2017年12月31日日曜日

2017年おつかれさまでした。

今日は大晦日。今日で2017年も終了。

10月末にブログをはじめて2ヶ月。だいぶ使い方にも慣れてきて(といっても、そんな今時はすごく簡単)、色々と配信できるようになりました(そのうち動画も載せよう)。

2年ほど前に学生の影響でツイッターを始め、今年はブログにインスタもスタートさせました。美味しいものとかのゆるい情報も載せているけれど、遊びではなく情報発信の形として今後広がっていくと思っています。実際にすでにそのように利用している人も多いと思うので、我々もそのようにしていきたいと考えています。研究室単位でのインスタも始めたのだけれど、さてどのように使っていくでしょうか。

2017年を振り返ると、環境バイオテクノロジー研究室でも嬉しいことが色々とありました。

1月 ユーグレナの論文(冨田さん筆頭著者)の記事が1月1日の日刊工業新聞に掲載される(元旦からめでたい)。

2月 Editorial論文 アクセプト (Osanai et al. Front Microbiol)。Editroialとはエディター(編集者)が書く簡単なまとめのような論文。

3月 小山内研第1期生が卒業。新メンバー(第3期生)7名が配属決定。今年は男子が4名、女子が3名で、女子大だった環境バイオテクノロジー研究室の男性比率がぐっと高まる(新メンバーはわからないけれど、来年は現メンバーでいうとちょうど半々くらい?)。

4月〜6月 シロイヌナズナのグルタミンシンセターゼの論文(Osanai et al. Plant Cell Physiol), HPLC protocol論文(Yasuda et al. Bio-Protcol)アクセプト。グルタミンシンセターゼGS2の活性化因子ACR11を同定。7、8年かかった論文。すごい話だと思うんだけどなあ・・・
新しい企業との共同研究スタート。

7月 はじめての分子生物学の講義が終了。

8月 ユーグレナ研究会にてポスター賞受賞(冨田さん)

9月〜10月 コハク酸生産株の相関解析論文(Takeya et al. Plant Cell Physiol)。乳酸脱水素酵素Ddh生化学論文(Ito et al. Sci Rep)アクセプト。総説(Katayama et al.)を投稿。

11月 アジア・オセアニア光生物学会議招待講演。

12月 論文アクセプト記念の叙々苑焼肉。
    連合駿台会学術奨励賞の受賞が決定。

という感じでしょうか。研究室も成果の量産体制が整ってきました。原著論文はうちの研究室が主体となったものが5報、著書が1報(遅れているのか、まだ出版したという連絡はないけれど)。投稿中・リバイス中が2報ということになりました。来年はもっとたくさん成果が出そうな気配。みんな本当によく頑張っています。健康と安全を第一にして、研究を継続的に進めて欲しいと考えています。

今年度は新しく分子生物学の講義を担当して、170名が受講する授業を行いました。なかなか大変でした💦。途中私語なんかを注意しましたが、2年生は基本的にノリがよく、全体としてはやっているこちらも楽しく授業ができました。170名受講だったので、第2回目から教室変更で1号館3階になってしまいました。直前の1限が6号館という離れた建物で授業をして、2限にすぐに1号館へ移動するという大変さがあったのだけれど、仕方ないのかもしれない・・・

また、こちらもメイン担当ははじめての化学実験(農学科)では、カリキュラム変更の間ということもなり、なんと受講者1名。1名に対して教員2名とTA4名という贅沢?授業でした。はじめはどうなることかと思ってバタバタだったけれど、特別授業でこちらも楽しかったです。

年末の生田キャンパスはすっかり冬の装い。大学関係者にとっては、これからがもっとも忙しい季節の一つ。体調を崩さないように進めていきたい。

みなさま、2017年は本当におつかれさまでした。来年もどうぞよろしくお願いいたします。よいお年を。

小山内崇

2017年12月30日土曜日

シアノバクテリアのコハク酸生産という新しい分野

"Genetic manipulation of a metabolic enzyme and a transcriptional regulator increasing succinate excretion from unicellular cyanobacterium."

Osanai T, Shirai T, Iijima H, Nakaya Y, Okamoto M, Kondo A, Hirai MY.

Front. Microbiol. 2015, 6:1064.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=osanai+meiji

この論文は、現在の研究プロジェクトであるシアノバクテリアを用いたコハク酸生産の一番最初の論文である。自分の中ではかなり重要な論文である。

コハク酸は、クエン酸回路(TCA回路)の中間代謝産物であることは、生物学を学んだ人間ならばだれでも知っていることだろう。ところが、コハク酸がプラスチック原料となることはあまり知られていない。コハク酸は、1,4-ブタンジオールと反応して、ポリブチレンサクシネート(PBS)という汎用的に使われるプラスチック原料となる。このほか、食品添加物、入浴剤、可塑剤など幅広く使われる工業原料なのである。

石油から合成されるコハク酸であるが、現在バイオ由来のコハク酸生産が競争となっている。少なくとも4つのベンチャー企業が誕生し、年間数万トン規模でバイオコハク酸が生産されている。この時には酵母や大腸菌などの従属栄養生物が使われている。従属栄養生物がコハク酸を生産する場合には、糖を炭素源とする必要がある

我々は、従属栄養生物を使わずにシアノバクテリアを利用することで、糖ではなく大気中の二酸化炭素を出発原料とするコハク酸生産を目指している。

この論文によって、単細胞性シアノバクテリアであるシネコシスティスが、暗・嫌気培養することでコハク酸を細胞外に放出することを明らかにした。コハク酸だけでなく、酢酸や乳酸も細胞外に放出されることが明らかになった。

コハク酸の生産量を高めるために、副生成物の生産阻害を行ったところ、酢酸合成酵素遺伝子であるackAを欠損させることで、コハク酸量が増加した。

また、糖異化のグローバルレギュレーターであるRNAポリメラーゼシグマ因子SigEの過剰発現とackAの欠損を組み合わせることで、コハク酸が野生株の約5倍である70 mg/Lに増加した。

このように、酵素と転写制御因子という2つの遺伝子を改変することによって、シアノバクテリアのコハク酸の生産量を増大させることに成功した。そもそもシアノバクテリアの野生株が、嫌気条件でコハク酸を細胞外に放出することを示したのは、この論文が初めてである。

この研究を端緒として、現在も環境バイオテクノロジー研究室では、二酸化炭素(CO2)からのバイオコハク酸生産の研究を進めている。主要な研究テーマの一つである。

まだまだ生産効率が悪く、実用化にはほど遠いのであるが、二酸化炭素からのものづくりは企業から求められていることであるので、斬新な方法をたくさん開発し、社会実装を行っていきたいと考えている。

2017年12月28日木曜日

なんといっても生田坂!

明治大学生田キャンパスを語る上で、どうしても生田坂は外せないだろう。



明治大学生田キャンパスは、小田急線生田駅から徒歩5〜10分の距離にある。5〜10分としたのはなぜかといえば、キャンパスの入り口までは5分と少しくらいだろう。そこから生田坂と呼ばれる坂があり、その丘(?)の上にキャンパスがあるのである。建物にして5階分の高さであるから結構なものである。

ほかの場所は雨だったのに、生田キャンパスに着いたら雪だったなんてことがあるのだが、これはこの高さのせいかもしれない(本当になぜか生田だけ雪が降っていたりして驚く)。

学生たちは毎日この生田坂を登って登校するのである。

しかし、正直言うと、今の学生と昔の学生では生田坂に対する思い入れが違うかもしれない。

なぜならば、現在は生田坂に「エスカレーターがある」からである。数年前にエスカレーターできたらしく、私が着任した時にはすでにエスカレーターが生田坂にあった。

地域産学連携センターという綺麗な建物の中にエスカレーターがあり、5階分登れる。知らない人はいきなり建物には入れないので、うっかり生田坂に挑戦してしまうというのが生田キャンパスあるあるである。

昔の卒業生たちに、今は生田坂にエスカレーターがあって楽だというと、「はあ!?(怒)」という感じのリアクションになるので、生田坂の話題を出す時には注意が必要である。

このエスカレーターは休日は止まっているので、休日に登校する場合は生田坂を登る必要がある。

ちなみに言うと、私は教職員バスを使っているので、エスカレーターすら使っていない💦。ということで、生田坂にはあまり思い入れがないかも・・・

生田キャンパスに通ったものならば思い出に残っている生田坂。しかし、時の流れとともにその印象も異なったものになっていると思われる。

ちなみに今は冬休みで、12/26~1/5まで職員バスが止まっている。久々に生田坂を登って息を切らしている。。でも生田坂を登って息が切れるようでは普段の鍛え方が足りないので、自分が悪いのではないかと思いながら登りきっている。

2017年12月26日火曜日

所属する学会について

私の所属学会および環境バイオテクノロジー研究室で主に参加している学会は以下の通りである。

日本生物工学会
日本農芸化学学会
日本植物生理学会
日本植物学会
日本化学会

このような学会は、1年に一回年会・大会が開催される。3月と9月に開催されることが多い。大学関係者が多いので、前期・後期の間に開催されるということである(ということで教員は講義や実習がなくても休めるわけではない・・・)。

また、大きい学会では、関東支部・代謝部会など、地区やテーマによってさらに分かれていて、別途研究会などを開催している。大きすぎる学会だとなかなか目的の研究発表を聞けなかったり、話したい人に会えなかったりするので、小さい研究会も大事である。

この他にユーグレナ研究会バイオインダストリー協会NPO法人地球環境カレッジなどに所属している。また、所属学会の関連集会にも参加する。学会には所属していなくても、興味のある研究会に参加している。

