2018年1月14日日曜日

研究室は何の役に立つのか?その1 無数の選択肢から今の行動を選ぶ

明治大学も他の理系大学と同様に卒業研究を行う。ただし、農学部の場合は3年生から研究室に配属される。一般的な大学だと4年生からが研究室に配属されて卒業研究がスタートすると思う。

うちの研究室では、微細藻類の環境に関連する技術開発を行っている。また、もともと私が分子生物学の出身であるため、光合成生物の転写や代謝、光合成のメカニズムの基礎研究も行っている。その他にも食用色素や培養法の開発なども進めている。

最近では微細藻類もすっかりメジャーとなり、大手企業でも研究開発を行っている例がある。なかなかうまくいく例は少ないが、例えば株式会社DICがスピルリナを供給していることは有名であるし、東大発ベンチャーである株式会社ユーグレナはすでに東証一部に上場している。微細藻類を取り巻く環境は昔とはかなり異なっており、驚きである。

そうはいっても、卒業して微細藻類を直接扱う人は少ないと思う。これはうちの研究室に限らない。自分が卒業研究でやっていた内容を会社に就職しても続けている人はごくわずかではないかと思う。

それでは研究室は何の役に立つのだろうか?

何回かに渡ってこの疑問に対する私見を書いていこうと思う。

ただし、はじめに書くべきことは、就職してからの進路は様々なので、すべての人には当てはらないだろうということである。また、私自身も別にいろんな職業を経験したわけではないので、「うちの職業にはあてはらない!」と言われても「そうですか」としか言えないと思う。

そのような前提のもと、個人的な経験から研究室がどう役立つかについて書いていきたいと思う。


当研究室(環境バイオテクノロジー研究室)では3つの能力を鍛えることを標榜している。

それは何かというと、判断力、コミュニケーション力、努力

である。これらはアカデミックの研究者以外でも大事だと思うので、これらの能力を鍛えることにしている。

判断力は卒業研究に入ってまず必要になる能力であると思う。

研究室見学の時に学生はいろいろな人から言われることだと思うけれど、研究室に配属になると行動の自由度、選択肢が増える。今日の講義はAで、明日は実習Bで、来週はテストで・・・と、それまでは大学のカリキュラムで日程が組まれていたものが、研究室配属になると自由になる。

自由になったらなったでこれが結構大変である。すべての予定を自分で組み立てなければならない。研究だけでも今日は試薬を作るのか、実験Aを行うのか、実験Bを行うのか、それとも機器の使い方を調べるかなど、無数の選択肢がある。

それに加えて、授業だったり、大学院進学の勉強、資格取得、就職活動・インターンなどなど行動の選択肢がこちらも無数にある。これらの中から今やることを選んでいくのである。もちろん、その選択によって、効果的な日もあれば、徒労に終わってしまう日もある。

この自由過ぎる自由に晒されるのが研究室ではないかと思う。この自由な時間・空間に放り投げられた時に、判断力を磨いていくことになる。

よって、上に決められたことを毎日行う研究室では、この判断力の訓練ができないのではないかと思う(ただし、研究室のポリシーがあるので、まずは一通りの練習が必要なところもある。まずはその研究室の方針に従って欲しい)。


この判断力はスポーツでも有名で、サッカー選手なんかが「テクニックやスピードがなくても判断力で代表選手になった」なんて話も聞いたことがある(あまり詳しくないけれど)。おそらくいろいろな分野に応用できるのではないかと思っている。

その2に続く。

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