2018年5月31日木曜日

チームバチスタの栄光シリーズ、最高としか・・

好きな作家はたくさんいる。私の趣味は、ほとんど日本の現代作家である。

真っ先にあげたい一人は、海堂尊さんである。昔、JSTのさきがけ研究者だった時にインタビュー記事でも「尊敬する人」として上げた。

海堂氏といえば、何と言っても「チームバチスタの栄光」シリーズである。ドラマや映画化されたので説明不要かもしれないが、愚痴外来という精神科医の田口と厚生労働省のキャリヤ官僚である白鳥を中心とした病院を舞台としたミステリーである。

何と言っても海堂氏は、医者である。医者が書くので、専門分野を安心して読める。

たまに科学者を題材にしたドラマなどがあるのだけれど、単に科学者が恋愛するだけだったり、設定が適当すぎて興ざめしてしまうことがある。こういった心配無用の小説である。

そして、単に専門的というだけでなく、面白い。超偉そうだが、キャラが立っている

たまに読んでいると、「この人誰だっけ?」と登場人物が何者だったかわからなくなる小説がある。そういうのとは無縁で、キャラがすばらしく印象的なのが海堂ミステリーの特徴であると思う(←何様だって感じだが)。

2006年宝島社から刊行されたのがデビュー作の「チームバチスタの栄光」第4回このミステリーがすごい大賞である。

下読みだけで大賞が決まったというのがこの作品である。要するに圧倒的だったそうである。

刊行されてからだいぶ経ってから読んだが、本当に圧倒的だった。この面白さがわからない人いるんだろうか?と思った。その後の作品も面白いので、それはまた別のブログ記事にします。



2018年5月30日水曜日

Powerpointのスライド送りでイライラさせない方法

ゼミや学会、卒論発表会などでPowerpointを使う人は多いと思う。

サイエンスでは徹底的に感情論や好みを排除するが、発表などでは聴衆を飽きさせない努力や専門外の人へのわかりやすさなど、聞いてもらう努力が必要不可欠である。

質疑応答では、発表した結果について議論をするのが中心になるので、最後まで進んだスライドを、質問があったスライドに戻す必要がある。

しかし、20ページ、30ページに及ぶスライドになると、戻すだけでも時間がかかってしまう。

そこでぜひ覚えておいて欲しいことは、

スライドショー中に「数字+enterキー」で、その数字の番号のスライドに瞬時に移動できる

ことである。知っている人からすると当たり前すぎるのだけれど、意外と知らない人も多い。

だいたいのスライドの場所を覚えておけば、数字+enterキーで近くに飛んで、即座に質問に答えられることになる。

ささやかなヒントではあるけれど、結構役立つスライドショーのテクニックである。


2018年5月29日火曜日

そういえば小説紹介。。

久しぶりに新カテゴリーを作成。「小説紹介」をしていこうと思う。

明治大学着任1年目の2015年度。着任と同時に3、4年生の専門科目である「生命システム工学」が春学期(前期)にそして、「環境バイオテクノロジー」が秋学期(後期)に開講され、担当することになった。

せっかくなので、いろいろな試みをしようと思っていた。若かったな・・・(3年前だけど)。

少し前に書いたけれど、何か飽きさせない工夫をすることだけは決めていた。それで、色々と途中でクイズなどを出して、答えてもらっている。

さらにせっかくなので自分の趣味でも紹介しようと思った(↑文章のつながり悪い笑)。

そこで紹介していたのが、自分の好きな小説である。

この小説紹介は、最初の1年間だけやって、あまり意味がないかもしれないと辞めてしまったので、幻の講義である(いや、別に「ふーん、だから?」という感じか・・)。

ということで、ブログでも好きな小説を紹介していきたいと思う。
(↑ここも文章のつながり悪い笑)


2018年5月28日月曜日

仕事をしながら体力を回復させる!

環境バイオテクノロジー研究室も早いもので4年目である。

大学院に進学する学生もいるが、学部で就職して仕事を始めている学生もいる。卒業生は、今年度が社会人1年生と2年生のはずである。

仕事に入ると本当に忙しい。

最初は新人として慣れない場所や新しい生活リズム、人間関係を構築していかなければならない。あっという間に終わってしまうのではないだろうか。

そうこうしているうちに、今度は指導しなければいけない部下ができてくる。また、新人だからといって許されていたことも許されなくなってくるし、仕事量も増えてくることだと思う。

業種によるのでなんとも言えないが、30代前半〜中盤くらいまで右肩上がりで忙しくなっていき、この年代でピークを迎えるとよく言われる。私の場合も実際そうだと思う。30代後半になった今ももちろん忙しいのだけれど、30代前半〜中盤に比べると少し落ち着いている(もちろん、仕事の要領もよくなっているが)。

この年代では、すべての仕事をやると言っても過言ではない。もっとも重要な仕事を進めつつ、部下の指導を行い、上司の意向も調整しなければならない。私について、今は30代前半〜中盤よりも忙しくないと述べたが、この理由の一つは、上司がいないので、意向を調整しなくてよいという側面がある(別に厳しい上司がいる!とかではなく、どんなことも報告しなければいけないし、上司にも責任が発生するので相談は必ずしなければならないので)。

さらにこの年代ではライフイベントが多く発生する。私の場合も20代終わりに結婚して、子供が2人生まれた。1人目の子供が生まれたから2人目の子供が3、4歳以上になる7、8年間というものは本当に忙しいものであった。

子供と週末遊ぶのはとても幸せなことであるのだが、オムツを持っていきながら抱っこで抱え、ご飯を食べさせるのはすごく大変なことである。また、子供はよく風邪を引くし、熱を出せば心配なので病院に行くことになる。検診や予防注射や歯医者なんかも含めれば、数え切れないほど病院に行くことになるだろう。

こうして、「平日は仕事で疲れて、休日に休みを取る」という図式は崩壊するのである。子育てに限らず、社会人になって自分が世帯主になれば家のメンテナンスだったり、年代によっては介護だったりと色々あると思う。休日に休むなんてことができなくなってくるのである。

そんな生活をしながら思ったことが、タイトルにある「仕事をしながら体力を回復させる!」である。回復させなければならないといった方が正しいかもしれない。矛盾してるなあと思っていた。本当に。。

実際に月曜日に出勤して、職場に着いた時が一番疲れていることも多かった。幸い研究職で自分の裁量が大きい職業だったので、自分のペースで働けばよかった。別に1時間休んでいても誰にも文句は言われない。研究職は成果主義なので、長く実験したりPCに向かって頑張った感を出しても何にも評価されない。これはありがたいことであった。

とにかく長い時間働きなさいとか上司より先に帰ってはいけないなんていう、しょうもない考え方はかなり少ないのではないかと思う(多分)。

ということで、現在は子供も大きくなってきたのでだいぶ楽にはなってきたが、「仕事をしながらも体力を回復しなければならない」というのが、働いてきた感想である。

どうすれば良いかと言われてもやや難しいのであるが、
1. 文句の言われない成果を出して、少ない勤務時間でも文句を言われないようにする。
2. 仕事スピードを上げて、休める時間を作れるようにする。だらだら仕事をしないようにする。メリハリをつけて仕事をする。
3. 自分の仕事のスタイルを上司を含めた周りに説明する。
だろうか。

だらだらと長く働く会社だとその時点でアウトかもしれない。また、やはり普通の成果ではなく、自分のスタイルでやりたい以上、普通以上の成果を挙げなければいけないと考えている。そして、大事なことは、それを周りにうまく説明することだと思う。「頑張っているんだから察してね」と言って察してもらえるほど甘くはない。一言言えば平和に収まるところをなんとなく言わないでおくと「勝手な人」になってしまうと思うので、うまく説明することが大事であると思う。

仕事を人生の中でどのような位置付けにして、どう向き合っていくかは幸福度を決める重要な因子である。だんだんに自分のスタイルを確立しつつ、適切な位置付けにできると良い人生になっていくと思う。

2018年5月26日土曜日

アカデミックのバイオ系研究者の意外な良さとは?