上記の学会にすべて参加して発表をするかというとそんなことはない。研究発表の場は上記の以外にもたくさんあり、例えば科学技術振興機構の予算であるALCAや科研費などの予算を交付して頂いている関係で、これらの予算関連の発表や会議がある。

また、個別に他の大学や研究機関、企業との研究打ち合わせが入る。外部の人たちと接する機会は様々なのである。

学会で発表するのは非常に緊張するが、成長するためにはとても良い機会であると思う。人前で発表するのが嫌な人もたくさんいると思うが、社会人になるとトーク力・プレゼン力・質疑応答能力などは欠かすことはできない。

学会発表で失敗しても、学生ならば別に影響はない。いろいろな考え方があると思うが、学会は学生を育てる場でもあるはずなので、失敗を恐れずぜひ挑戦して欲しいと考えている。

学会発表は決して大変なばかりではなく、学会がなければなかなかいかないような場所にも行けたりする。今年度は夏に北海道帯広市で開催されたユーグレナ研究会に参加した。帯広は豚丼で有名だけれど、行ったのは初めてであった。ユーグレナ研究会では、環境バイオテクノロジー研究室のM1の冨田さんがポスター賞を受賞した。
ポスター賞がかかるということで、本人はなかなか眠れないくらい緊張したとのことであるけれど、このように名誉ある賞をいただき、明治大学ホームページからも紹介された。
【農芸化学専攻】ユーグレナ研究会第33回研究集会において、農学研究科農芸化学専攻1年の冨田結芙子さんが若手優秀発表賞を受賞

帯広ではジンギスカンなど美味しいものを食べ、また、いろいろな大学の先生や学生とも交流することができた。いうまでもないけれど、このような交流こそが学会においてもっとも大事なことである。今後の共同研究や組織づくりについてなどを話すことになる。学生にとっては発表そのものが本番であるのだけれど、教員にとっては発表後のまだ公表できない話こそが本番であるとも言える。

その時は無我夢中で大変だったと思うが、本人が気づかないうちに成長を遂げていることは間違いないと思う。教員としては、旅費となる研究費を取ってくるのが結構大変なのだけれど💦

2017年12月25日月曜日

転写因子RpaAによる代謝改変

"Changes in primary metabolism under light and dark conditions in response to overproduction of a response regulator RpaA in the unicellular cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803."

Iijima H, Shirai T, Okamoto M, Kondo A, Hirai MY, Osanai T.

Front. Microbiol. 2015, 6:888.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26379657

こちらも新しい転写制御因子を使った代謝改変の論文。それにしてもこのころからいっぱい論文出しているなと感じる・・・たくさん出しているのだが、楽な論文はなく、毎回毎回大変なのだけれど、表にはあまり見えてこない。でも、必ずどの論文も大変です。そして、論文を書かないで優雅に研究をさせてもらえる時代でもないので・・・

時計関連のヒスチジンキナーゼHik8の過剰発現によって糖代謝やアミノ酸代謝を変えることができた。

Hik8は別のシアノバクテリアでSasAという名前がついている。このタンパク質は概日リズム(サーカディアンリズム)の情報を伝達する役割を持っている。

SasAはヒスチジンキナーゼであるため、下流にレンポンスレギュレーターがあり、リン酸リレーによってレスポンスレギュレーターの活性を制御し、細胞内の遺伝子発現を変化させる。

RpaAは、SasAの下流にあるレスポンスレギュレーターであることが知られている。シネココッカスというシアノバクテリアでは、このRpaAが概日リズムの情報に従って細胞の遺伝子発現を変化させる。

シネコシスティスの場合は、Hik8の下流にRpaAがあるかははっきりしていないが、光合成関連の遺伝子の発現を制御するため、概日リズムや光シグナルの伝達に関与し、類似の遺伝子発現制御を担うと考えられている。

この論文では、RpaA過剰発現株を作り、遺伝子発現や代謝変化を調べた。その結果、Hik8過剰発現株と類似の変化が起こったことから、シネコシスティスにおいてもHik8からのシグナル伝達の一部はRpaAによって行われていることが示唆された。特にHik8過剰発現株、RpaA過剰発現株共に、暗条件下で糖異化酵素関連遺伝子のmRNA量が多く、かつ、RNAポリメラーゼシグマ因子SigEのタンパク質量&mRNA量が多かった。

このことから、暗条件下で働く糖異化は、Hik8&RpaAによってシグナルの一部が感知・伝達されていることが示唆された。

このほかにも、RpaA過剰発現株では暗条件下特異的にグリシンやリジンなどが増えることがわかった。

このように、時計関連の転写制御因子を改変すると代謝を変化させることが可能であることがわかってきた。しかし、同時に代謝を制御する転写制御因子は複雑であるため、なかなか思い通りの制御ができず、基礎研究を進めて全容を解明することが必要であることもわかってきた。

シアノバクテリアの時計タンパク質のメカニズムについてはものすごく研究されているけれど、シネコシスティスについては数が少ない。ただし、うちの研究室ではメカニズム解明よりは代謝工学に重点を置いて研究を進めている。


2017年12月24日日曜日

司令塔・中央校舎

生田キャンパスの中央校舎には、事務方の組織や講義の部屋などがある。中央校舎の名前の通り、生田キャンパスの真ん中に位置している。
生田キャンパスマップ

一番上の階には大型のホールがあり、500人くらい(正確な人数はわかりません・・・)は収容できる。他にも200人が収容できる教室があり、大人数の講義の際には重宝する。

ここには理工学部・農学部の事務や生田キャンパスのことを取り仕切るキャンパス課、研究費・特許などの知的財産を取り扱う研究知財課などが存在する。

また、メディアライブラリーといって、学生が使えるPCなども備わっている(教員だから使ったことがないのでわからない・・)。ネットワーク関連でわからないことがあるとかけこむ場所でもある。

職員食堂や男女共同参画の部屋、学生相談室や医務室などもこの中央校舎になる。まさに生田キャンパスの司令塔である。

1階には事務室があり、学生に必要な手続きなどを行う窓口があるので、訪れる学生も多いだろう。学部からの連絡に、サークルやイベントの掲示板、学生呼び出しのモニターなんかもある。

た、各種催しものでも大活躍で、例えばオープンキャンパスでは、ここで大学ガイドや学部ガイドが配られ、進学相談会などが開かれている。七夕の時期には笹と短冊が飾られるし、生明祭の時にはミニステージもできる。まさに中央に位置する生田キャンパスの心臓部である。

私の場合、この校舎での講義はあまりない。大学院の講義があったが、現在は違う校舎での講義になっている。校舎によってどのように講義が振り分けられているのかは、学生の方が詳しいかもしれない・・・

この校舎にも講師控え室があるので、外部の先生方はここで待機をしてから講義へと向かうこともできる。教職員食堂や教職員休憩室といった、教職員のみが利用できる部屋があるのもこの建物である。

平日には書類などのやり取りで、1日1回は行くかもしれない。。多い時には3回くらい行っている生田キャンパスの生・教職員にとってなくてはならない建物である。

また、季節ごとにいろいろなものが飾らせ、例えば七夕の時期には笹と短冊などがかざってある。今の時期は何かと言えば、もちろん、クリスマスツリーである。
この飾りは誰がやっているのだろう・・・おそらく学生の有志団体だと思う。いつも非常に上手でセンスがあって、若者ってすごいなあと思う次第である。。

2017年12月23日土曜日

実は食べてるスピルリナ!

藻類でいきなりシアノバクテリアと言ってもあまりピンとこない人が多い(正確にはバクテリアなので藻類と呼んではいけないのであるが)。熱帯魚好きの人や漁業関係者ならばシアノバクテリアやアオコが増殖して困ることがあるかもしれないが、一般の人は知らないだろう。藻類といえば、昆布やワカメ、ノリなどの大型藻類を思い浮かべると思う。

そんな中、実は意外に身近にあるのがシアノバクテリアの一種であるスピルリナである。英語ではSpirulinaであるが、学名はArthrospira platensisであり、Spirulinaとは異なるのでわかりにくい。

スピルリナは、塩濃度の高い湖に生息しており、アフリカでは食用に用いられてきた。すなわち、スピルリナは食品なのである。研究レベルでは、抗酸化性・抗ウイルス性などがあるとされているが、医薬品とはなっていない。

スピルリナという名前は、その形態がらせん構造を取っていることに由来する。高塩濃度、高pHで生息することができる特殊なシアノバクテリアである。

近年、国立環境研のスピルリナ株の1つであるArthrospira platensis NIES-39のゲノムが解読されて、基礎研究も進んではいる。ただし、遺伝子の改変ができないため、培養技術や物質生産の研究などに限定されてしまうところが残念なところである。

スピルリナは工業的に培養されているシアノバクテリアである。スピルリナは食品として用いられるだけでなく、色素を抽出するために培養されている。スピルリナからは食用の色素タンパク質であるフィコシアニンが取れる。これは光合成に使われる色素で、非常に綺麗な青色をしている。



天然の色素タンパク質であるので、食べても害はない。それどころが、論文レベルでは体に良い効果の報告もある(※臨床試験ではない)。

環境バイオテクノロジー研究室が発足し、私が明治大学に着任したため、農芸化学科の学生は2年前からこのスピルリナの色素フィコシアニンを使った学生実習を行うことになっている。スピルリナからフィコシアニンを抽出するのが実験の始まりである。実習は、分光光度計や硫安沈殿、BCAタンパク質定量、SDS-PAGE、ブロッティングを行う実験ではあるのだが、実験手法だけではなく、自分で何をやっているか考察してもらうことになっている。

