキをもらった。すごくすごく嬉しかった。

さて、ケーキをもらったのだけれど、

ケーキの上には、メッセージプレートが乗っている。こちらはチョコレートではなく、砂糖でできたものだった。そして、砂糖でできたメッセージプレートのことは、マジパンと言うらしい。

え、なにそれ。生まれて初めて知った。

スペイン語由来みたいで、ドイツ語由来の言葉を使う場合には、マルチパンというらしい。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%91%E3%83%B3

別にケーキの上に乗っているものだけを指すわけではないらしい。

中東やヨーロッパで食べられるお菓子で、砂糖とアーモンドを粉にしてのばしたものらしい。卵白や洋酒が入ることもあるとのことであった。

で、上の写真のようにかじっていたのだけれど・・・

「え、それ食べるんですか!?」

という人がいた。

「え、食べない人いるの?」

というのが、自分の感想。子供の誕生日会なんかだと、主役がこれを食べて優越感に浸るという必須お菓子だと思っていたのだが・・・

食べない人もいるのだろうか。

自分は子供の頃から当たり前のように食べていたのだけれど、食べない人もいるらしい。このブログの読者の方はどうなのだろうか。

今度ツイッターでアンケートでもしてみたい。。





2018年10月5日金曜日

レポートの総評:文末に引用をつける。

春学期(前期)の実験レポートで、もっとも多く書いたコメントの1つは、「文末に引用をつける」だった。

レポートの書き方簡易版はこちら

これは序論(イントロダクション)の部分でもっとも多くコメントをした。序論とは、実験手順、結果、考察を記載するにあたり、必要な知識を記述するところである。

私の実験では、シアノバクテリアであるスピルリナや色素タンパク質のフィコシアニンを扱っているが、

「今回はスピルリナのフィコシアニンで○○という実験を行いました。」

と書かれても、いやいや、スピルリナってなんですか?フィコシアニンって?となってしまう。自分が知っているから良いではなく、相手にわかるように書くのである。相手が誰によるかは難しいので、程度問題ではあるのだけれど。

そして、これらの知識を書いていくが、文末に引用が必須である。日本の本だと、参考文献が本の最後にあるだけの場合も多い。下手すると参考文献が載っていないことすらあるが、芥川賞で盗作騒ぎになったことは記憶に新しい。参考文献は必須なのである。ない場合は、盗作・剽窃の類と判定されると思ってもらってよい。

例としては、

フィコシアニンは、XX kDaの分子量を持つタンパク質であり、青色素として工業的に生産されている1(←この1は上付き。Blogサイトで上付きができないので)。

と書く。そして、最後に引用リストを作り、
1. DICライフテック ”DICスピルリナの青色色素” 2012 http://www.dlt-spl.co.jp/linablue/
などと書く。

番号ではなく、第一著者名で引用してもよい。

最近はウェブ情報が多いので、レポートならばこのように書いてもよいが、本来は教科書、もっと正確には論文を引用する。その事実を初めて発見し、発表した文献を書くのが正式だからである。ただし、レポートで原著論文を要求するのは酷な話だろう。教科書などで良いと思う。

このように、文末に必ず引用をつける癖をつけてほしい。それを知らずに社会人になると、盗作騒ぎになる。「知りませんでした」ではすまないのでぜひ学んでおいて欲しいと思う。



2018年10月4日木曜日

研究室案内2018(農芸化学科2年生用)

このブログの主な目的の1つは情報共有である。

研究室の案内などを直接話す機会は限られているし、聞いても忘れてしまうこともあると思う。なので、こうしたブログを利用して研究室案内をしている。

ところが、今「研究室案内」のカテゴリーを見てみたら・・・もはや記事数が増え過ぎてわかりにくい・・・

なので、今年の2年生用に、「これだけ読めばだいたい研究室のルールがわかるはず」というリンクを列挙します。

研究室のコアタイムについて
コアタイムの話

環境バイオテクノロジー研究室の男女比は?
その1
その2

学会について
学会にはどれくらい参加する?

テーマ決めについて
研究室での研究は個人のプロジェクト
学生の研究テーマについて

研究室の意義について
研究室は何の役に立つのか?その1

研究室の雰囲気?
論文アクセプト記念で叙々苑へ
環境バイオテクノロジー研究室の人々

研究室のルール
当番制のお仕事

もっと詳しく知りたい人は他の記事へ。もちろん研究室見学も大歓迎です。

ウェブサイト・SNSの相互リンク

さすがに、准教授ネタでNo.4まで引っ張るのは辞めます(←いや、誰に言っているのか、自分でもよくわからないが・・・)。

さて、色々とウェブ上での活動を広げているのだけれど、いまいちわかりにくいというので、紹介を。

農芸化学科の学科公式HP
https://meiji-agrichem.jp/

環境バイオテクノロジー研究室 公式HP
http://www.isc.meiji.ac.jp/~tosanai/site0001/index.html

ブログ1:環境バイオテクノロジー研究室の講義ファイルと研究アーカイブス(このブログ)
https://environbiotechnology.blogspot.com/

ブログ2:明大の先生が朝の35分間でバイオ研究にVRを導入してみるブログ
https://biovrmeiji.blogspot.jp/

ブログ3:大学教員が綴る37.5℃の育児体験談
https://ikuji99.blogspot.jp/

ブログ4:小田急沿線グルメ〜駅から半径18km〜
https://odakyugourmet.blogspot.jp/

ツイッターは、アカウント名が@osanai_meiji
https://twitter.com/osanai_meiji

インスタグラムは、
環境バイオテクノロジー研究室 アカウント名がmeiji_biotechnology
https://www.instagram.com/meiji_biotechnology/