筆者は大学教員であるので、先生であると主に研究者である。バイオ(生物工学、分子生物学、生化学)などが専門になる。アカデミックのバイオ系研究者である。

明治大学に赴任する前は、理化学研究所に在籍していた。こちらは国立研究開発法人(前は独立行政法人)なので、大学ではないもののアカデミックの研究職とも言える。

アカデミックの大変さはいろいろと情報が伝わっているので、良いところを1つ。

いろいろな良い点があるが、意外な良さとしては、「成果がはっきりとわかるので、仕事ができない人が、威張ることができない」ことである。

学校でも仕事場でも、全然勉強や仕事ができないのに「俺はすごい!」的な勘違いをしていて、よくわからないマウンティングをしてくる人はいないだろうか?

別に自慢するのは構わないのだけれど、俺の方が勝っているみたいなよくわからないマウンティングをしてくる人は結構いる。自分が大学生の時には、こんな人がまわりにうじゃうじゃいた(笑)。本当に疲れたものだった。

今でもいろんな人の仕事の愚痴を聞くと、「全く仕事をしないのに、偉そうにしている!」、「自分でやっていないのに、自分の成果のように語る!」、「自分ができると勘違いしている!」などの話はとても多い。仕事のできる人ならいざ知らず、仕事ができない人に自慢をされるのは、とてもイラっとするものである。

その点、アカデミックのバイオ系研究者の場合、こういう勘違いな自慢やマウンティングは通用しない。絶対的な評価ではないが、その人の仕事ぶりを論文で計られるからである(教育や特許などの知財、起業などの成果もあるので、論文だけではないことは強く言っておく)。

若かりし時は「俺はすごい!」と言っていた人たちが、一人、また一人と妄想から覚めていく。勘違いができなくなっていく。それが、成果がはっきりと可視化されるアカデミックの世界である(文系の世界はわからない)。

なので、自分の実力を正当に評価してほしい!という人にはオススメの世界である。

暗い話だけではなく、アカデミックの良さも伝えていきたいと思う。

2018年5月24日木曜日

これから日大で起こること

昨晩の会見を見たが、まあ、感想はもう言うまでもない。まともな人は誰が真実を言っているかわかるだろう。


私は3年前まで理化学研究所(通称理研)に所属していた。理研には通算6年くらいいたと思う。この時期に何があったかというと、あのSTAP細胞の事件である。

真相うんぬんはさておき、画像の使い回しやコピペなどがあった。言うまでもない不正である。しかし、会見では認められることがなかった。昨晩の会見と同じである。

さて、こういうことが起きると、内部では何が起こるのだろうか体験談を紹介したいと思う。


まずはこういう会見を見て、
「真実を語って謝ってくれればいいのに・・・認めないのかよ」と頭を抱える。
これが始まりである。今回の選手の方についてもそうだが、日本人は再起・復活物語みたいなのが好きである。なので、正直に謝って出直すと、たいがい許してくれる気がする。

話はそれたが、しかし、謝らずにあのような会見を行う。それを見た内部の人たちは、
「くるぞ・・・これはえらいとばっちりがくるぞ・・・」
と、当然身構えることになる。

そして、何もなく過ぎ去る・・・なんていうことがあるわけもなく、がっつり悪影響が来る

しかし、一般的な悪影響のイメージとは異なるかもしれない。例えばデモ隊みたいなのが押し寄せたり、誹謗中傷の電話が鳴り止まないなどを予想するだろう。広報窓口にはそういうのもくるのかもしれないが、現場はいたって静かである。

しかし・・・そう、静かだが強力な負の出来事がたくさん起こる。

今回の件でも「第三者委員会を立ち上げて・・・」なんて言っていた。そうすると、外部の弁護士や教授などを呼んできて組織を作り、検証を依頼する。また、昨日の会見にも大勢の人間や大きな会場などを用意することが必要である。内部で連日会議をしたことだろう。

こういったことに多額の予算が費やされることは言うまでもない

どこかで予算が費やされれば、他のところで予算が削減されるのは当たり前である。

どこが削られるかというと、例えば新規採用や任期の延長、新しいプロジェクトのスタートなどである。

要するに、予算が削減されたからといって、だれかをクビにするのは難しいし抵抗も激しい。しかし、新規採用を取りやめならば、文句も出しようがない。また、新しいプロジェクトの中止なども残念ではあるが、生活に困るほどではないので、それほどの抵抗もでない。さらに任期制の社員、特に立場の弱い人の任期の延長がなくなる。これも任期が決まっているのだから、延長がなくなるだけで、組織論理としては仕方がないとされる。

こうして、静かだが確実で強力な負の影響が出るのである。新規採用がなくなれば若手の力がなくなるし、新しいプロジェクトの中には将来極めて有望なものがあったかもしれない。将来への投資が人知れずなくなるのである

もちろん他にもたくさんの影響が考えられ、例えば施設の修繕・環境整備などは遅れることだろう。こういうのも削減しても激しい抵抗にはならないからである。

今回の日大の件ではわからないが、少なくとも予算がそれなりに消費されると思われるので、上記のような出来事が起こるのではないかと思う。

さて、こんなやっていられない目に遭うのだが、中の人はそんな苦しい中粛々と働くのだろうか?