形態を観察するだけでも面白いスピルリナであるが、実は食品や化学品、そして学生実習という教育面まで、非常に幅広く応用の聞く生物なのである。

2017年12月22日金曜日

第一校舎6号館

第一校舎6号館は、出来てまだ数年の建物である。生田キャンパスの中ではもっとも新しい建物である。この建物の説明は一言で済むかもしれない。

「きれい」



他の建物から入ってくると、これは同じ大学だろうか?と思ってしまうのがこの第一校舎6号館である(笑)。エレベーターもきれいで大きく、案内をしゃべってくれます。ここだけ見て生田キャンパスだと思うと、完全に誤解をしてしまいます。。

私の場合、専門科目である「生命システム工学」、「環境バイオテクノロジー」の講義をこの6号館の教室で行っている。また、研究室のゼミも6号館で行うことが多い。新しいせいか、エアコンの効き具合も良いようで快適である(ただし、温度は集中管理されているので、自由ではない)。難点としては、大人数教室がないので150人を超えるような授業になってしまうと、他の1号館や2号館に移らなければならない点である(そこまで贅沢は言えないので、仕方のないところであるけれど)。

選択必修(現在の1年生からは必修)である分子生物学の講義も、今年度の第1回目の講義を6号館の部屋で行ったら、まさかの座れないという事態が発生してしまった。あとで、1号館に教室変更となるという珍しい事態になった。1限に6号館の部屋で授業をして、2限に1号館の3回の端っこの部屋で授業をするというのはなかなか大変である💦。人数が多い授業は配るハンドアウトの数も膨大なので・・ 。受講する学生も移動が大変そうで申し訳ない。

また、写真にはないけれど、6号館の中央にあるラウンジがとてもきれいである。羨ましい・・・笑。打ち合わせ、研究ディスカッションに休憩などとても快適そうである。羨ましい・・(2回目)。

その他にも外部からゲストが来て研究の打ち合わせをする場合には、この6号館の教室を借りて会議を行うことも多い。なぜならきれいだからである(さっきからきれいしか言っていない)。

冷暖房がしっかりしているので、研究室のゼミも6号館で行うことが多くなってきた。ただ、研究室のメンバーがフルで揃うとせまくはなってしまうのだけれど。この点が少し残念なところではあるけれど、仕方ないのだと思う。

6号館には研究室が入っているのはもちろんのこと、地下に学生実習の部屋もある。見たことないが、あるらしい。

ということで、いろいろな機能を有する「きれいな6号館」の案内でした(あまり詳しくないけれど💦)。

教職員食堂ってどんなとこ?

生田キャンパスには食堂やカフェ、コンビニにワゴン販売などがある。当然ではあるのだが、あまり学生に知られていない場所として教職員食堂がある。中央校舎の2階にあるのだけれど、この区域には学生は入ってはいけないことになっている。

教職員食堂は文字通り学生は使用することができず、教員・職員しか利用することができない。営業はランチのみであり、夜の時間帯は営業していない。また、土曜日も休みである。

広さはどれくらいかというと40人くらいだろうか。あまり大きくない食堂である。

あまり広くない理由としては、ランチを持ち帰ることができるためである。持ち帰って研究室や職員の部屋、教職員休憩室などで食べることもできるので、食堂のキャパシティーはあまり広くないのである。

なぜか最近インスタで教職員食堂を紹介することになっている。別に誰に言われたわけでもなく、勝手にやっているだけです💦。インスタやツイッターのネタにするために。。

メニューは定食、ヘルシー定食、御膳(お弁当のような感じ)、カレーの4つで、日替わりである。定食は650円、御膳は600円とやはり学食よりは高く設定してある。また、混んでいるときは持ち帰りにすることもできるので、とても便利である。


メニューの一例。こちらはうな丼定食。いや、いつもこんなものを食べているわけではありません。たまたま。しかし、うな丼は定食でなく、ヘルシー定食に分類されていたのだけれど、ヘルシーなんでしょうか。。元気が出るけれど。

定食には小鉢が2つ付くので、野菜などを補うことができて非常にありがたい。ランチってどうしても野菜が不足してしまう。


こちらは冬にぴったりのおでん定食。なぜか名前はおでん鍋だったのだけれど、鍋ではなかった(笑)。こちらはヘルシー定食の名の通り、優しい感じでバランスの取れた定食。右に見える根菜や豆の小鉢と合わせてとても健康的である。さらに右上に写っている小さな紙コップはなにかというと、「飲むお酢」である。必ずあるわけではないのだけれど、「リンゴ酢」などの無料サービスがある場合がある。とても親切。。

ということで、学生は入れない教職員食堂をこれからも紹介していこうと思っている。需要があるのかわからないけれど。。💦

2017年12月20日水曜日

第一校舎3号館

明治大学生田キャンパスにある明治大学農学部農芸化学科環境バイオテクノロジー研究室。農学部の校舎は第一校舎◯号館と名付けられている。

環境バイオテクノロジー研究室は、第一校舎3号館にある。

第一校舎3号館といえば、農芸学科の学生にとっては学生実習を行う場所である。微生物学・有機化学・環境化学などの実習が行われるため、比較的長い時間をここで過ごすことになる。大変だった思い出が残っている人もいるのかもしれない。そういえば、実習室にはマイクのある部屋とない部屋がある。1クラス40〜50人で実習を行うので、ぜひマイクはつけて欲しい・・・

この第一校舎3号館の特徴は次の通りである。

1. 入り口がわからない(笑)
外部の人からよく言われるのが、「この建物、入り口がどこかわからなかった」である。正式な入り口は中央にあるのだが、無機質の灰色の扉であり、慣れない人は決してここが入り口だと思わない。また、玄関がなぜかキャンパスの入り口とは反対側にあり、こちらもわざわざ回って利用する人は少ない。そして、外階段からも入れるのだが、ここにも灰色の扉があり、たまに鍵さえしまっていることがあり、入るのが難しい。難攻不落の3号館である。

2. 眺めがとてもよい。
前の記事でも紹介したが、目の前に植村直己さんの記念碑があり、芝生がある。天気の良い日にはとても気持ちのいい場所である。研究室からの眺めがとてもよくて、これはお気に入りである。初めて自分の研究室を持ち、部屋に入ってこの眺めを見た時は本当に感慨深かった。

3. やや古い(笑)
この古さも否めない。水回りの排水がたまに詰まることがある・・・全体的な雨漏りは改善したらしい。研究室の中は立ち上げの時に改装していただいたので結構きれいです。ただし、居室のクーラーからしばしば水漏れが起こる・・・

ということで、あまり有用な情報はなかったかもしれないが、我らが3号館の3階には農芸化学科の研究室がたくさんある。気になる学生は、ぜひ研究室訪問などで足を運んでほしい。

2017年12月19日火曜日

シアノバクテリアの海水培養に成功!

"Seawater cultivation of freshwater cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803 drastically alters amino acid composition and glycogen metabolism."

Iijima H, Nakaya Y, Kuwahara A, Hirai MY, Osanai T.

Front. Microbiol. 2015, 6:326.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25954257

この辺りの論文から、筆頭著者だけでなくラストオーサー(って日本語訳あるのだろうか。最終著者?)兼責任著者(corresponding auther)の論文が増えてくる。

理化学研究所の時もそうであるが、明治大学農学部農芸化学科環境バイオテクノロジー研究室においても、シアノバクテリアを用いたバイオプラスチック・バイオエネルギー生産の研究を行っている。

普段は遺伝子改変などでポリヒドロキシ酪酸(PHB)やコハク酸、乳酸、水素などの増産を行っている。

しかし、これらは応用へ向けた一部に過ぎない。

実際には原材料となる培地を調達して、培養設備を整えて藻類を育てて有用物質を生産し、さらにそれらを回収・精製して・・・・など、応用に向けては実に様々なステップがある。これらをすべて考えていかなければならないのである。

そんな中で、微細藻類のネックに1つといえば、淡水を培養に使うことである。日本では豊富な淡水であるが、世界的に淡水は貴重な資源である。そんな貴重な淡水を無尽蔵にプラスチック生産に使うわけにはいかない。

そこで望まれるのが海水の利用である。

この論文で行ったことは極めて単純である。単細胞性のシアノバクテリアであるSynechocystis sp. PCC 6803を海水で培養したのである。海水の成分としては、窒素とリンが足りなかったので、海水に窒素とリンを加えたらシネコシスティスが育ったという極めて単純なものである。

シアノバクテリアは、藻類の中では比較的高塩濃度に強いことは知られている。海水の塩濃度と比べてみると、淡水性であるシネコシスティスも問題なく育ちそうだったので試してみたのである。なんとも単純な研究だが、全然研究されていないのである。

この論文では、さらにバッファーでpHを制御するとより増殖することや、海水で培養すると合成培地で培養するよりもなぜかオルニチンやリジン、プロリンなどが5倍以上に増えるというデータも示した。なぜアミノ酸が変化するのかは明らかになっていない。単純に塩濃度の性ではないというデータも出ている。

また、細胞のサイズも海水で培養すると変化した。全体的に大きくなるとともに、細胞のサイズの分布が広くなる傾向にあった。メカニズムなどはわかっていない。

この論文は結構注目が集まり、3つの新聞で紹介された。海水で微細藻類が培養できるというわかりやすさも手伝ったと思う。こういうコロンブスの卵的な研究をこれからも行っていきたいと考えている。

2017年12月18日月曜日

研究成果を挙げる!

