2017年11月30日木曜日

藻類バイオの領域公開シンポジウム

「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」領域の平成29年度研究成果報告会(領域公開シンポジウム)が、11月30日に新宿NSビルにて開催される。http://www.jst.go.jp/presto/bioenergy/info/event_5.html

この研究報告会は、科学技術振興機構(通称JST)の戦略的創造研究推進事業CREST・さきがけの領域の成果を一般に公開するものである。

戦略的創造研究推進事業とは、科研費と異なり国の戦略目標に向けた基礎研究を行うJSTの事業である。この領域は、藻類や水圏微生物を使って、バイオエネルギー・バイオマテリアルの生産を行うなど環境・エネルギー問題の解決に資する基礎技術を研究・開発するプロジェクトである。研究総括は東京農工大学の前学長である松永是先生である。

CRESTはチーム型研究、さきがけは個人型研究で予算を配分していただける。2011年度から2014年度までさきがけ専任研究者として採用していただき、シアノバクテリアの代謝工学の基礎研究とバイオプラスチックであるPHB生産法の開発を行った。大変お世話になり、がっつり鍛えて頂いた。さきがけには感謝の念しかない。

さきがけを取ると研究者人生が変わると言われるが、これは過言ではない。若手にとっては非常に大きな予算がついて、これを基盤として独立的な研究体制を整えることができる。実際にさきがけをベースに環境バイオテクノロジー研究室もできたといっても間違いではない。

また、それ以上に予算の使い方を学ぶというのも大きい。非常に効果的な使い方もあれば、せっかく費やしたので成果が上がらないこともある。こういう予算の動かし方を学んでいったのも非常に大きい。

そして、人的交流が広がったことも大きいだろう。さきがけを取るような人たちと年2回も合宿形式で研究会を行うので、非常に強いつながりができる。

さらに素晴らしいことであるけれど、自分の研究に対して、著名なアドバイザー(10名程度)と他のさきがけ研究者ががんがん意見を言ってくれるのである。

別のとある「若手を育成します!」と標榜する泊まり込み形式の会議に参加したことがあるが、実際には著名な先生たちが自分の発表をして、若手はポスター発表で終わりというようなものがあった。さきがけ領域会議を経験した身だったので、なんと味気ない会だろうと思ったことがある。逆に言えば、さきがけの領域会議がそれほど鍛えてくれるようにできているのである。

今年で藻類バイオエネルギーの全プロジェクトが終了するということで、最後の研究成果報告会になる。CREST・さきがけの領域会議は研究内容もさることながら、人的交流の発展に多大に寄与する。現在も共同研究を行っている方々は、この領域会議で出会った人が多い。恐ろしく優秀な方々が集まっているので、とても刺激になる(その分、参加した後は、びっくりするくらい疲れる・・・)。

今回は発表の機会を頂いたので、何を喋ろうか楽しみにしている。さきがけの後に明治大で研究室を構えたので、新しくできた環境バイオテクノロジー研究室の話をしたいと考えている。いつもサイエンス以外の余分な話が多くて苦言をいただくこともあるのだけれど、今の時代、論文の内容をしゃべるだけだったら研究会は必要ない気がするので、どうかご容赦頂きたい。

さきがけの領域会議。あの厳しくも楽しい会議を思い出すととても懐かしく、(緊張して)背筋が伸びる思いである。

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