とてもめでたいことであるが、環境バイオテクノロジー研究室も発足3年目の終わりになってきて、自分で論文を作成する学生も増えてきた。
論文は、なんといっても最初の一本が大変だと思う。そもそもどうやって作ったらよいか?何を書いたらよいか?がわからない。
このブログの大きな目的の一つは、研究室の情報共有である。論文の書き方を一人一人に教えるのではあるのだけれど、研究室には20人以上の人がいる。全く同じことを教えるのは効率的ではない。
メールなどで一斉送信しても、後になって検索するのが大変である。また、クラウドにメモを置いておいても良いのだけれど、ログインをしなければならないし、無料版だと容量がいっぱいになってしまう。
やはり今時は、ブラウザで検索してすぐに出てこなければ、情報共有が難しいと感じるようになった。
最近初めての論文を書く学生が増えてきたので、原著論文の書き方を載せたいと思う。論文の書き方なんてとても偉そうであり、私自身も一生勉強しながら向上させていくものである。なので、あくまで現在これがよいと考えている方法を掲載する。研究室によって書き方が異なると思うので、他の研究室の人は参考程度に見て頂き、比較してもらえれば幸いである。
ここでの原著論文は、生物学や生化学、生物工学の実験系の論文を想定している。
原著論文なので
1. Abstract(要旨)
2. Introduction(序論)
3. Materials and Methods(材料と方法)
4. Results(結果)
5. Discussion(議論・考察)
6. Reference(参考文献)
7. Figure Legends(図の説明文)
これにFigure(図)とTable(表)があるオーソドックスな論文を想定している。
論文作成手順1. ファイルの共有方法・更新方法を決定する
基本的に本文(Manuscript)のファイルはWordやLateXなどの文章作成ソフト、FigureはPowerpointやIllustratorなどのソフトで作成していくと思う。うちではWordとPowerpointを基本にしている。
これらのファイルを何度も何度も他の人とやりとりしていくことになる。膨大なファイルの数になるため、「ファイル名の命名規則」や「共有方法」を決定しておく必要がある。
例えば「cyanobacteria.docx」という同じファイル名で更新していこうとすると、いつのファイルかわからずに、上書きで消してしまうことがある。
また、ひたすらメールでやりとりをしようとしても、重い画像ファイルがあると送れなかったりするし、最新版を探すのが難しかったりする。
うちの研究室では、日付と更新者名をファイル名の最後につけて、論文ごとのフォルダを共有クラウドに作り、そこにアップロードすることにしている。
例えば「cyanobacteria_0106Osanai.docx」とすれば、1月6日に小山内が更新したことがわかる。論文は何度も長い時間かけて更新していくことになるので、こういう規則を作っておくのが大事である。
論文作成手順2. 結果のFigureのファイルをPowerpointで作る。
論文を作成するにあたって、最初にどこから書くかは人それぞれである。最初に行うことの1つが、Figureのファイルを作ることであると思う。うちの研究室ではPowerpointを使っている。
実験で得られたグラフや図を1つのPowerpointに貼り付けてFigureを作っていく。これによって、どのような順番で結果を説明していくか(Resultの順番)が決定していく。もちろん、じっくり考えて順番を入れ替える。
大事なことは、Figureの順番は、実験を行った順番ではない点である。
一番最近得られた結果がFigure 1になるかもしれない。頭を柔らかくして、順番を入れ替えていくことが大事である。
また、論文のFigureには、細かい情報(例えば培養条件だったり、実験の試行回数(n数))などは書き込まない。すべてFigure LegendsやMaterials and Methodsに記載する。しかし、最初からシンプルすぎると、後で忘れてしまったりするので、最初はいろいろ記載しておいて最後に消すのでも良い。
Figureの作成に関しては、ゼミで定期的に研究成果の報告をしているはずなので、そのファイルをベースに作っていけばよい。
また、Figureのファイルを並べていくと、「あれ、この実験が足りない・・・」と気づくことがしばしばあるので、実験をしながらも、論文を想定してFigureファイルを作っていくことを強くお薦めする。
No.2へ続く。
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