環境バイオテクノロジー研究室で大事にしていることの1つが成果を挙げることである。

努力したからと言って必ず成果が挙がるわけではない。実験を始めた人は皆実感することだけれど、研究はびっくりするほど進まない。機器の調子が悪かったり、試薬が古くなっていたりというだけで実験成果は出ないし、1、2ヶ月全く実験結果が出ないなんてことはざらである。

成果がなかなか挙がらないのは仕方なく、研究の常なのであるが、そうは言っても結果の出ない中で何年も研究を続けるのは精神的に非常に辛いことである。

また、日本だと「過程」の方に重点が置かれる場合もあり、頑張ったから仕方ないという根性論(?)が通ることがある。反対に少ない労力で成果を挙げると、ずるをしたかのような扱いを受けることもある。人間社会とは本当に難しい。

環境バイオテクノロジー研究室の方針は、「最短距離、最短時間、省エネルギーで成果を挙げる」である(小説の氷菓の主人公の考え方みたいである)。

実験が大事であるというのは大前提であるけれど、研究イコール実験ではない。現在ではデータの量が膨大になっており、実験データの解析が非常に重要である。

実験データの解析が終わっても、ゼミや学会発表や論文執筆などを行わなければ、せっかくの研究成果も公式には認めてもらえない。この作業も非常に労力を有する。

実験を始めてしまうと、実験が大変な作業であるために全てのエネルギーを費やしてしまうことがある。そうすると、データ解析や発表資料の作成にエネルギーを費やせないことになる。

自分も学生のころはまさにそうで、実験に全てのエネルギーを使い果たしていて、さらにそこから論文を書くと限界を超えてエネルギーを使ってしまっているようなイメージだった。時間や労力の配分が未熟であった。

また、実験を始める前に論文などを参考にして、より効果的な実験計画を考える必要がある。この点についても日々の実験で疲れ切っていると甘くなってしまう。もちろんだが、現在でも自分自身がいろいろな業務で疲れ切っていると、この辺が甘くなってしまう。

ということで、環境バイオテクノロジー研究室では、徹底的に省エネルギー化・合理化を行い、時間あたりの成果および労働力あたりの成果がより大きくなるように研究計画を考えてもらっている。

言うのは簡単で実際には実験も勉強も次から次へと大変であるのだけれど、変な根性論には走らないでもらうようにしている。楽な道はなく、学ばなければいけないことが無数にあって大変なのだけれど、一歩一歩着実に進めて欲しいと考えている。


2017年12月17日日曜日

第一校舎2号館

第一校舎2号館にもいろいろな教室が入っている。私のいる環境バイオテクノロジー研究室の隣の建物であり、渡り廊下で繋がっている。


一階には講師控え室があり、講義の前には必ず立ち寄っていろいろな要件をお願いする。専任講師の場合は自分の研究室があるが、兼任講師や非常勤の講師の方々にとっては、講義の前に滞在するスペースである。また、印刷依頼からポインタ、VGAアダプタを借りるなどのお願いもする(基本的には、自前のものを使っているのだけれど)。講義を行うには欠かせない場所である。

講師控え室は、その名の通り講師の方々の居場所でもある。専任教員には研究室があるが、外部の先生方には講義の前に滞在する場所がないので、ここに滞在することになる。ということで、お茶の用意もある。普段入ることのない学生からすると、未知な空間かもしれない。

講師控え室の隣には、農学部の学習支援室がある。TA(ティーチングアシスタント)の大学院生が滞在しており、勉強に困った学生が相談できる体制になっている。大学院生の先輩に聞くのはなかなか勇気がいるかもしれないが、学部生はどんどん活用して欲しい。

大学院生専用のデスクワークのためのスペースもある。明治大学の研究室では、各研究室の人数が多く、デスクワークに十分なスペースを用意できないことがある。このため、大学院生には専用の部屋があり、PCを持ち込んでデスクワークができるようになっている。

また、実験室や大きめの教室があるので、ガイダンスや学年全員が履修するような講義のときに訪れることが多い。

個人的な思い出としては、明治大学への着任が決定した後、初めて訪れたのがこの2号館である。年度末のその日は、新3年生の研究室の決定の日であった。そこで初めて学生の前に顔見せをして、いきなり研究室の初めての学生(1期生)を決定したのである。「ものすごい観察されてるんだろなあ笑」と思いながら部屋に入っていったのを今でもよく覚えている。なかなかに強烈な体験だった。

着任して3回ともこの2号館で研究室の投票が行われているので、(部屋が空いている限りは)この2号館で配属される研究室が決定することになるだろう(これは農芸化学科の場合)。

と、思ったら、今年は部屋が空いていないので、別の建物になるかもしれない。

いずれにしても、実に様々な機能を有する思い出深き2号館なのである。

2017年12月16日土曜日

PCRの酵素の選択

PCRの実際
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はDNAを増幅する最も効果的で簡便な手段である。

耐熱性のポリメラーゼに鋳型DNA、プライマーDNAを用いることで、DNAを効率的に増幅することができる。


PCRは各種販売されている耐熱性のDNAポリメラーゼに付属しているプロトコール通りに行えばよいのであるが、少し工夫をすることによって、節約になるとともにより綺麗な(非特異的増幅が少ないなど)PCRが可能となる。

また、PCRでは正確性や増幅効率などが酵素によって変わる。それぞれの酵素の特徴がカタログに掲載されいているが、実際に使ってみた感想と異なることがある。これは増幅するDNA配列によるので、私の場合としか言えないが、個人的感想を含めてPCRのプロトコールを記載する。

当研究室では3つの酵素しか使っていない。
1. GoTaq(プロメガ)
http://www.promega.co.jp/gotaqfanclub.html
ゲノムへのDNA断片の挿入など、増幅したPCR断片の正確性を問わない時はこの酵素が便利である。Buffer、基質、酵素、アガロースゲル電気泳動に必要な色素まで入っている。
増幅効率もとても良い。価格も手頃なので使っている研究室も多いことだと思う。
難点としては、上記のように、Bufferから酵素まですべてあらかじめ混ざっているので、酵素だけ節約して使うなどのオリジナルな手法を取りにくいことでだろうか。

2. KOD -Plus- Neo(Toyobo)
http://lifescience.toyobo.co.jp/user_data/category-pcr.php
遺伝子のクローニングでは、増幅したDNA断片に塩基置換(欠失、挿入、置換)が入ってはいけない場合も多い。そのような正確性を求める場合には、正確性の高いポリメラーゼを用いるが、以前は増幅効率と反比例してなかなかPCRに成功しない(目的DNA断片が増えない)という難点があった。

最近はPCRのポリメラーゼも改良され、正確性が高くてもそらなりに増幅効率が良いものが販売されるようになった。その中で評判の良いものはKOD -Plus- Neoである。以前の正確性の良いKOD -Plus-は増幅効率がとにかく悪く、かなり条件検討しなければDNA断片が得られなかった。この酵素ではかなり改良されている。

また、KOD -Plus- Neoでは酵素を節約することができることがある。※必ず適用できるわけではないので、自分の系でお試しください。
プロトコールだと、50 μLの反応系に1μLのポリメラーゼを加えることになっている。しかし、当研究室ではポリメラーゼの量を0.1~0.2μLにしている。これでも増幅効率は変わらない。0.1 μLは取れないと思うので、最も細いチップの先にちょこんとつけて溶液に入れるイメージである。

KOD -Plus- Neoのデメリットとしては、「名前がわかりにくい」ことである(笑)。このシリーズの名前のつけ方は、なんだろう・・・。

3. KOD DNA Polymerase(Toyobo)
http://lifescience.toyobo.co.jp/detail/detail.php?product_detail_id=166
3つのに使うのが初代KODである。色々と改良されているはずであるが、これが意外に現役で使えると感じている。使う場面はどこかというと、正確性が欲しい(配列にエラーが入ってはいけない)が、KOD -Plus- Neoで増えない時である。
KOD -Plus- Neoも増幅効率が上がったとはいえ、やはり正確性重視の酵素であるので、目的DNAが増えないことが多い。その時の選択肢としてKODを使っている。

企業のHPを見ると、KODは正確性に劣ると書いてあるが、正直エラーが入ったことはほとんどない(どんな酵素でも、クローニングの際に絶対にエラーの入ってしまう遺伝子は除く)。増幅効率もとても良い。

問題点は何かと言うと、特異性が低い。すなわち、目的DNA断片以外のDNAも増えてしまうのである。よって、アガロースゲル電気泳動を行うとバンドがたくさん出ることが多い。

ここでもKOD -Plus- Neoの酵素の節約が役に立つ。50 μLの系ならばポリメラーゼの量を0.1~0.2μLで十分である。この方が、節約だけでなく、経験上特異性が上がることが多かった。

ただし、それでもシングルバンドで目的DNA断片が得られないことも多いので、ゲルから切り出して抽出後にDNAを使うのが一般的ではある。

最新の酵素を試していないが、とりあえず上記3つの酵素で事足りている。そのうち安価で正確性も良くて、増幅効率も揃った酵素がでるのだろうか。

2017年12月15日金曜日

酸素電極による呼吸と光合成活性の測定

酸素電極とはその名の通り、酸素の消費・生成を電流に変換して定量化する機械である。これによって、酸素の消費(呼吸)と酸素の生成(光合成活性)を測定することができる。

直接的な酸素発生を測定するので、光合成の活性を測定するには極めて有効な手段である。

当研究室では、Hansatech Instruments製の酸素電極である温度制御付・液相酸素測定システム OXYT-1を使っている。この電極はクラーク型酸素電極と呼ばれている。光合成活性(溶存酸素濃度を含め)は、温度に敏感なので、温度制御は必須である。


