2018年4月21日土曜日

前培養と本培養

培地を作ったら、次に基礎実習で行うのは、前培養と本培養である。いよいよ生き物を使った実験になる。

いろいろな微細藻類がいるが、まずは一番使いやすいシアノバクテリアSynechcoystis sp. PCC 6803で基礎実習を行うことが多い。

培養だが、まずSynechcoystisの様々な株が固体培地で培養されている。BG-11培地を寒天で固めたものである。ここから爪楊枝で液体培養に「植菌」する。この最初の液体培地での培養を、前培養と呼んでいる。

その後、Synechcoystisの場合は、光を照射し、1%のCO2を含んだ空気を導入し、30℃で3〜5日間培養する。

爪楊枝での植菌では、同じ量の細胞を入れることは不可能である。そこで、上記の前培養の濁度(吸光度)を測定すρう。Synechocystisの場合、OD730測定する(OD750の場合もある)。

その後、同じ濁度になるように新しい培地に移す。この際には、前培養液を液体のまま入れない。プラスチックチューブに前培養液を入れ、遠心分離をしてから上清を捨て、残った細胞を新しい培養液で懸濁してから培養を始める。
シアノバクテリアの場合、遠心分離は必ず室温で行う

この時の濁度は揃っているはずであり、ここからの培養を本培養と呼んでいる。

一見簡単そうだが、少しでも操作が異なれば全然違う結果になるのが、生き物の難しさである。

できる限り毎回同じ動作で行ったり、同じ器具を使うことが重要である。

毎回同じように細胞を増殖させることができるようになることが、研究をスタートさせる第一歩である。



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