2018年1月30日火曜日

農芸化学ってなんだろう?

我々の学科は明治大学農学部の農芸化学科である。

「農芸化学ってなんだろう?」

この学科名を口にする場合、まずこれを考えなければならない。農芸化学という言葉は、普段の生活で使うことはないし、物理や化学、生物と違って高校の勉強科目にもない。

公式な見解としては、こちらの農学部ガイドを参照して欲しい。
農学部HP
農学部ガイド

農学部ガイドの冒頭には農芸化学科の説明として
"微生物を用いた環境にやさしい技術の開発、おいしくて健康に良い食品の研究開発、植物生産や環境の資源である土壌の研究、動植物や微生物が生産する有用物質の検索"
と書いてある。

また、日本有数の巨大な学会である日本農芸化学会のHPはこちらである。
こちらのHPでは、
"農芸化学は、生命、食糧、環境の3つのキーワードに代表されるような、「化学と生物」に関連したことがらを基礎から応用まではば広く研究する学問分野"
と説明されている。

明治大学農学部には、農学科、農芸化学科、生命科学科、食料環境経済学科の4つがある。他の学科に比べると、農芸化学の中身は名前からはわかりにくい。

農芸化学科を受験する学生は、「食品の研究」に興味ある場合が多い。

今年度の大きなニュースといえば、農芸化学科の村上先生によって発酵熟成肉の会社が立ち上げられ、ファーストフードから熟成肉のハンバーガーが発売されるなど、テレビ、新聞など多くのメディアが取り上げることになった。
https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2017/6t5h7p00000pc9ft.html

また、学科長の中島先生のブルーバックスが「発酵の科学」が刊行された。
表紙を見ていただければわかる通り、納豆、味噌、醤油、酒などの「発酵」について、科学の話に加え、発酵の歴史や教養などがたくさん詰まっている。読んでいると発酵食品を食べたくなってお腹が空くので、注意が必要である笑。

大事なこととしては、上記の先生方は、学内では「食品の先生」ではなく、「微生物学の先生」と認識されていることだろうか。

私の研究でもそうだけれど、分子生物学が専門で、最近はバイオプラスチックなどの生物工学・環境バイオテクノロジー研究を行っている。

ところが、研究が進むにつれて、食用色素のフィコシアニンの生産や、食品としても知られるスピルリナ・ユーグレナの研究にも発展している。また、バイオプラスチック原料であるコハク酸は、食品添加物でもある。

こちらはフィコシアニンキャンドルを作っているところ。手ぶれしていてすみません💦。。



ということで、私も食用色素や藻類の研究をしているので広くいえば「食品の研究」を行っていることになるのかもしれない。

このように、食品・微生物・環境・化学などがキーワードだが、どれかを勉強・研究するのではなく、すべてを勉強して、それらを自分なりに融合するのが農芸化学ではないかと思う

自分の知識や技術が1つの分野だけでなく、多方面に役立つように成長するのが農芸化学の特徴であると思う。

しかしながら、分野を広く学ぶので、必然的に勉強量も多くなる。入学すると、「勉強が大変」とひたすら上の方々から言われるのが本学科の特徴でもある。

農芸化学は、普段なじみのない言葉であるので、知らない人も多いかもしれない。少なくとも私は、高校生の時には農芸化学という言葉は知らなかった💦。したがって、農芸化学科には「自分で考えて行動する」人が多いのではないかと思う。なんとなくレールに乗っているだけでは、農芸化学にたどり着かないからである。

一方で、上記の通り、いろいろな分野を研究しているため、「現時点ではまだどんなことに興味があるのかわかっていない人」にもおすすめである。高校卒業時点で進路を決めるというのはかなり難しいと思う。実際に学んでみて、方向転換できるのもよいところであるので、迷っている人はぜひ農芸化学科にチャレンジして欲しいと思う。

ということで、自分なりに農芸化学を紹介した。上で述べた通り、農芸化学は自分なりに学問を融合する分野であるので、あくまで一意見である。学問を学ぶだけでなく、学問を作ることにチャレンジしたい人、ぜひ農芸化学科においでませ。。

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