I. 電極セットアップ
1. 電極を炭酸水素ナトリウムの粉と綿棒で擦り、きれいにする。MilliQで洗浄
2. タバコのフィルターペーパーを1/3に切る(1~1.5 cm四方)。電極に乗せ、飽和KCl溶液を垂らす。
3. 同じ大きさのメンブレンを上に乗せる。
4. メンブレンアプリケーターに小さいOリングをセットし、押し込むことでメンブレンをセットする。
5. 大きいOリングを上から固定する。
6. 本体にセットし、コードを接続する。メンブレンが乾かないように、MilliQを入れておく。

II. 測定方法
1. Oxygraphのソフトを立ち上げる。
2. 正しいポート番号を探す。分からないときは8個全て試す。
3. 温度をセットする。
4. キャリブレーションを行う。
i. MilliQを入れ、ピペットマンで懸濁して酸素を飽和させる。

ii. 電圧が安定したら、OKを押す。

iii. ジチオナイトを耳かき一杯分くらい入れる。多すぎると、電圧が安定しない。

iv. 電圧が安定したら、OKを押す。キャリブレーション終了。
5. 測定を行う。
「GO」のボタンを押すと測定スタート

培養液を入れ、ネジ蓋を締める。この時に、細い空間に少しだけ培養液が達するようにネジを締める。

まずDarkにして暗順応させるとともに、呼吸活性を測定する(例えば10分間測定し、最後の3分間の傾きを呼吸活性とする)。

光合成活性を測定する。 


光合成の全活性では、1 M NaHCO3をFinal 10 mMとなるように加えて測定する。光化学系IIの測定では、
光は光量子計を用いて光強度を測定する。全活性では1000μmol photons/m2sくらいで測定しているが、これは生物サンプルによる
。光強度を変えて測定していくのがよい。 全活性は例えば7分間測定し、最後の3分間の傾きを光合成全活性としている。

酸素電極が光合成活性測定にもっとも重要であるべきなのだけれど(酸素の発生を直接測定するため)、実は使っている研究室は結構少ない。その理由が「液相ならば測定しやすいが、気相では測定しにくい」点である。

藻類のように液体で培養できるものならば良いが、植物の場合、気相で測定することが必要である。しかし、気相には 20%の酸素が含まれているため、20%の酸素の値を差し引いたからの変化を測定しなければならず、微量な変化を測定しずらい。このため、藻類ではよく使われるが、植物ではあまり広がっていないのが酸素電極の現状である。

光合成の測定は全般に難しい。ぜひ分野外の研究者でも測定できる簡便な機器が開発されることを願っている。

2017年12月14日木曜日

ヒスチジンキナーゼによる糖・アミノ酸代謝の改変

"Alteration of cyanobacterial sugar and amino acid metabolism by overexpression hik8, encoding a KaiC-associated histidine kinase."

Osanai T, Shirai T, Iijima H, Kuwahara A, Suzuki I, Kondo A, Hirai MY.

Environ. Microbiol. 2015, 17:2430-40.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25403325

ヒスチジンキナーゼとは、二成分制御系を構成するタンパク質の1つである。二成分制御系とは、ヒスチジンキナーゼとレスポンスレギュレーターの2つのタンパク質からなるシグナル伝達の形である。細菌に広く保存されるシグナルであるが、酵母や植物にも保存されている(農学部農芸化学科では、3、4年生の生命システム工学の講義で登場する)。

ヒスチジンキナーゼは様々なシグナルの伝達を行う。ヒスチジンキナーゼは、浸透圧や塩、窒素、リン、光強度など情報を感知して、下流のレスポンスレギュレーターに伝達するタンパク質である。

Hik8は、Synechococcus sp. PCC 7942という別のシアノバクテリアでSasAという名前がつけられているタンパク質のオーソログである。SasAは、時計タンパク質であるKaiCと相互作用し、概日リズム(サーカディアンリズム)の情報を伝達して細胞内の遺伝子を制御するタンパク質である。



SynechocystisでのHik8の働きはまだわかっていないが、本論文でKaiC1とのin vivoでの相互作用が確認されたため、SynechococcusのSasAと類似の働きをしていると考えられるが、詳しいことはわからない。

本論文でHik8の過剰発現株を構築したところ、グリコーゲンや糖リン酸などの代謝産物が減少することがわかった。グリシンやスレオニンなど、一部に増加するアミノ酸もあったが、どちらかというと減少する代謝産物が多かった。

また、RNAポリメラーゼシグマ因子SigEは、明条件から暗条件に移行すると分解していくのであるが、Hik8過剰発現株では分解されなかった。このことから、Hik8過剰発現株ではSigEを介して間接的に糖異化が変化していることが示唆された。

このように、Hik8という二成分制御系ヒスチジンキナーゼを使っても代謝が改変できるということを示したのがこの論文である。ただし、分子メカニズムの解明という点では非常に甘い内容である。KaiC1という時計タンパク質とHik8がin vivoで相互作用することを示したが、それ以外のシグナル伝達経路については解けた訳ではない。

シアノバクテリアの時計タンパク質の基礎研究は、世界的に有名なグループが非常に精力的に研究をしている。その流れの端っこに乗っても仕方ないので、あくまで代謝工学的な利用をメインに当研究室では研究を進めている。

また、どのように代謝が変化するかはまだまだ出たとこ勝負であるので、予想をすることが難しい。ヒスチジンキナーゼを用いた代謝工学の論文が今後蓄積することによって、狙い通りに代謝を制御できるようになるとよいのであるが、まだまだ先の話であると思っている。

2017年12月13日水曜日

専門分野ってなんだろう?

環境バイオテクノロジー研究室は農学部農芸化学科に所属している。シアノバクテリア(ラン藻)やユーグレナなどの微細藻類を用いて、転写や代謝、光合成の基礎メカニズムの解明やバイオプラスチック原料や色素の生産法の開発を行っている。

農学部であるので、理学部のように生命の仕組みの理解をすすめるという純粋な学問だけでなく、応用志向も含まれている。特に農芸化学科では、食品、微生物、環境、化学など、人のためになるサイエンスが大事である。

私自身は、そもそも大学が特殊で、国際基督教大学の教養学部を卒業している。当時は理学科があり、そこに所属していたので一応は理系なのであるが、教養学部なので文系の授業もいっぱい受けた。専門分野にとらわれず、幅広く学ぶバックグラウンドである。

教養学部とは異なり、さすがに文系の授業は少ないが、農芸化学もかなり幅広い分野を学ばなければならない。化学と生物学が基礎にはなるが、物理学や食品化学、微生物学、環境化学・分析化学などなど、大学から始まる新しい学問が目白押しである。

環境バイオテクノロジー研究室では、名前からして「環境」「バイオ」「テクノロジー」という3つのキーワードが含まれている。

大学院生の時は、「転写制御メカニズム」というこてこての分子生物学分野の研究を行っていた。ただし、その後、代謝や光合成といったキーワードが入るものの、「生物学」がメインであった。

しかし、学位を取った2007年くらいから、「生物工学」すなわち人の役に立つような学問をしたくなってきた。たまたまであるが、光合成生物であるシアノバクテリア(ラン藻)の炭素の流れを変える因子を見つけたので、「これは環境技術に使えるのではないか?」と思い、応用に目を向け始めたのである。

その後は、純粋な生物系の学会だけでなく、生物工学会や日本化学会関連、日本農芸化学会など、生物工学・化学などの境界領域・学際的な分野を扱う学会に参加することが多くなってきた。企業の方々との接点も飛躍的に増えた。

こればかりは好みによるので、何をするべきかは自分次第であるけれど、私としては大学関係者のみでなく、企業や知財関係者など幅広い分野の人と接する方が楽しいので、今の形に落ち着いてきた。
光合成をするシアノバクテリアの炭素代謝を扱っているので、生物学・工学のみならず、環境・生態など様々な分野に生かせると考えている。実際に実用化に到達するにはまだまだ発展させることが必要だし、いろいろなことを勉強しなければいけないので大変ではあるのだが、研究を進めれば進めだけ世界が広がることがわかってきた。

広い分野を扱う場所に所属するととても大変で、1つ勉強すると3つくらいさらに勉強しなければいけないことが増えて途方にくれたりもするけれど、1つ1つ進めていくと多様な人たちとの接点が生まれ、人生を豊かにしてくれると思うので、学生たちにはぜひ焦らずに頑張って進めてほしいと考えているし、自分も頑張って色んなチャレンジをしていかなければいけないと考えている。

2017年12月12日火曜日

窒素グローバルレギュレーターNtcAを用いた代謝の改変

"Metabolomic analysis reveals rewiring of Synechocystis sp. PCC 6803 primary metabolism by ntcA overexpression."

Osanai T, Oikawa A, Iijima H, Kuwahara A, Asayama M, Tanaka K, Ikeuchi M, Saito K, Hirai MY.