もちろん頑張って働くことになるが、もう一つたまに起こることとしては、
自分たちで自虐ネタにして笑いをとらないとやっていられない
と考えることである。

理研でも、あの直後の4月の新入所員説明会において、「これがあの理研の実験ノートです!!」と事務職員の方がネタにしていた。そうでもしないとやっていられないという気持ちだっただろう。

ということで、あのようなことがあると、
謝ってくれよと頭をかかえる

身構える

静かに、しかし確実に負の影響が出る(新規採用etc)

せめてもの抵抗として自虐ネタにする
という流れが起こった。今回はどうなるかはわからないが、間違ったらすぐ謝るのが大事であることは確実だろう。

司会者が一番偉い。

研究室のゼミでは、大学院生の学生に司会をしてもらうことにしている。座長といってもいいかもしれない。

発表をお願いして、終わったら質疑応答を促し、質問がない時には自らが質問をする場合もある。司会・座長である。

1年目は特になにも考えずに私(教員)がやっていたが、いつからかお願いするようになった。

なぜなら、司会をする能力はとても重要だからである。

テレビでも、一番偉いのは司会者である。番組名に人名が入るとしたら、それは司会者のことが圧倒的に多い。


しかし、一見すると不思議なものである。たとえばロケ番組だったら、体を張って面白い映像を取ってくるのは司会者ではない。教育的な番組だったら、専門的な話をするのは毎回のゲストであり、司会者ではない。ともすれば、「映像や話にリアクションをしているだけじゃん!」と感じることもあるだろう。

けれども、日本に限らず、海外の番組でも司会者が一番偉いポジションである。

これはどんなものでも「場を作る」ことが大事だからである。人と人とをつなげると言い換えることもできるかもしれない。

番組に限らず、ものづくりも研究もいろいろな人の仕事がばらばらに動いているわけではない。それぞれの仕事の量や質を調整し、仕事の場所や時間も合わせなければ、お互いの仕事が妨害し合ってしまい、全体としてうまく進まないことが多々ある。

これをうまく進むように運ぶのが司会者の役割であり、一般的な仕事では社長や役職者の仕事であると思う。

研究でも、学部長や学科長、事務長になっている人は、やはりこういう能力に長けている。うまくことが運ぶと、それは目に見えないので、なにをしているのか具体的にわかるわけではない。だから、能力が高いのか低いのか判断しにくいのだが、やはり場を作る能力が必須なのである。

一方、どんなに技術や実績があっても場を作れなければある一定以上の仕事は任せられない。若いうちはそれでも良いのだが、年齢とともに新しい技術、元気な若手が現れるとどんどん苦しくなっていくのである。

ということで、若いうちから司会をすることで、場を作る能力を鍛えてほしいと思っている。点数でわかる能力ではないので達成感を得るのが難しいが、職種に限らず必要な能力であると思っている。





2018年5月23日水曜日

藻類培養装置の作製 〜空気と二酸化炭素の混ぜ方〜 

藻類培養装置の作製である。

微細藻類の培養には、
1. 栄養(培地&空気)
2. 温度
3. pH
4. 光

5. 攪拌方法
が重要であると述べた。

本日は栄養の「空気」について

微細藻類の培養には、培養液に空気を導入する(通気する)。通常の空気でもよいが、より増殖をよくするためには、二酸化炭素を混ぜた空気を導入し、炭酸固定の効率をよくするのである。

当研究室では二酸化炭素濃度を1%に上げた空気を導入している。

ではどうやって二酸化炭素濃度をあげるのかというと、空気と100%二酸化炭素をガス混合用流量計というものを使って混ぜるのである。




こちらがガス混合用流量計である。これはアナログ式だがデジタル式もある。2つのガラス管が付いている。ここで流量を測定している。コフロック(KOFLOC)という会社が有名である。


この図のように、3つの出入り口がある。下の2つが入り口で、片方から空気、もう片方から二酸化炭素を入れる。空気はただのエアポンプで図の右側にあるものである。水槽用に安価に売られている。

二酸化炭素は炭酸ボンベを使っていて、こちらは専門の業者から購入し、高圧ガスの管理が必要なので、取り扱いに注意が必要である。



また、ガスが漏れないようにシールテープというものをまいてネジを締める。図のネジは付属品ではない日本ピスコ(PISCO)から購入したものである。
http://www.pisco.co.jp/

ピスコにはいろいろな種類の継手、コネクタが売られている。これらを購入して、パズルのように流路を組んでいくのである。

太めならば直径8 mm、細めならば6 mmのチューブをつないで流路を組んでいる。これらの流路はすべて自作である。

このように、うまく流路を組んで空気を藻類に導入している。二酸化炭素の導入は少し大変なので、最初は空気の導入で良いかもしれない。

2018年5月21日月曜日

新学術領域のFacebookがフォロワーを募集しているそうです。

《お知らせ》
新学術領域研究「新光合成」のFacebookのページです。
https://www.facebook.com/newphotosynthesis/
光合成に興味がある人はぜひフォローしてください。日本が誇る光合成のトップ研究者が集まる領域です。

領域HPはこちらです。
http://photosynthesis.nibb.ac.jp/index.html


・・・・と告知している自分はFacebookのアカウントを持っていない・・・ツイッターとブログとインスタやってるので、手一杯。ブログ4つもやってるし。。しかし、これらを駆使して領域の宣伝を頑張ります。。


システムを支えるものたちへ

この前の自分のツイート。

「トラブルがない、故障がない、過不足がないなど、システムを円滑に廻すには大変な労力が必要なのだが、円滑に廻っていればいるほどそれが当たり前になってしまい、それを支えているものに感謝しなくなってしまう。研究室では、これを是正する(評価して、何らかの報酬を考える)のが僕の仕事。」

機械が故障すれば大騒ぎなのだが、順調に動いていればそれが当たり前になってしまう。試薬や器具はただではないのだが、それらも十分にあればそれが当たり前になってしまう。消耗品を使っていればそれらはなくなり、不足がなければ誰かが補充しているはずなのであるが、いつの間にかあるのが当たり前になってしまう。

ゴミなんかも自然になくなるわけではない。誰かが捨てに行っているのである。

論文などの成果にならない仕事を、きちんと評価するのがPIの役割であると思っている。

しかし、平等な評価というものはとても難しい。どんな職種についている人でもそうだが、どんな人でも「自分は忙しい」「自分はよく頑張っている」「もっと評価されるべきだ」と思っている。自分だって例外ではない。

研究室も4年目に入ったが、このシステム作りはまだまだ途上であるし、終わりはない。特に人数が増えてから、決まりを作らなければダメであるということがわかった。

決まりがあれば、多くの人は守る。しかし、決まりがないと、その決まりを作るところから始まり、大勢の意見を聞いているとなかなかまとまらず、そうこうしているうちに、まあいいか、ということで曖昧になってしまう。

人数が少ないうちはそれでもそれなりにうまくいくのだが、多くなってくるとうまくいかず、結果として不平等やトラブルが生まれる。

これを是正するのがPIの仕事である。サイエンティストや講義や実習を行う先生だけの仕事では不十分である。

特に、論文などは業績になるが、掃除や物品の発注、研究室の幹事、悩みの相談役など、組織・チームがうまくいくには業績にはならない役割がたくさんある。

これらを評価しなければならない。これが今年度のPIとしての目標である

正直、結構難しい。自分の見えないところでどうなっているのかを知ることが難しい。正確な情報を掴まなければ、評価をすることで、不平等を助長することになってしまう。また、上記の通り、「自分こそが評価されるべきだ!」と多くの人は思っている(これは責められるべきことではなく、当然のことであるが)。

ということで、どこの研究室でも必ず問題になる「掃除をさぼる」「試薬などを注文しない」「共通試薬を作らない」「他の人に協力をしない」などをきっちり評価していこうと思っている。

