2019年6月29日土曜日

みんな一度は通る道?とりあえずBBRC。

研究は本当に大変で、ゆっくり一歩ずつしか進まない。

研究を論文化するまでには、それはそれは大変な努力が必要で、やってみたものにしかその大変さはわからない。

同じ実験結果でも”証明の度合い”によって、研究の質そのものが異なる。研究の質が上がれば発表するジャーナル(雑誌)のランクも上がる。インパクトファクターなんて、というセリフは質の高い研究をした人のセリフである。自分の言いたい結論を、一通りの実験で証明するか、複数通りの実験で証明するかで、研究の質は全く異なる。

しかし、そうは言っても研究はとても大変なので、どうしても早く論文化してしまいたい。研究者に共通した思いなのではないだろうか。特に卒業や任期があれば焦るのは当然のことだと思う。自分だってひたすら時間切れと戦ってきた(現在も)。

こうして苦しんでいる時に登場するのが、「とりあえずBBRCで」というセリフである。

BBRCとは、Biochemical and Biophysical Research Communicationsというジャーナルである。

生物系ならば誰もが知っている速報誌ではないかと思う。本来の速報誌の意味は、論文が採択されてから出版されるまでが速いという意味だったと思うが、この雑誌の場合は、論文の審査が速いという意味で使われることが多い。

一般的に論文は、投稿するとエディターに渡り、そこから複数人のレビューアーに送られる。レビューアーがエディターに審査結果を送り、エディターはそれを統合的に判断して、著者に審査結果を返す。複数人が関わるので必然的に時間を有する。1ヶ月単位の作業である。

ところが、BBRCの場合は、エディターその人が審査をする。そして、そのエディターが審査結果を出すので、とても審査が速い。場合によっては1週間以内にアクセプトになることもあるらしい。

こうしたことから、研究が辛くなると「とりあえずBBRC」となるのである。

しかし、自分の経験では、とりあえずBBRCと思って投稿したものは全滅である。

いろんな原因はあるが、
1. 自分自身が「とりあえず」と思っているということは、自分で実験が足りないと実感している証拠である。思い入れがあってもそれくらいということは、その研究を他人が見たとしたら、全然プレリミナリー(未完成)である。

2. BBRCに通っている論文は、もっと良い雑誌に掲載できそうなものが多く、色々な事情(学位取得に必要だった、予算申請に間に合わせたかったetc)によってBBRCにしたものが多いように見える。

ということで、何度か投稿したことがあるのだけれど、全滅である。

しかし、その後どうなかったかというと、さらに実験を追加して、フルペーパーとして論文化されている論文もある。実験をしっかり追加してフルペーパーになったので、正直、最終的にはBBRCにアクセプトされるより良い結果になったものもある。

自分の論文でも、PNASに採択された論文は、JBCに3回投稿してレビューアーと戦ってリジェクトされたものである。さらに粘って実験を追加したらPNASにアクセプトされた。なので、早くアクセプトになれば良いというものではない。

ということで、研究継続は辛いのだけれど、自分でBBRCと思ったら、追加実験を行ってFigureを2、3個追加してフルペーパーにするのが、実は論文アクセプトには一番近道だと思っている。

ちなみに、とりあえずBBRC」は、自分が修士課程の時(2000年代はじめ)からあるセリフである。そして、そういう研究は、結局論文化しなかったことも多い。

なので、多くの人が一度は通ってきた道ではないかと思うけれど、上記のように、結局論文化されるには、粛々と実験を追加して、結論の穴を埋めていくのが一番近道だと思っている。焦りすぎずに続けるのが上策であると考えている。


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