Environ Microbiol. 2014 Oct;16:3304-17. 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25039649

NtcAは、Nitrogen controlという言葉に由来するタンパク質であり、窒素の栄養状態を感知して遺伝子発現を制御する転写制御因子である。正確に言うと転写因子であり、RNAポリメラーゼによる転写を正または負に制御する。

NtcAの制御下には、窒素源の取り込みに関するトランスポーター遺伝子や窒素同化を行うグルタミンシンセターゼ遺伝子がある。要するに、窒素に関連する遺伝子がNtcAの制御下にある。

また、炭素同化を担うルビスコ遺伝子や光合成遺伝子もNtcAの制御下にある。さらにこれまで研究してきたSigEやRre37もNtcAの制御下である。これらの遺伝子は、直接的または間接的にNtcAによって、窒素欠乏時に遺伝子発現が変化するのである。このことから、NtcAはシアノバクテリアにおける窒素のグローバルレギュレーターであると言われている。

NtcAタンパク質には直接2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)が結合する。2-オキソグルタル酸は、シアノバクテリアでは窒素の栄養状態を示す代謝産物として知られている。窒素欠乏時に2-オキソグルタル酸が蓄積し、これがシグナルとなってNtcAなどを活性化し、細胞の遺伝子発現を変化させることが知られている。NtcAは転写因子としてだけでなく、シグナルのセンサーとしても働いているということである。

このように、窒素のシグナル伝達の上流に位置するNtcAを改変すれば、代謝も大きく変わるだろうというのがコンセプトである。特に糖異化酵素遺伝子の正の制御因子であるSigEやRre37の上流にあるので、糖異化が促進するはずであるということである。ということで、NtcA過剰発現株を構築し、トランスクリプトーム解析やメタボローム解析を行った。

ところが、予想とは少し異なり、グリコーゲン量は減ったが、糖異化酵素はあまり増えていなかった。マイクロアレイを行ったが、それほどはっきりとしたグループの酵素遺伝子が変化したわけではなかった。窒素同化酵素や繊毛の遺伝子、TCA回路の酵素などは変化していたRre37のmRNA量やタンパク質量は増加していた。

また、NtcA過剰発現株では増殖が促進することや、フェニルアラニンやリジンなどのアミノ酸が増加することがわかった。転写制御因子を変えると代謝が変わった例はこれで3つ目となり、やはり転写制御因子の遺伝子改変は代謝工学に有効であることがここでも示されたのである。


このように、NtcAという窒素のグローバルレギュレーターを過剰発現することで、糖代謝やアミノ酸代謝を改変することには成功した。ただし、予想とはだいぶ異なる変化であり、転写制御因子を改変すると、代謝は大きく変化するものの、まだまだオンデマンドの変化を起こさせるには程遠いことも明らかになった。

2017年12月11日月曜日

第一校舎1号館

明治大学生田キャンパス。我らが農学部はこのキャンパスにある。駿河台のリバティータワーに行っても農学部はないのである。

農学部の建物は第一校舎、理工学部の建物は第二校舎と名付けられている。農学部の校舎は第一校舎◯号館という命名法になっている。

その記念すべき第一校舎1号館。どんな建物かと聞かれたら多くの人がこう答えるだろう。

「古い」

この建物では、農芸化学科では化学実験などの実習を行ったり、大教室があるので必修の授業からガイダンスまで非常に重要な講義や会合が行われる。大事な場所である。次回の新3年生の研究室のガイダンス(特研ガイダンス)も1号館で行われる予定である。



それは良いのであるが、残念ながらエレベーターなどがないのでバリアフリーではない。また、冬に講義だと、大きい階段教室では低くなっている前の方の席が寒いという難点もある。講義で後ろの方に座るというのは、あまり良いことではないのに、頑張って講義で前の方に座る人の方が寒いとはよろしくない・・・改善してほしいが、教室が広いので難しいかもしれない。

先ほども言ったが、ガイダンスなどでは度々登場する。200人以上入れる教室がほかの校舎では少ないので、古い建物であるが大活躍なのである。

私の場合は、化学実験(農学科)の実験を行っている。金属の系統分離(金属元素を分けていくこと)や酸の滴定、分光光度計などを使用した実験を行っている。農芸化学科の学生は、1年生の最初から実習でも講義でもお世話になる校舎である。

教員側のネックとしては、PCの接続がIC管理されておらず、鍵を借りて来なければマイクやプロジェクタの利用ができないという点だろうか。逆に言うと、他の教室は教員のカードがあればプロジェクタなどを使えるので便利なのである。

古い1号館ではあるのだが、農芸化学科の学生には1年生の初めからお馴染みの場所である。

2017年12月10日日曜日

糖代謝をパスウェイレベルで制御する転写因子Rre37

Pathway-level acceleration of glycogen catabolism by a response regulator in the cyanobacterium Synechocystis species PCC 6803.

Osanai T, Oikawa A, Numata K, Kuwahara A, Iijima H, Doi Y, Saito K, Hirai MY.

Plant Physiol. 2014, 164:1831-41.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24521880

これまでの研究により、RNAポリメラーゼシグマ因子SigEが糖異化遺伝子群を制御することが分かった。このSigEを過剰発現で糖代謝を改変し、バイオプラスチックであるポリヒドロキシ酪酸(PHB)や水素の生産量を増やすことに成功した。

SigEという因子を見つけたことで、シアノバクテリアの糖代謝の制御メカニズムを解明し、それを有用物質生産に利用できるようになってきたのである。

しかし、研究を続けていくうちに分かってきたことは、「糖代謝を広く制御する転写制御因子は、SigEだけではない」ということである。

このうち、大学院生時代の所属である田中寛先生の研究室で研究を進めていた因子にレスポンスレギュレーターRre37があった。この因子は東京薬科大学での研究が進められているが、SigEと似て非なる糖異化の転写制御因子である。

先行研究により、Rre37はグリコーゲンの分解酵素や解糖系の酵素の遺伝子発現を正に制御することが分かっていた。

この論文では、SigEと同様にRre37を過剰発現させ、糖代謝の変化を調べた。その結果、Rre37過剰発現株ではグリコーゲン異化酵素や解糖系酵素の遺伝子発現が増加し、炭素の貯蔵源であるグリコーゲンが減少することがわかった。

また、マイクロアレイ解析の結果、アセチルCoAからPHBを合成するための最初の2つの反応の酵素であるPhaAとPhaBの遺伝子発現が、Rre37の制御下にあることがわかった。

すなわち、SigEとは異なった形で、Rre37はグリコーゲンからPHBまでを代謝パスウェイレベルで制御していたのである。


実際にRre37過剰発現株ではPHB量が2倍に増加した。また、SigEとの二重過剰発現株ではPHB量が約3倍に増加した。

このように、たった1つか2つの遺伝子を過剰発現させることで、代謝やバイオプラスチックの量が変化することがわかったのである。



さらにRre37過剰発現株のマイクロアレイやメタボロームデータを解析すると、TCA回路とオルニチン回路のハイブリッドサイクルのようなものが存在する可能性が示唆された。

実際にこのようなサイクルが存在するかは証明できていないが、このようなハイブリッドサイクルが回ると、窒素欠乏時の代謝の動きは非常によく説明できる。

当時理化学研究所の平井優美先生の研究室にいたので、「このサイクルを平井-小山内サイクルと名づけましょう!」と言っていて、植物科学シンポジウムという大きな会議でも冗談交じりで言ったことはあった。しかし、未だに一度たりとも使われたことはない(笑)。そもそも「そういうサイクルは自分で名づけるものではなく、後に呼ばれるものだ」という先輩の意見がおそらく正しいのであろう(笑)。

それはさておき、このようなRre37という転写制御因子を用いることで、代謝や転写の基礎研究を行うとともに、バイオプラスチック量の増加という代謝工学にも成功したのである。

2017年12月9日土曜日

写真の撮り方を学ぶ。

11月は明治大学生田キャンパスにおいて、学園祭である生明祭(いくめいさい)が開催された。それに合わせ、環境バイオテクノロジー研究室初のOG会が開催された。現在研究室を離れたのが女子だけであるため、「OG会」という名前になっている(ちなみに最近はだいぶ男子も増えた。来年は果たしてどういう男女比になっていることだろう・・)。

開催場所は最寄りの小田急線生田駅の近くにある「駅」という居酒屋。明大生にはお馴染みなのだけれど、「駅」という名前は、ブラウザで検索しにくい(笑)。

飲み会はやはり学生と話をする大事な機会であると実感。この間のブログにも書いたのだけど、最近インスタグラムを始めている。最初はインスタグラムを始めて、単に写真を載せていたのだけれど、ただスマホで写真をとって載せるのではないらしい。「綺麗に加工してから写真を載せる」らしい。

てっきり上手な人は良いカメラを持っていたり、自然光を使うなどの撮影法に工夫をするのだと思っていた。ところが、写真を撮る・加工するアプリを使うのが当然とのことを教えてもらった。そうなんだ・・・

教えてもらったものは、Foodie(フーディー)という食べ物を撮影して加工するアプリだった。
Foodieとは
写真を撮影することもできるし、すでに撮影した写真を加工することもできる。こうして撮影する写真の色彩・陰影などを変えることで劇的に綺麗になるらしい。知らなかった・・・世の中知らないことがたくさんある。その後調べてみたら、インスタをやるならばFoodieは常識のようであった。。

ということで、せっかくなので生明祭で食べた写真をいろいろと加工してみた。まずはバドミントン部のワッフル(生クリーム付き)の写真を使ってFoodieで加工してみた。



上がFoodieで加工したもの、下がスマホで撮影した元画像である。

うーん、上の方が綺麗。。なんかプロっぽい写真になる(いや、プロに失礼かもしれない)。淡い色がそれっぽい。知らなかった・・・こうやってインスタなどにアップしていたとは・・・メカラウロコ。

続いては吹奏楽部のフレンチトースト。。



上がFoodieで加工したもの、下が元の画像である。上の画像はやや淡くしすぎたかもしれない💦。しかし、色々と面白いなあと関心。無料アプリなのがすごい。というか、ソフトウェアは、すごいものがどんどん無料になっていく。ソフトウェアビジネスってどうするんだろう。ビジネスの側面も非常に気になる。



リンガフランカ(フットサルサークル)のベビーカステラもこんな感じ。上のFoodieの画像の方が明らかに綺麗に映っている。

ということで、学生からいっぱい教えてもらいながら、SNSを進めている次第である。。時代についていくのってとても大変。全部についていく必要はないのだろうけれど、面白いものはどんどん挑戦していきたいと思っている。