2018年5月19日土曜日

人に頼ると、仕事は遅れるか、止まる。

自分の実体験を元に学んだことであるが、研究室で成果を挙げるには、「あ、結局自分で全部やるんだ!?」と、早いうちに気付くことが重要である。

人に頼った時点で、その仕事は遅れるか止まると思った方がよい。仕事を進めるには、「いかに人に頼る部分を減らすか」が大事である。

当たり前なのだけれど、時間、空間、予算、労力など、研究や仕事に必要なものはすべて有限である。各々が、この有限なものの割り振りを日々考えている。研究だろうと仕事だろうと変わらない。

ところで、研究も仕事も一人ではできないので、必然的に誰かと協力をする必要がある。場合によっては、自分のためだけに相手の時間、空間、予算、労力を割いてもらう必要がある。しかし、頼られる人の方にとってもこれらはすべて有限であり、優先順位がある。

どうやって優先順位を決めるかといえば、頼られる本人の目的や利益、興味に沿ってることなども関係するが、たくさんの時間、空間、予算、労力を割くものが後回しになることは言うまでもない。

「丸1日時間をください」と言われれば、相手はスケジュールを必死に考えて、それが可能な日を調整する。しかし、丸1日となったらそんなにすぐにはないだろう。頼んだ方はそれまで待たなければならない。そもそも断られることもあるので、そうするとまた別の方法を考えなければならない。いずれにせよ、仕事はどんどん遅れていく。

このように、研究や仕事を円滑に進めたいと思ったら、いかに人に頼る部分を減らすかということが大事である。

研究室では、実はこういうプロセスも学んでいく。
正確に言うと、学べた人は成長して成果を挙げるし、一方で学ばない人もいるかもしれない。

研究室に配属されると、最初は当然「わからないから教えてください」と聞く。これをだんだんに、「自分で調べて、○○まではわかったのですが、XXがわからないので教えてください」と、相手の時間や労力が少なくなるような聞き方にする。そうすると、相手はそんなに負担ではないのですぐに教えてくれる。また、自分で努力した熱意も伝わるので、相手も熱意を持って対応してくれる。

相手のことを思いやりなさいとかいう道徳的な話ではなく、これらは自分の仕事を円滑に進めるためである。また、これらを身につけることは、コミュニケーション能力を向上させることの一つだと言っても良いと思う。

自分ができる努力をしないで、相手に頼ろうとすると仕事は遅れるか止まる。繰り返すが、これは道徳的な話ではなく、有限な時間、空間、予算、労力と成果の関係性を考えた物理的な話であると思っている。

2018年5月17日木曜日

ひさしぶりにアクセス数を発表!

さすがに学期中は忙しい・・。特に春学期(前期)の方が、授業数が多いので(今週は講義4コマ&実習1日)。

現在のアクセス数を発表。

「環境バイオテクノロジー研究室の講義ファイルと研究アーカイブス」
https://environbiotechnology.blogspot.jp/
Total Page View 23,048

「明大の先生が朝の35分間でバイオ研究にVRを導入してみるブログ」
https://biovrmeiji.blogspot.jp/
Total Page View 1,240

「大学教員が綴る37.5℃の育児体験談」
https://ikuji99.blogspot.jp/
Total Page View 1,787

「小田急沿線グルメ〜駅から半径18km〜」
https://odakyugourmet.blogspot.jp/
Total Page View 1,580

ということで、総アクセス数は、27,655になりました!



・・・・めちゃくちゃ中途半端・・・・


そういえば実験ノートって・・

うちの研究室では、このような実験ノートを支給している。

1冊千数百円もする立派なノートである。

自分の大学院の出身研究室、ポスドクの研究室は、自分でノートを用意しなければいけなかった。ルーズリーフだったりもした。今は変わっているかもしれないが。ただ、予算的に厳しいと、ノートの支給も結構大変なのではないかと思う。
さすがに理研ではちゃんとノートが支給されていた。

実験ノートは日付を遡ってはいけない、消えることのない油性ペンで書かないといけないなどのルールがある。特に特許などの知財を考えるときは必須である。

また、家に持って帰ってはいけない。ノートだからといってうっかり持って帰りそうだが、これも違反である(許可をもらってきちんと管理すればまあ良いと思うけれど)。

実験ノートはただのメモではなく、研究成果を主張する効力になるものである。いずれゆっくり記事を書こうと思う。


2018年5月16日水曜日

学生はサイエンティストを目指している訳ではない。

「すべての学生はサイエンティストを目指している訳ではない。」

これは自分が忘れないようにしなければいけないことだと思う。

どうしても自分が進んできた道を、学生たちも歩むだろうと思ってしまう。特に自分が実践してよかったことを学生に進めるのは当然だし、自分もたくさんしている。

例えば、環境バイオテクノロジー研究室では、論文を書いたり学会発表したりすることを強く勧めている。一般企業に入ったって論文を読んだり書いたりすることはあるし、学会に行くこともある。

専門的な学術論文でなくても結果を文章にまとめることは当然するし、人前でプレゼンすることだってたくさんあるだろう。ということで、上記のようなことを勧めて能力をつけてもらおうと考えている。

しかしながら、いろいろ勧めた上で、その人に合ったさらなる良い選択肢がないかは考えなければいけないと思ってはいる。放っておくと、ついつい自分の職業経験をバックグラウンドに、サイエンティストになるかのような勧め方をしてしまうので。

この辺のバランスを考えて、学生と方針を決定していくのが卒研での教員の仕事である。専門的な知識や技能の習得がすべてではない(むしろそのウエートは低い)。

4年目に突入した環境バイオテクノロジー研究室。これまでの学生との経験をもとに、方向性を決定する能力を向上させたいと思っている。仕事において、決断力は最も大事な能力の1つであり(判断力ともいう)、自分で決断できないならば大事な仕事、やりがいのある仕事は不可能であると考えている。

2018年5月15日火曜日

ひさしぶりに新宿へ。 No.5

ひさしぶりに新宿へ。 No.5。

服以外の話を。

新宿全体の雰囲気として感じたことは、完全に「外国人観光客向けの街になっていた」ことである。

街を歩いていても、中国語が聞こえてくる。表示はみんな英語や中国語が併記してある。デパートなどに入っても、ターゲットが日本人でないような気がする。

時代の流れというか需要と供給の原理というか、要するに日本人相手ではビジネスが成り立たないということかもしれない。相対的に日本人は貧しくなったのだと思う。それに輪をかけてお金を使わなくなったのだろう。

自分の世代も「将来年金がもらえるかわかりません(ただし、年金は払う必要がある)」と散々言われてきたし、さらに非正規雇用もかなり増えている。昔のような終身雇用制度なんてとっくに崩壊している。このような状況で、お金をたくさん使いなさいという方がどうかしている。

そんな状況なので、デパートなどはターゲットを日本人から切り替えたのだろう。正しい選択なのだと思う。

一方、もう一つ自分が歩き回って思ったことは、「全体的に飽きた」ことである。自分は大学生の時から通り道だった新宿によく行っていた。綺麗なデパートや素敵な服などを見ればわくわくしたものである。

久しぶりに新宿を歩き回ったが、まあ新作の服がでているかもしれないが、素人の自分にはそんなに区別もつかないし、機能としても必要としていない。デパートの中もいろいろ飾られてとても綺麗であるが、特に驚くほどでもない。

プログラミングのおもちゃなんかも売られていたが、買うほどでもない。

ようするに新しくはなっているのだけれど、20年前と大きくは変わっていなくて、毎週来たい!とは到底思えなかった。特別な場所である感覚がなくなってしまった気がする。

中に入っている店も、生存競争に勝ったチェーン店が多い、というのも要因の1つだと思う。高島屋のレストラン街に行ったが、チェーン店が多かった。街中も特徴的な店が減って、やはりチェーン店が増えていた。

ということで、日本人向けでもなくなり、新宿に行く!という特別感もなくなってしまったというのが新宿に行った感想だった。年をとっただけかもしれないが。。客側の問題でもあり、店側の問題でもあるかもしれないが、せっかく行ったのに、食べ物以外でお金を使わなかった。こうしてさらに観光客向けになってしまって、観光客以外はさらにものを買わなくなるのかなと思いながら店を廻っていました。

2018年5月14日月曜日

ひさしぶりに新宿へ。 No.4

なんかアパレルについての考察になってしまっているが、昔よく買っていた新宿丸井のアパレル(服屋)の話。

3. メンズアパレルの負のスパイラル
メンズアパレルショップを見るたびに、「負のスパイラル(らせん)」という言葉を思い出す。負の連鎖と言ってもいいかもしれない。

何が負のスパイラルかというと、自分もそうだが、男性はそんなに奇抜な服を買わない。もちろん、変わった服を好む人もいるが、少数派である。自分の身の回りで、印象に残るような(記憶に残るような)服を着ている男性がどれくらいいるだろうか?割合を考えると結構少ないのではないかと思う。

せっかくいろんな服があっても「男性は普通の黒・グレー・ネイビー(紺色)を買っていく」という言葉を店員から聞いたことがある。なるほど自分もそんなに変わったものは買わない。

とすると、デザイナーの立場からするとどうだろうか。

おそらく男性の服を作っても、たとえ素晴らしいデザインであってもなかなか売り上げにつながらないことが多いのではないだろうか。

多分自分がデザイナーだったら、「おい、そんな普通の服買うなよ!」と突っ込みたくなると思う。

実際、男性ものの服をいろいろな店で見回すと、すごくデザインが似ている。女性ものの服の多様性とは比べ物にならない。

ということで、どんどん服を選ぶパターンが減っていった気がする。

そうすると「なんかどのブランドでも全然変わらないし、ファストファッションとも大差ない・・・」となって、こちらのテンションも落ちてしまう。この10年くらいずっとそのように感じている。

売り上げが上がらなければ、当然経費削減にもなり、また変わったものにチャレンジもしなくなろうのだろう。どこの世界も一緒である。

ということで、こんな負のスパイラルから、あまりいろいろな店を見なくなった。ブラックレーベルなどに入り、さっさと服を買ってきて終わりである。「機能を満たす」割合が増えてしまった気がする。

なんとも残念であるし、正直「これだ!」と思う服があればお金を出すと思う。こういう時こそ頑張って欲しいなあと思うアパレル業界である。


新宿についてなのに、アパレルについてばかりになってしまった。。次回は別の話。

No.5に続く。

2018年5月13日日曜日

ひさしぶりに新宿へ。No.3

ひさしぶりに新宿へのNo.3。
ちょっと脱線して、丸井について語っている。大学生当時は丸井に入っているアパレルブランドで服を買っていたが、最近はめっきり減った。その原因の考察。

1つ目は、ファストファッションに質が追いつかれてしまったこと。

今日は2つ目の原因(←自分の勝手な考察です)。

2. 店員が面倒・・・
バーバリーブラックレーベル(現在はただのバーバリー)をよく買っていた。今でもまあまあよく着ている。あまりにもワンパターンなので、ポロラルフローレンなんかも買っている。

この2つに共通することだが、店員がそんなに営業をかけてこない。
ブラックレーベルなんかはだいたい「何かあったらお声がけください」と一言声をかけて、しばらく声をかけてこない。どの店舗でもそうなので、きっとそういう教育をされているのではないかと思う。

他の店だが・・・「今日は何かお探しですか?」「こちらは最近流行りで・・・」「これは今日入荷したばかりです」「今日はお休みですか?」などなど、ひっきりなしに話しかけてくる。

営業なので気持ちはわかるが、ゆっくり見せて欲しいというのが本音である。昔から、「これ(過剰な営業)、逆効果なんじゃないか?」とよく思っていた。

少し聞こうものならば、ファッション講座などが始まり、正直疲れる。ゆっくり服を見れないので、早々に退散してしまうことが多かった。

今のはやりのユニクロやZARAなどを見ても、面倒だからさっさと買う人が結構いるのだと思う。どんどん増えているのかもしれない。

ということで、自分も面倒な店は避け、デザインも気に入っているブラックレーベルなどで買うことが多くなった。


なんか長くなった・・・「アパレルを語る」になってしまった(笑)。でも終わらないので、No. 4に続く。

2018年5月12日土曜日

ひさしぶりに新宿へ。No.2

大学生のころ、服を買うといえば新宿だった(正確には胃新宿か池袋)。大学生で服を買っていた場所はもっぱら丸井だった。新宿には丸井がいくつもあり、新宿マルイメンという珍しく男性に特化したアパレルの建物がある。アパレルといえば女性をターゲットとしたほうがはるかに多いので、これは珍しく、さすが新宿という感じである。

他にも伊勢丹や高島屋などのデパートがあるが、こちらは大学生が買うような場所ではなかった(自分にとっては)。一方、あまりにもチープな感じの服を着るもの嫌だったので、丸井がちょうどよかった。

しかし、20年近く前から時が流れ、丸井について感じることは、「いつ行っても人がガラガラ」なことである。GWにひさしぶりに丸井に行ったが、伊勢丹などと比べ、明らかに客が少なかった。

アパレル不況と言われて久しいが、丸井に入るたびに、残念ながらこの言葉を思い出す。

せっかく「何か買おうかな?」と思って店に入っても、これだ!という商品に出会わずに帰る。こういうことが多苦なった気がする。

昔は結構服を買うのが好きだったのだが、最近はめっきりテンションが落ちている。年齢のせいもあるが、理由はいろいろあると思う。

1. ブランド品の質が低下し、ファストファッションの質が向上した。

ユニクロでよく服を買うようになったが、安いのに質が良い。ストレッチが効いていて動きやすいジーズンや、洗濯してもなかなか寄れない下着類。とても質が上がったと思う。昔はファストファッションの値段の服を買ったらすぐに着れなくなってしまった。

なので、高い服を買うと着れる期間が長く、実質的には値段が対して変わらなかった。それならばブランド品をというこことで服を買っていた。今はバーバリーの冠が取れたが、バーバリーブラックレーベルなどは今もよく着ている。また、メンズはなくなったが、INEDやコムサなどもよく着ていた。

