研究室に配属する前は、「研究生活ってどうなるんだろう?」、「研究室の人たちとうまくやっていけるだろうか?」などの疑問があると思う。
研究室というのはどこの狭い空間で、そこにたくさんの人がいる。いつもいつも和気藹々、仲良し小良しというわけにはいかない(農芸化学科の研究室は雰囲気がいいと思うが)。
当然、研究室の周りの人々とうまくやっていく必要があるのだけれど、研究室は友達を作るための場所ではないし、そんな場所であると思って入るといっぱい勉強をしなければいけない現実に遭遇して辛くなってしまうと思う。
共通の場所や機器、試薬などを使うので常に周りの人とコミュニケーションをとることが大事である。これを欠かすことはできない。しかし、無理に価値観を合わせたり、友情を芽生えさせたりする場所ではないので過度に気を使う必要はない。あくまで研究をするための場所である。
環境バイオテクノロジー研究室では、少なくとも3年生の夏からは個人のプロジェクトを進めることになる。早い人は5月終わりか6月くらいから個人のプロジェクトを進める。
もちろん、上の人たちが色々教えてくれるので過度に心配する必要はないが、自分で勉強をしていくことが必須なのはいうまでもない。
個人のプロジェクトにすると、びっくりするくらい自分でやらなければいけないことに気づく。 「今日はなんの実験をするのか?」、「必要な試薬は何か?」、「どの機器を使って、予約をする必要があるか?」などなど、無数に自分で考えて行動しなければいけないことが出てくる。これを体験するのが研究室の醍醐味であり、個人プロジェクトを経験する大事さである。
農芸化学科の学生実習や授業でも、私の場合はかなりあいまいさを残した課題を出したりする。
1年生の実習では「自分で吸光度を考えて測定してください」であるし、2年生の実習になると、「はい、実験は終わりました。じゃあ、自由にレポートを書いてきてください」というスタイルになる。「何を書くの?」と聞きたくなるけれど、それが勝負となるのである。
高校生までは厳密に作られた問題があってそれを解いて正解があるので、最初は戸惑う。しかし、正解がなく、そもそも問題すらないのが大学であり、今後の人生なので、それにいち早く慣れてもらうためである。
研究室に配属になって個人プロジェクトになって一番悩むのは、「そもそも問題はなんだろう?」、「そもそも何をすれば良いのだろう?」という出発点を決めることである。大学教員として私が今も悩んで考えていることはこの出発点としての問題設定なのである。
したがって、研究室に配属されて研究を個人プロジェクトとして進めると、自由がゆえに迷うことがたくさん出てくると思う。そういう時に自分で勉強しつつ、色々な人とコミュニケーションをとる必要がある(コミュニケーションの取り方については別の日にブログに書きます)。個人の権限が広がるということは、面白いけれど大変なことも増えるということである。
ということで、研究室に配属されると同じように勉強をしたりするのだけれど、自分でその勉強する対象を設定しなければならず、その範囲があまりにも広いということに気づく。その中から日々うまく選択をしていくことになる。
同じ明治大学に所属していて、同じようにキャンパスに通うのだけれど、中身はガラッと変わることになる。
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