2017年12月8日金曜日

論文アクセプト記念で叙々苑へ

だいぶ遅れてしまったのだけれど、論文アクセプトのお祝いで焼肉を食べに叙々苑に行きました。筆頭著者3名とポスドク1名、テクスタ1名と私の合計6名で参加。なかなかスケジュールが合わずに、12月になってしまいました。

焼肉の叙々苑といえば、全国的に有名な店。しかも、なぜか中目黒店に行ってきました。「叙々苑、中目黒」でブラウザで検索すると、予測変換で「芸能人」と出てくるらしい。月曜日の早い時間だったので、芸能人はいなかったけれど💧。

アクセプトの時はだいたいケーキでお祝いしていたのだけれど、今回はなぜか焼肉になりました。たまには贅沢をということなのかもしれない。

この間も韓国に国際会議に行ってきたけれど、韓国料理が好きなのである。叙々苑のキムチは美味しかった。さすがに辛さは日本人向けに抑えてあった。キムチだけでご飯がたくさん食べられそうな勢いだった。

そして、叙々苑の焼肉では焼く網が小さい!メニューを見ると「焼き過ぎないでお召し上がりください」と書いてあったので、おそらく焼き過ぎを防ぐためだと思う。この辺は肉の質にこだわりがあるだろうと推測。2回くらい肉を焼くと、「網を交換します」とすぐに網交換を行っていた。さすがである。。


上の写真は上カルビ、下の写真は上ロース。うん、噂に違わず、濃厚な味だった。何も言わないとタレ味になるらしい。今回はそのままタレ味で。塩味にもできるらしい。


個人的には焼肉にはマッコリ。韓国料理に合うのは当たり前だろうけれど、すっきりとした甘みと酸味がこってりした焼肉にぴったりです。飲んだことない人に説明するには・・・甘酒とカルピスサワーの中間くらいというわかるようなわからないような説明をしている。


壺漬けカルビなる料理には、肉だけでなく、とうもろこし、玉ねぎ、長ネギに加え、りんごやくりなども入っていた。これらも網で焼いて食べました。このほかにもコムタンスープなども注文。

デザートはデフォルトでついてくる抹茶アイス(アイスはバニラやゆずシャーベットも選べる)に加え、杏仁プリンも頼みました。アイスはハート型でおしゃれ。。周りが抹茶チョコでコーティングされているアイスで、抹茶の味が濃厚だった。

今回は僕も含め、体調不良者が多かったので残念だったけれど、十分にいつもと違う食事を楽しめました。

論文はアクセプトまでに信じられないくらい長い時間がかかる大変なもの。だから、通った時にはすごく嬉しいとともに、なんかすでに疲れているというのが定説。たまにはこういう食事で元気を出して、いつも行かない場所で気分転換して、また頑張って研究をするというのが大事だと思う今日この頃でした。

2017年12月7日木曜日

窒素欠乏時に炭素をどのように貯めるか?

"Capillary electrophoresis-mass spectrometry reveals the distribution of carbon metabolites during nitrogen starvation in Synechocystis sp. PCC 6803."

Osanai T, Oikawa A, Shirai T, Kuwahara A, Iijima H, Tanaka K, Ikeuchi M, Kondo A, Saito K, Hirai MY.

Environ. Microbiol. 2014, 16:512-24.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23796428

理化学研究所に移り、代謝システム研究チーム(平井優美チームリーダー)の研究室に所属した。2010年度は基礎科学特別研究員だったが、2011年度よりさきがけ専任研究者となった。さきがけについては別項で詳細に語る。

平井チームはさらに大きなくくりでメタボローム研究のグループに所属している。この縁で、理研および山形大学の及川先生とコラボできたことは非常に幸運である。

そして次から次へと幸運は巡ってくる。センターに新しく神戸大学近藤先生のチームができた。近藤先生は、日本の生物工学のトップに君臨するお方の一人である。チーム発足と同時にいらした上級研究員(現副チームリーダー)の白井先生ともコラボして研究を進めることになった。改めて振り返ると、共同研究を組ませて頂いている方々が豪華すぎる💦。恵まれているなあ・・。

この論文では、遺伝子発現とメタボローム解析により、窒素欠乏後4時間のシネコシスティスの代謝変化を調べたものである。

これまで糖異化関連遺伝子発現が窒素欠乏時に誘導されることを明らかにしてきたのだが、一方で、グリコーゲンは窒素欠乏時たまることが知られている。この矛盾を解決するためにメタボローム解析によって代謝の全体像を明らかにしたのである。

メタボローム解析の結果、窒素欠乏時にはTCA回路の有機酸が増加することがわかった。また、窒素を多く含むアミノ酸が減少し、反対に窒素の少ないアミノ酸が増加することも分かった。

窒素欠乏時にはグリコーゲンに炭素を貯蔵すると思われていたのだが、これらの結果より炭素源は有機酸などの形でも貯めておくことが示唆された。炭素源を分散させて貯蔵しておくのである。

分散させて貯蔵する理由はまだ明らかになっていないが、再度増殖を開始する際に、一箇所に炭素源があるよりも便利なのかもしれない。この辺りの疑問は今後解消していきたいと考えている。



また、この論文ではNADPHの比率が窒素欠乏時に低下することも示している。NADPHは光合成電子伝達系の最終産物であり、かつ、さまざまな代謝産物の生合成に使われる物質である。しかし、測定が難しい。白井先生の技術ではじめてきちんとNADPHを定量することができた。これは非常に大きな出来事だったと思う。

この論文はトムソン・ロイターの高引用論文にも選ばれ、メタボロームのすごさを知った論文でもある。共著者の方々には頭が上がらない。共著者の皆様ありがとうございました。

2017年12月6日水曜日

Instagramはじめてみました。

いまさらだけれど、先月11月からInstagram(インスタグラム)を始めています。

https://www.instagram.com/osanai_meiji/
これは小山内の個人アカウントです。
https://www.instagram.com/meiji_biotechnology/
こちらは環境バイオテクノロジー研究室の公式アカウント

明治大学に赴任したのが2015年4月。ずっとガラケーで、赴任半年前にやっとスマホに変えたという流行りに遅れている人間だった。

最初に、環境バイオテクノロジー研究室の1期生と連絡手段を確立する必要があり、当然メールかと思ったら「えっ、LINEじゃないんですか?」といった反応だったので、そこでLINEをやっと始める。もちろん、長文を送るのが大変なので、研究室のメーリングリストもある。

その後、学生たちに影響され、特に自分の担任である現在の2年生に話を聞き、ツイッターを始めることになる。2016年の春だったと思う。一時期かなりの頻度でつぶやいていたけれど、つぶやいてもあまり得るものがないことが多いので、最近は論文や学会、明治大学の広報的な報告が多くなっている。

また、研究室内のデータ共有にはDropboxを使っている。私は結構好きなのだが、研究室共有フォルダのサイズが大きくなると、無料版では対処できなくなるという問題も出てきている。私のDropboxは容量を大きくしたので問題ないのだけれど、デフォルトの無料版を使っている場合にはこれが問題になっている。しかしながら、クラウドは本当に便利で、今や仕事に欠かせない。iPhoneからアクセスできるのも非常に便利である。

予算を頂いている新学術領域「新光合成」では、サイボウズLiveを使って情報共有している。個人的には少し使いにくいが、大人数のデータ共有はこのようなものがないと不可能なので、良いのだと思う。ただし、無料版が終わってしまうというニュースが飛び込んできたので、移行が必要である。

最近になって、このブログを始めた。ツイッターはつぶやいても残らない(正確には検索しにくい)。プロトコールなどもDropboxにワードファイルであるのだけれど、アクセスが面倒である。また、ウェブ上に公開してあるプロトコールはとても便利であり、科学の発展には大事である。

また、研究室の紹介をホームページに載せているのだけれど、ホームページソフトが使いにくい・・・自分でソフトを買って作っているけれど、Word感覚ではとても作れない。また、商売の問題ですぐにソフトがアップデートしてしまい、旧バージョンは保証されなくなるという問題もある。そこでもっと見やすい研究室の紹介をしようと思い、ブログを作成した。よくある質問などを載せておけば、研究室選びに役立つのではないかと思う。

さらに、アドセンスにも挑戦したいと思っている。研究だけでなく、ビジネスにも幅広い視点を持つのが環境バイオテクノロジー研究室の目指すところである。

そして今回、Instagramを始めてみた。情報過多の時代。どんなに良いことを書いていても、読んではくれない。一瞬で興味を引くことが大事である。その点では、やはり写真や動画に勝るものはないと思う。


このように、辛そうな韓国料理はインスタ映えすることもわかった(これはブログだけれど)。このように、いかに興味を惹けるかも勉強していきたいと思っている。

Instagramを始めた理由についてはもっといろいろあるのだけれど、それは別の機会にたくさん書く予定です。

赴任して3年目になり、少し環境が落ち着いたので、どんどん新しいことにチャレンジしようと思っている。辞めるのは別に簡単なので、色々学んで行動してみて、より面白い展開になるように発展させていきたいと考えている。大学の先生は自由なのである。

6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼの活性測定

6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGD)の酵素活性測定
6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGD)はグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)と並び、酸化的ペントースリン酸経路の鍵酵素である。NADPHという還元力を生産することから、細胞内の酸化還元バランスに重要であると考えられている。ちなみにシアノバクテリアでは、参加的ペントースリン酸経路がグルコースを資化する主要な経路として知られている。