ところが、ファストファッションの質が上がり、機能としてはブランド品が割高になった。なので、上のように、実質的には値段は同じというのが成り立たなくなっている。

ちなみにここでのブランド品は1万円〜数万円の服を指している。数十万円の服ならば、一生ものということもあるかもしれない。偉くなったら試そうと思う(笑)。

また、ブランド品の質が低下したことも感じた。ファストファッションの勢いが強くなり、経費削減に走ったのかもしれない。上記の丸井のような店に入っているブランドの店なのに、1日で破れたTシャツ、1、2日でそこが剥がれた靴などを買ったことがある。ファストファッションよりも質が下がってしまったのである。

もちろん、そういう店で二度と買うことはなく、当然かもしれないが、今はもう店舗が入っていなかった。運悪く自分が粗悪品に当たったわけではなく、全般的に質が下がったのだろう。

これがブランド品を買うことが少なくなった原因の1つである。

長くなったのでNo.3へ。

2018年5月11日金曜日

ひさしぶりに新宿へ。No.1

GWに時間があったので新宿をぶらぶらしてみた。グルメブログのネタ探しという使命もあった。また、ビジネスというか研究というか、なにか応用できそうな新しい方向性を探していたと言ってもいい。研究の仕事、大学教員の仕事というものは、思っても見ないものが役に立つから面白いのである。

大学生の時は毎日新宿駅で乗り換えていた。なので新宿には結構詳しい。もう20年近くも前の話になるが・・・

さすがに新宿ほどの大都市なので、店の入れ替わりが早い。駅前にあったコムサショップの建物は入れ替わり、丸井も様変わりしている。一方で、伊勢丹や高島屋などのデパートは変わらず残っている。


こちらは高島屋タイムズスクエアからの眺め。新宿御苑が見える。この都心部にこの緑地面積はすごい。東京でももっとも反映する都市部であり、一方でこのような場所もあるとこが新宿の魅力かもしれない。

ということで、何回かに渡って、新宿を語るという思いつきのブログ記事をアップしたいと思う。




2018年5月10日木曜日

SNS上の喧嘩を見ていて思うこと

ツイッターなんかは特にそうだけれど、SNS上で言い争っている例はたくさんある。有名人のツイッターなんかは変なコメントなどがたくさんあり、罵詈雑言を浴びせかけられている人も少なくない。

有名人ほどはないが、SNS上で喧嘩をしている人はたくさんいる。研究界隈でも結構見かける。

第三者として傍観していると、SNS上でしょっちゅう喧嘩している人の共通点が見えてくる。

それは、「すぐに被害者になる人」である。

「過去にこういうひどい目にあいました」、「昔いじめられました」、「ひどいコメントを投げつけられました」、「人格否定された」などなど、大抵被害者である。

そして、喧嘩している相手方も見てみると、同じく被害者なのである。

ということで、お互い「被害者です」と言いながら殴り合っている。はたから見たSNS上の喧嘩はこのように見える。

そして、大抵の場合、よく喧嘩する人は、余分な争いに首を突っ込んでいる

SNSなんて、別に繋がる必要はない。気に入らなければミュートやブロックをすれば終わりである。有名人なんかだとそれでもアカウントを変えて絡まれたりするが、一般の人だったら、ミュート・ブロックで終わりだろう。

虐げられた被害者だからといって、それは他の人を攻撃する免罪符にはならないということはずであるが、「正義」の名の下に喧嘩をしている人がたくさんいる。SEKAI NO OWARIの曲の歌詞にでもしてもらいたいくらいである。

ということで、SNSでもそうだが、過度に被害者意識を持つ人とはあまり関わらないことをお勧めする。生きていく上で、すべての人と関わり合いになる必要なんて全くない。必要のない人とは縁を切ると、全く問題ないことに気づくだろう。

2018年5月9日水曜日

JST-ALCAとは。No.6

JST-ALCAの書類選考が通ったらヒアリングである。

大きなプロジェクトの場合、書類のみで決定することはほとんどない。書類選考に通過したら、その後ヒアリング(面接)を受けることになる。

研究計画をプレゼンし、質疑応答を行うのである。

あらかじめ言っておくと、プレッシャーは学会発表の比ではない。学会発表で「緊張する・・・」なんて弱音を吐いて胃いる人は予算など取れないと言っていいと思う。

こういうプレゼンだが、実は時間は結構短い。たしか発表が10分と少し。質疑応答も15分くらいだったと思う。逆に言えば、その短い時間で伝えなければならないのである。わかりにくかったらそれで終わりである。

ALCAに限らないがだいたい10人前後の審査の方々にプレゼンを行う。ただの10人ではない。著名な教授の方々や企業の重役の方々である。正直こういうヒアリングを経験すると、200人でも300人でも緊張しなくなる。「あのすごい方々の前でヒアリングしたんだから。」と思うと、人がたくさんいてもあまり緊張しなくなるのである。

内容はとても自信があったが、なんといっても全員30代中盤。そして、偉くない(笑)(蓮沼先生は、その後教授になったが!)。当たって砕けろの精神でヒアリングに臨んだ。

発表自体は、自分は得意というか、実は結構好きである(←変なやつかもしれない。。)。終わった後、恐ろしく疲れることは間違いないのだけれど、自分の計画をすごい方々に聞いてもらえるチャンスなので、それ自体はとてもありがたいと思っている。

そして、さきがけの合宿で鍛えられていた。あの合宿を経たので、そんなに怖いものはない。

ヒアリング自体は、うーん、防戦一方の指摘もあったのだが、まあ全力を出し切って終了。その時点でのすべては出し切った感じだった。

その後、9月くらいだろうか。正式な採択の知らせがきた(確か生物工学会に参加中だっただろうか)。この時の喜びは言い表せない。しかし、プロジェクトの採択は終わりではなく始まりなので、ここからが大変なのだが。

予算を獲得した途端にできない理由ばかり述べて、予算獲得がクライマックスになってしまうこともある。しかし、これは恥ずべきことであると思う。

後でわかったことだが、応募は46件。採択数がたったの2件。よく通ったな・・・・

ということで、通ったのは嬉しいのだけれど、責任がある。笑うのは一瞬。あとはずっと険しい顔かもしれない。

今も続いているALCAプロジェクトだけれど、採択された責任を全うしたいと思っている。論文だけでなく、(あまり表には出せないが)特許をたくさん出願している。出願だけでなく、登録(要するに特許の取得)までいたるものも出てきた。ALCAは基礎研究だけのプロジェクトではないので、大変ではあるが、シアノバクテリアのコハク酸生産を少しでも実用化に近づけたいと、研究メンバー一同、日々頑張って研究を進めている。


2018年5月8日火曜日

JST-ALCAとは。No.5

2013年春のこと。シアノバクテリアシネコシスティスがコハク酸を細胞外に放出することがわかった。しかも、2、3つの増産法も同時にわかってしまった。

ということで、意気揚々とJST-ALCAに応募することになった。チームは小山内、神戸大学蓮沼先生、理研白井先生という全員30代半ばのチームである。

ところで、このALCAプロジェクトだが、研究代表になるのはとても大変である。なぜならば、著名な教授クラスの先生方が代表になっているからである。

バイオテクノロジー領域だけ見ても、東大、京大、名大、九大、東北大の教授の先生のプロジェクトがある。奈良先端大学院大学の学長(!)のプロジェクトすらあった。また、大学だけではなく、トヨタ自動車やNECの方が代表となるプロジェクトもあった。

ここに30代半ばのメンバーが挑むのである。しかも、当時私は理研の研究員であった。ちなみに当時のボスは、別のチームの分担で応募して、ヒアリングで対決するという構図でもあった(笑)(ただ、当時のボスである平井先生はとても器の大きい方、優しい方であるし、代表のプロジェクトではなかったので、別になんとも思っていなかったと思う。。)。

とにかく怖いもの知らずで書類を応募。選考に通って、ヒアリングとなった。ヒアリングは確か8月くらいだったと思う。

世間は夏休み。しかし、こういうヒアリングがあると、休むどころか本当に大変なのである。。ヒアリング決定を蓮沼先生に伝えたら、「熱い夏になりそうですね。」と返信がきたのは今でも忘れない。。

No.6に続く。

2018年5月7日月曜日

光学異性体で使う小型英大文字の打ち方

WordやPowerpointで科学の文章や発表を作る時の話。

化合物でL-リンゴ酸D-乳酸などを書くことがある。光学異性体を区別して化合物を表記する場合である。

WordやPowerpointなどで、大文字のまま書いていたり、フォントサイズを小さくしたりするが、これは正しくない。

正しくは、小型英大文字というものを使う。

こちらはPowerpoint、Macだが、書式→フォント→で右下にある小型英大文字をチェックする。これで小文字の英字を打てば、L-リンゴ酸D-乳酸などのLやDを書くことができる。


JST-ALCAとは。No.4

応募に向けたチームは決まり、化学工業原料をターゲットとすることは決定した。また、生物としてはシアノバクテリアをはじめとする微細藻類で、シネコシスティスというもっとも使いやすいシアノバクテリアを中心とすることも決定した。ここまではあっさり決まった。

さて、具体的なターゲットの選定である。2013年4月のことで、応募の2、3ヶ月前だった気がする。

ターゲットの選定にはさまざまな条件があるが、その中で必須にしたことが、細胞外にその物質を放出してくれることである。

ポリヒドロキシ酪酸(PHB)というバイオプラスチック原料生産のプロジェクトも進めているが、ネックが細胞内に蓄積することである。細胞内に蓄積するということは、当然その細胞を集めて破砕しなければならない。破砕法はいろいろあるが、超音波や溶液を使うなど、当然コストや資源がかかる。

ということで、細胞外に放出してくれる化学工業原料がよいとなったが、そんな都合のいいものがあるだろうか。

そこで考えたことが、「シアノバクテリア(シネコシスティス)を発酵させてみよう」である。発酵とは、嫌気状態、いわゆる酸素をなくすことである。お漬物や酒樽で密閉している様子を思い浮かべればわかりやすい。

発酵して出てくるものが何かと言えば、乳酸、酢酸などの有機酸である。乳酸菌の発酵でヨーグルトなんて有名だと思う。さらに生き物によっていろいろで、酵母のようにエタノールを放出する生物もいることもご存知だろう。

有機酸の中で狙ったのが、コハク酸である。少し馴染みがないかもしれないが、クエン酸回路の代謝産物なので、高校の教科書にも必ず出てくる。

そして、このコハク酸がプラスチック原料などになることは、意外にもあまり知られていない。

ところが、世界のプロジェクトを見回すと、コハク酸をバイオで作ろうという流れがビジネス界では起っていた。また、酵母や大腸菌などではコハク酸生産はたくさん研究されていたが、微細藻類を用いた二酸化炭素からのコハク酸生産は、アカデミックの研究プロジェクトレベルでもなかった。この時期は、微細藻類を用いた物質生産プロジェクトが大流行りの時期だったのだが、それでもないのはかなり意外であり、盲点であったのかもしれない。

ということで、これは良いターゲットだということで、コハク酸を選定した。

しかし、問題は、そもそもシネコシスティスがコハク酸を細胞外に放出するのか?である。細胞外に放出しない生物だったら話は終わりである。過去の論文はなかった(話が長くなるので割愛するが、もう少し正確に言うと、スピルリナや他のラン藻類では乳酸などは放出されるが、コハク酸はあまり作らないという論文はあった)。

ということで、まあシネコシスティスを発酵させてみるかという割と軽いノリで嫌気培養を行い、細胞外にコハク酸が放出されるかを調べてみた。

そうすると・・・・

細胞外にコハク酸が放出されている・・・

しかも、自分の有しているSigEというシグマ因子の過剰発現株でコハク酸生産量が増えている・・・ということがあっさりわかった。

詳しくは書けないが、他にも特許となるようなコハク酸を増やす遺伝子や培養条件が2、3個一気に見つかってしまったのである。今でもこれは奇跡だったと笑いあっている。

ということで、コハク酸生産に大決定して、ALCAに応募することが決定した。

No. 5に続く。


2018年5月6日日曜日

JST-ALCAとは。No.3

JST-ALCAとは。No.3はALCAへの応募について。

ALCAに応募するということで、ラン藻(シアノバクテリア)の物質生産で、小山内、蓮沼先生、白井先生で応募することになった。2013年のはじめのことである。

さて、プロジェクトで大事なのは、目標設定である。なんの物質を作ろうとするかがとても重要である。

現在でもそうだけれど、バイオで作る物質をカテゴリーで分けると、1)エネルギー物質、2)化学工業原料、3)飼料、4)食料、5)医薬品に分かれるだろうか。

このうち、1)のエネルギー物質が藻類では大流行りであった。バイオエタノールや油脂、水素などのプロジェクトが国内外でたくさんあった。現在でもたくさんある。

話し合いでは、エネルギー物質は避けることはすぐに決まった。理由は簡単で、単価が安いので、コストが見合わないからである。藻類に限らず、バイオでの物質生産はエネルギー物質単独では生産コストに見合わないので、副生成物と組み合わせたりしている。

一方、コストの話をしたが、企業が行うプロジェクトではないし、プロジェクトはALCA、低炭素化技術開発である。よって、環境に役立たなければならない。例えば有用な薬であっても、ごくわずかしか使わない物質をわざわざ省エネルギーで作っても、低炭素にはならない。社会が大量に必要とするもの」を作る必要がある。

ということとで、2)化学工業原料に決まった。これはあっさり決まった。そもそも3人とも化学工業原料の物質生産を行っていたメンバーでもあるので。

では大枠は決まったので、具体的に何を作ろうかということで、3人で議論していた。2013年の3、4月のころである。応募の2、3ヶ月前の話である。

No. 4に続く。

2018年5月5日土曜日

JST-ALCAとは。No.2

JST-ALCA No.2は、応募の経緯について。

プロジェクトのスタートは2013年10月。応募が2013年の春で、ヒアリングは夏だったと思う。

そもそも2013年はJST-さきがけの最終年だった。こちらは個人型研究で、同じく藻類の物質生産で、主にポリヒドロキシ酪酸の生産を行っていた。

さきがけでは、年に2回、合宿形式で研究の進捗を報告する。

これがきつい。

静かなるプレッシャーがすごい。研究総括からアドバイザーの先生方は、その分野の頂点に立つ方々である。そして、そこにさきがけ研究者に選ばれた人たちが3期分で20〜30人ほど集結する。その前で自分の研究を発表するのである。甘いはずはない。

