自分の親に勧められた本は、夏目漱石とか井上靖とか森鴎外とか・・・。べつにそれがダメではないが、小学生が授業でやるには良いと思うが、それを名作だ!楽しめ!と言われても困る。正直、今読んでも自分の好みには合わない。名作なのかもしれないが、絵画と一緒で、「そんなの個人の趣味だろ」としか思えない。
ということで、ちょっとミステリーを読んだくらいで、大学生までは全く活字をあまり読まず、漫画の方が多かった。
ところが、2004年に状況が一変する。大学院生のころである。
奥田英朗さんの「空中ブランコ」という作品が直木賞を受賞した。空中ブランコwiki
この作品は、テレビドラマ化もされたので非常に有名である。
伊良部という太った精神科医が、めちゃくちゃな方法で患者を直していくオムニバス形式の物語である。
この作品は、完全にコメディで本当に笑える。それでいて、ぐさっと心に刺さる部分が突然訪れる。
それまで、文学って退屈なもの・・・と思っていたのに、「え!直木賞作品ってこういうのありなのか!?」と衝撃を受けたのを覚えている。
この作品以来、「なんだ、娯楽として本を読んでいいんだ!」ということに気づいた。当たり前なのかもしれないが、国語の授業のようなものばかり押し付けられていた自分には、かなりの衝撃だった。
そこからはその反動でいろんな小説を読んでいる。
ということで、この空中ブランコがなかったら、今も漫画ばかりだったかもしれない。
自分の中で、小説に目を向けさせてくれた重大な作品である。
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