準備する溶液
100 mM HEPES-KOH (pH7.5)
100 mM glucose-6-phosphate

細胞培養液(20~50 ml分)から細胞を回収。凍結保存。

細胞を1 mL HEPES-KOH (pH7.5)に懸濁。氷上で冷やす。

超音波破砕を行う。当研究室ではSonics社製のVC-750を用いている。10 sec x 6~7回。
※SDS-PAGEの場合よりも、温度に気をつけて破砕する。常に氷上で操作を行う。絶対に溶液が熱くならないようにする

遠心 15000 rpm x 5 min, 4℃

上清を新しいマイクロチューブにうつす。

BCAで細胞抽出液のタンパク質定量を行う。

40 μg totalタンパク質分の上清を新しいマイクロチューブに入れる。HEPES-KOH (pH7.5)でTotal 100 μLにする。

100 mM HEPES-KOH (pH7.5) 700 μL
20 mM NADP+ 50 μL を加える。
反応溶液のTotalは 850 μL。

25℃のヒートブロックで3 minインキュベート
※温度変化を調べる時は、この部分の温度を適宜変える。

A340の変化を2 min測定(1分間の変化量をA1とする)

100 mM 6-phosphategluconate 100 μlを加える

A340の変化を2 min測定(1分間の変化量をA2とする)

A = A2-A1
1分間に1μmol NADPHを生成する活性を1 unitとする。
unit/mg total protein = A/6.2 x 0.95 / total protein (mg)
6.2: NADPHのミリモル吸光係数, 0.95: 反応溶液のvolume (mL)
※Totalの反応液量は適宜変えてもよい。

G6PDと並び、6PGDも比較的測定が簡単な酵素であると思う。活性が弱い場合には、反応させるタンパク質溶液の量を調節する。

※プロトコールは必ず他の文献などでも確認してください。

2017年12月5日火曜日

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの活性測定

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)の酵素活性測定
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼは、酸化的ペントースリン酸経路の最初の酵素である。代謝の分岐点となる酵素であるとともにNADPHという還元力を生産することから、この経路の鍵酵素として知られている。この酵素の活性を測定することで、酸化的ペントースリン酸経路がどのくらい働いているかの指標にすることできる(もちろん代謝フラックスと一致しているとは限らない)。

準備する溶液
Buffer A (55 mM Tris-HCl, pH8.0, 3.4 mM MgCl2)
20 mM NADP+
100 mM glucose-6-phosphate

細胞培養液(20~50 ml分)から細胞を回収。凍結保存。

細胞を1 mL BufferA (55 mM Tris-HCl, pH8.0, 3.4 mM MgCl2)に懸濁。氷上で冷やす。

超音波破砕を行う。当研究室ではSonics社製のVC-750を用いている。10 sec x 6~7回。
※SDS-PAGEの場合よりも、温度に気をつけて破砕する。常に氷上で操作を行う。絶対に溶液が熱くならないようにする

遠心 15000 rpm x 5 min, 4℃

上清を新しいマイクロチューブにうつす。

BCAで細胞抽出液のタンパク質定量を行う。

90 μg totalタンパク質分の上清を新しいマイクロチューブに入れる。BufferAでTotal 200 μLにする。

BufferA 600 μL
20 mM NADP+ 50 μL を加える。
反応溶液のTotalは 850 μL。

25℃のヒートブロックで3 minインキュベート
※温度変化を調べる時は、この部分の温度を適宜変える。

A340の変化を2 min測定(1分間の変化量をA1とする)

100 mM glucose-6-phosphate 100 μlを加える

A340の変化を2 min測定(1分間の変化量をA2とする)

A = A2-A1
1分間に1μmol NADPHを生成する活性を1 unitとする。
unit/mg total protein = A/6.2 x 0.95 / total protein (mg)
6.2: NADPHのミリモル吸光係数, 0.95: 反応溶液のvolume (mL)
※Totalの反応液量は適宜変えてもよい。

G6PDの活性測定は特に注意点もなく、比較的簡単に測定できると思われる。精製タンパク質を用いる場合は、Buffer AとNADP+溶液さえあれば測定できる。生物によって細胞の破砕方法は検討する必要があると思われる。

2017年12月4日月曜日

SigEによる光合成・形態・水素生産の改変

"Pleiotropic effect of sigE over-expression on cell morphology, photosynthesis and hydrogen production in Synechocystis sp. PCC 6803."

Osanai T, Kuwahara A, Iijima H, Toyooka K, Sato M, Tanaka K, Ikeuchi M, Saito K, Hirai MY.
Plant J. 2013, 76:456-65.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23941239

それにしてもこのころは本当にいろいろな歯車がうまく噛み合って研究を進めていた。充実していたが、大変な時期でもあった。おそろしい勢いで仕事をしていたと思う。

単細胞性シアノバクテリアであるシネコシスティスを用いて、有用物質の生産に取り組んでいた。当時はさきがけ専任研究者であったため、その予算を使って研究をすることもできた(ただし、子育てがもっとも大変な時期でもあった)。

RNAポリメラーゼシグマ因子SigEの過剰発現によって、糖異化を促進し、バイオプラスチックであるPHBを増加させることに成功し、論文を発表していた。

このSigE過剰発現株を色々と解析していくと、代謝だけでなくあらゆる部分が変わっていることがわかってきた。

まず、SigE過剰発現株は、細胞が大きくなっていたのである。増殖そのものも少し促進されていた。分裂面に野生株にはないリング状の構造が見られた。
また、光合成活性が変化することもわかるなど、代謝・光合成・細胞形態と、たった1つのタンパク質が増えるだけで多面的な変化をもたらすことが明らかになったのである。

さらに、SigEの制御下にある遺伝子群を解析したところ、水素の生成・消費に関わる酵素であるヒドロゲナーゼの遺伝子群があることがわかった。

水素は嫌気条件で生産されるため、SigE過剰発現株を嫌気発酵条件で培養し、蓄積した水素の量をガスクロマトグラフィーで測定したところ、野生株に比べて水素の蓄積量が2倍に増加していることが明らかになった。

このことから、SigEというタンパク質は、バイオプラスチックPHB(ポリヒドロキシ酪酸)と水素の生産の両方を制御することが明らかになったのである。

バイオプラスチックPHBと水素は全然別のものに思えるが、両方とも還元力を利用して生産される。シネコシスティス細胞は、ある時にはPHBに還元力を割り振り、また別の時には水素に還元力を割り振るのである。このバランス調節がどのような場面で必要かはまだ明らかになっていない。しかし、視点を変えると、バイオプラスチックと水素生産が繋がっているということが明らかになり、興味深い結果となった。これはその後発表したコハク酸生産と水素生産の論文にも生かされている。

このように、バイオプラスチックに加え、水素の生産に関与する因子を発見したという論文であり、格式と伝統を有するThe Plant Journalにアクセプトされたことは非常に嬉しい出来事であった。コンスタントにこのレベルのジャーナルに出していきたいのだが、なかなか難しい。チャレンジあるのみである。

2017年12月3日日曜日

藻類バイオの領域公開シンポジウム 事後報告no.2

前回の続き、藻類バイオの領域公開シンポジウム 事後報告no.2である。


発表はさきがけの成果は簡単に紹介しただけで、その後の展開に焦点をおいて行った。

その後の展開は、本当にいろいろあった。激動すぎて正直なんか信じられない。大変ではあったけれど、よいこともたくさんあった。

大きな出来事の1つといえば、何と言っても明治大学に専任講師として着任したことである。農学部農芸化学科に環境バイオテクノロジー研究室を立ち上げることができた。それまでは理化学研究所にいたので、大学とは異なり教育ではなく研究が主目的であった(とはいえ、理化学研究所でも研究だけやっていればいいというわけではなく、広報的な仕事もいっぱいあった。その話はまたいつかどこかの機会で)。

明治大学では研究もさることながら教育に重点が置かれている。自分の名前で論文を発表していればいいわけではなく、学生にも研究発表・論文発表の機会を作らなければいけない。
ということで、各学生に対して個別のテーマを設定する必要がある。

現在ちょうど20人(修士3名、学部生17人)で、このくらい人数が増えたらどうなるのかと思っていたけれど、正直手が足りない。そして、学生たちが自分たちでテーマを作っていくようになったので、広がる一方になるのをむしろ止めないといけないくらいである。こんなことになるとは全く思っていなかった。嬉しい限りである。

そして、人ベースの研究計画とその成果をスライドで1枚ずつ発表していった。M1の学生が筆頭論文やポスター賞を取り、B4の学生まで論文を出しまくっているのには、さすがに驚いてくれたようであった。研究室みんなの努力の賜物である。

最後の章では、環境バイオテクノロジー研究室で本格的に始めた代謝酵素の生化学の結果を発表した。代謝といえば、前のグループはメタボロームの研究室だったし、代謝モデリングの先生と共同プロジェクトを進めている。

ところが、代謝酵素の生化学をやってみると、実は新しいことがどんどんわかり、最新の代謝研究に必須であることがわかってきた。そんな代謝酵素の生化学の重要性を訴えてきた。

夜は意見交換会。研究総括からアドバイザーの先生、CREST、さきがけのメンバー。本当にすごい人たちばかりである。情報の濃さがすごい。このメンバーに加われるだけで本当に光栄なのである。一回そういうメンバーに入ると、さらにそこから共同研究が生まれるし、すごく良い循環が生まれる。

そういう意味で、さきがけの研究総括・アドバイザーの先生方には本当に人生を変えていただいたと感謝している。領域会議はすごい大変だったけれど💦。

今年度で藻類バイオ領域のCREST・さきがけが終了なので本当に残念である・・・。ぜひとも後継プロジェクトが走って欲しいと、切に願っている。