個人のものは アカウント名が osanai_meiji
https://www.instagram.com/osanai_meiji/

になっている。

うーん、多い・・・笑。
相互リンクがあまりうまくいっておらず、探しにくい。一応「相互リンク」というカテゴリーも作っていたのだけれど、ツイッターやインスタにはリンクしていなかったし。

ブログトップに貼りたいところだけれど、じつはURLをはってもリンクにならない。つまり、クリックしてそのページに飛ぶことができない。わざわざURLをコピーしなければならない(もう少し調べればできるかもしれないが・・・)。

それにしてもネットワークが増えてきた。といいつつ、最近Noteにも興味があるのだけれど・・・・とりあえず楽器も始まったことだし、研究、講義、実習などに集中しよう。。



2018年10月3日水曜日

今日から准教授になります。No.3

「まさか3日間、この話題を引っ張るとは・・」という読者を全力で脱力させるこのブログ。「今日から准教授になります。No.3」である。

・・・というか、もはや「おとといから」だけど笑。

いや、毎日ブログを更新しているので、大きなニュースはできるだけ引っ張りたいというブロガー事情。

まあ、それはさておき、職格変更に伴い、いろいろと変更することがある。ツイッターもブログも変更。研究室のHPも変更した。

それに合わせ、農芸化学科の公式HPも変更した。

大学の事務のだれかがやってくれるなんて思ったら大間違い。


・・・自分で変更した笑




こちらが農芸化学科教員一覧


学科のHPを更新してくれる人なんていないのである笑。教員自らHPを更新。素晴らしきマルチタスク。。

しかし、このHPはWordPressで作られているのだけれど、使いやすい。というか、ダウンロード型のHPソフトが使いにくい。おそらくHP作成もクラウドベースにどんどん移行していくのだと思う。なので、PCソフトにあまり力を入れていないのではないかと思う。いやはや、いつも使っているソフトは使いにくい。

ちなみに、土壌圏科学研究室の加藤先生も同じく准教授に昇進されました。こういうニュースはどれくらい把握されているのだろうか。もちろん、加藤研の人は知っているとは思うのだけれど。。加藤先生の分も合わせて学科HPを修正。

同時に昇進ということで、お祝いに呑みに行きたいが・・・・いや、加藤先生は飲み過ぎているので、お祝いの時くらい逆に呑ませない方が良いかもしれない。。笑

加藤先生とは生まれ年も一緒で、同じ2015年に着任。着任早々よくわからないことなどを、お互い確認し合うことができて、本当にありがたい存在だった。同じ年なので、全然気兼ねしないし。今年はコラボ論文も投稿しているし、これからも一緒に農芸化学科を盛り上げていければと思っている。

ということで、3回引っ張った准教授昇格話。明日もあるかは・・・ブログを見てのお楽しみということで。。(そんな固定読者はいないか・・・)

2018年10月2日火曜日

今日から准教授になります。No.2

今日から准教授になります。No.2。

なぜNo.2のブログ記事を書くかといえば・・・

人事はネタになるから

である。。。

小説の半沢直樹シリーズでもよく出てくるのが、「銀行員にとって最大の話題は人事である」というセリフである。銀行員に限らず、人事というのは耳目を集めるものだと思う。

正直、研究者って、職格を上げて出世をしたい!という人は、少なめだと思う。どちらかというと、安定的に研究をしたい、研究の自由度を上げたい、研究の幅を広げたい、という意味で、上になりたいという人が多いと思う。

あくまで出世は、自分で自由に研究を続けるための手段であると思う。

ただし、上になると研究とは異なる仕事が増えてくるのだけれど。難しい。。

明治大学農学部の場合は、別に「教授枠」「准教授枠」を争っているわけではない。本学科では18人の教員がいるが、「教授は何人まで、准教授は何人まで」と決まっているわけではない。極端な話、全員教授でもシステム上は問題ない(実際にはさすがにそうはならないけれど)。

なので、別に人を押しのけて昇進しようとしのぎを削って争うわけではない。。とても平和である。。

ポストの争いって、どんな職種のどんな組織でもあるのだろうけれど、争いの種になる。そんな風に争っている組織に比べたら、平和そのものである。かなり珍しいのかもしれない。

准教授と肩書きが変わるだけなのだけれど、細かい作業はいろいろある。

名刺も作り直し、メーラーの署名(Eメールの最後につく部分)も変えなければならない。当然、いろんな研究機関にも届け出をしていかなければならない。意外とやることがたくさんある。

書いていて思い出したのだけれど、そういえば、いつからこの「准教授になること」を明かしていいのか迷っていた。いろんな手続きがあるので、10月1日にいきなり連絡すると、支障を来すこともある。

また、必要最小限にしなければいけないのだが、あらかじめ連絡をしなければいけない方々もいる。難しいところである。

なので、1週間〜数日前くらいから、関係の方々には連絡をし始めた。結構範囲とタイミングが難しい。

学生には・・・本当に直前だった。申し訳なかったのだが、あっという間に学内で広がってしまうので。いや、たぶん9月だったら問題ないとは思ったのだけれど、念のため。人事の問題はデリケートであるので、慎重に行った。

ともあれ、晴れて公開になった。ポジションもあげていただいたので、ますまず本学の発展の為に頑張りたいと思っている。


Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA