迷惑メールはとても面倒である。
お金あげますとか、恋人がどうとか、まあどう考えても引っかからないだろみたいなものから、有名な会社のアカウントを装った手の込んだものまでいろいろある。
怪しいキーワードがあると、セキュリティーで引っかかるが、最近ではそういうのを回避するために、下のように書いていあったりする。
おは$よ$う#ござい%ます。
というように、変な記号を途中に混ぜたりする。それでも人間は、勝手に記号を除いて意味を認識することができる。一方で、文字情報としては全く別物になるので、セキュリティーに引っかかりにくい。なかなか大したものである。
この迷惑メールでもそうだが、人間は自分が有する知識や経験によって、足りない部分を補ったり、余分な部分を削ったりして、意味を理解することができる。
実は、これが論文を書いたり、学会で発表したりするときに邪魔になる。
要するに、自分は専門の知識があり、実際に手を動かして実験をしたので、文章が足りなかったり、余分なスライドがあったり、話が前後していても理解できてしまう。
しかし、相手はバックグラウンドが異なるので、理解できない。このギャップをうまく埋めるのが、良い論文・良い発表を作るということである。
これがかなり難しく、自分も予算のヒアリングに際し、「完璧だ!」と思って準備するのだが、人に聞かせると「よくわからない・・・」となってしまう。
なので、人に論文を読んでもらったり、発表を聞いてもらったりすることは非常に重要である。
しかし、他の人の労力を使わせることにもなるので、自分で最大限の努力をした後、というのが必須な条件である。未完成のまま読んでもらっても、「理解できません」で終わってしまう。
予算申請なんかをしていても、未だにこれが難しい。なので、この能力を磨くのに終わりはないし、逆に言えばすごく差がつく部分だとも言える。点数になるものではないので、能力であることが把握しにくいのだが、使わない資格をとって満足するよりもはるかに大事な能力であると考えている。
論文などを一通り書き終えると、「もうやることはない!」と思ってしまいがちだが、もう一度見返して「実験をやっていない人、初めて読む人が理解できるだろうか?」という観点から、自分で推敲してほしいと考えている。
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