そんなこんなで鍛えられるが、大事なことは合宿形式なので、人のつながりもできることである。同じ時期にさきがけに採択されていた神戸大学蓮沼教授の研究を見て、これはコラボするしかない!とこちらから声をかけてプロジェクトを練っていた。

蓮沼先生は、シアノバクテリアをはじめとする微細藻類、その他の有用微生物のメタボロミクスを行っている。メタボロミクスは代謝産物を一斉に測定することだが、難しい。メタボロミクスできます!なんて言っても、実は機械がぜんぜん動いていないこともたくさんある。本当にメタボロミクスができるグループは限られているのである。

そして、私の研究は転写因子などで代謝を大きく変えることである。しかし、特定の代謝産物は測定できても、メタボロミクスそのものはできない。

ということで、蓮沼先生に声をかけて応募をすることに。

さらにラッキーなことに、理化学研究所に白井先生(当時上級研究員、現副チームリーダー)が着任された。白井先生は企業から移籍された微生物の物質生産、メタボロミクス、および代謝モデリングの専門家である。

3人とも年代が近く、当時全員30代中盤だった。このメンバーで応募しましょうと、トントン拍子で話が決まった気がする。

No.3に続く。

2018年5月4日金曜日

JST-ALCAとは。No.1

自分では当たり前になってしまっているのだが、うちの研究室がどういうプロジェクトで進んでいるのかについて、知らない学生もいるかもしれない。

ということで、うちのプロジェクトの説明を。

現在いくつかの研究プロジェクトが進行しているが、もっとも大きいものがJST-ALCAである。

JSTは科学技術振興機構である。
ALCAは、先端的低炭素化技術開発である。Advanced Low-Carbon Technology Research and Development Programからきている。

いくつかの領域があり、我々はバイオテクノロジー領域に属している。バイオテクノロジーで低炭素技術の開発を行うというぴったりの領域である。

研究ではシアノバクテリアを中心とした微細藻類で、コハク酸の生産を行っている。コハク酸はプラスチック原料から食品添加物まで、幅広く使われる化学工業原料である。

タイトルは「転写と時計の改変によるラン藻炭素源供給の量的緩和とコハク酸生産というもので、転写や時計という少し変わった方法で、シアノバクテリア(ラン藻)からのコハク酸生産を増やそうというものである。


プロジェクトがスタートしたのが、2013年10月。今が2018年5月なので、4年と8ヶ月間過ぎたことになる。あっという間に感じる。2015年4月に明治大学に異動して研究室を立ち上げたので、まだ理化学研究所に在籍していた時にALCAが始まったことになる。

No. 2に続く。


2018年5月3日木曜日

GWの始め?真ん中?

本日は5/3である。GWの真ん中な気もするけれど、5/1, 5/2に仕事だった人も多いと思うので、始めのような気もする。


ちなみに今年のGWは途中研究室などに行く予定。ちょっと忙しい。

今週の本学は、5/1, 5/2は授業や実習がない日になっており、学生たちには実質的な休みになっている。

しかし、研究をしている場合には、授業や実習がない時こそ研究ということになる。講義や実習があると、なかなか論文を書く時間が取れない。こういう時に頑張って進められるかどうかが鍵である。

とはいえ、少しは休みをとったり、近場でもいいからどこかにはいきたいとは思っている。でも・・・どこに行っても混んでいるのが難点。。適当に散歩でもして、ブログのネタでも作るのが一番無難かもしれないと思っている5/3でした。



2018年5月2日水曜日

卒業研究の仮テーマの決定!

一通り先輩たちの研究進捗報告のゼミが終了するのが4月下旬である。今年はその最終日のゼミの後に、新3年生と卒業研究の仮テーマの決定について話し合いを行った。今年はGW直前の4月27日に仮テーマを決定した。例年よりも半月早い仮テーマの決定となった。


先輩たちの研究進捗報告を聞いたとはいえ、いきなり大量の専門的な話を聞かされたわけで、すべてを理解することは不可能だと思う。それでも部分的に理解しながら、自分なりに合いそうなテーマを決定する。

研究テーマは、こちらでいくつか用意する。研究室のスペースなどの問題もあるので、あまりにも偏らないようにはお願いする。

特に、研究はすべてつながっているので、研究が進むとスタート地点が異なるだけで、実はいろいろな領域の区別がなくなっていく。なので、あまり悩みすぎないで、決まったテーマを進めてもらうことを推奨している。

仮テーマを決め、GW明けにグループごとに話し合いを持つことになった。ここには先輩たちも必要なので、日程調整が必要である(スマホを握りしめて、いつも日程とスペースと予算の調整をしているのが先生である。。)。

こんな感じで、今年度は学生たちの意見を取り入れて、4月中に仮テーマを決定する運びとなった。

以上が基礎実習の内容で、小山内研の3、4月の2ヶ月間である。来年度以降に研究室配属を希望する人は、この「基礎実習」のカテゴリーを見ていただくと、どういう流れになるかがわかると思う。毎年、基礎実習ってどういう感じですか?と聞かれるので、参考になるのではないかと思う。ブログって便利。。

2018年5月1日火曜日

先輩たちのゼミで研究室の内容を知る

新メンバーの基礎実習が始まり、新学期が始まる4月中に、もとのメンバーは1回ずつゼミで研究の進捗報告を行う。

進捗報告を行うとともに、新メンバーに研究の内容を知ってもらうのである。

これはいろいろな意味で重要で、内容も表に出ているものは、すでに過去のものであることも多いからである。

また、新しいメンバーに説明することは、自分の練習になる。自分の研究内容を説明するときに、相手がその専門家であるというのは、極めて稀なことである。大抵は専門外の人だし、研究者ですらないかもしれない。そういう人に対してもそれなりにわかるように説明することはとても難しい。

専門用語はすべて説明をつけなければわかってもらえないし、そんなことをして長ったらしい説明になってしまったら相手は聞かないで終わってしまう。わかりやすくうまくまとめることは、学生のみならず教員だっていつも悩みながら進めている。

また、こうした練習が就職活動に役立つことはいうまでもない。

さらにこうした発表の中で先輩たちのキャラクターをつかむことも大事である。いくつかのグループに分かれて研究を進めるが、やはり合う合わないはある。多少の我慢はどんな空間でも必要であるが、やはり合う人と実験を進めたほうが楽しいのは間違いない。なので、こうした発表の中で、先輩たちのキャラクターをつかんでテーマを選択するのも1つの手である。

ということで、4月中にもとのメンバーが進捗報告をしつつ、研究の内容を紹介することになっている。新メンバーにとってはいきなりで内容が難しいと思うが、部分的にでも理解して欲しいと考えている。