この議論はもうずっと前からなされている。
「稼げる大学」へ外部の知恵導入 意思決定機関設置、来年法改正
大学は、人を育てる教育機関であるし、企業がやらないような領域を研究するからこそ意味がある。
そうはいっても、大学は、社会の中の巨大な組織の1つ。アメリカの大学のように寄付を集めて資産運用して自分で稼いでくれと言われている。
また、研究そのものについても、役に立つ研究、稼ぐ研究をせよという圧力がある。
これらは、日本があまり裕福でなくなってきてしまったこともあるし、諸外国の勢いがすごくなり企業がなかなか勝てなくなったこともある。あと、単にアカデミック業界が嫌いという人もいる。
なので、上のニュースのように、大学も自分で稼ごうよという話がでてくる。
ただ、こういう話は、まあちょくちょく出てはいる。少なくとも10年以上前からは、有形無形でいろんなプレッシャーはある。たぶん、もっと前からある。こうした背景から、大学ベンチャーが盛んになっていると思う。
こういうニュースがでると、とにかく議論が沸騰して最後は感情論になる。アカデミック業界からの反発はすごい。そんなの大学がやることかと。
大学の人間としては、賛成半分、反対半分である(もちろん個人の意見)。
どこが賛成かというと、収益が上がりそうな産業なんてものに挑戦していたら先細りするからである。たまに大学の人たちにコストとかマテリアルバランスとか問おうとする人がいるのだけれど、そんなのができそうだったらすでに誰かと事業を進めている。そういうことを訳知り顔で語っていると、新規事業が創造できないと思う。
なので、こんなの産業になるのか?というところこそ、大学がやるところだと思う(そもそも産業を見据える必要もない)。
そして、教育機関なので、学生たちのためになるならば、好きに研究すればよいと思う。
一方で、どこに反対かと言うと、たしかに、大学は大きな組織なのだから、その中の誰かは稼ぐようなことをしてもよいのではないか?とも思っている。
言い換えると、基礎部門と応用部門(稼ぐ部門)があってもよいということである。
実際、学生の意見を聞くと、製品作りをしたいというニーズはとても多い(拙速なのは反対だけど)。なので、一部に稼ぐ部門があってもよいのではないかと思う。
この部門というのが1つの大学内の話なのか、個別の大学レベルで役割を分けるかは議論があるだろう。ただし、自分のような私立大だったら稼ぐ部門があってよいかなと思う。
そして、このような時に肌感覚で問題にネガティブだなと感じることが、稼ごうとすると邪魔をする人がいることである。
これがアカデミックの問題で、多様性を大事にと言いつつ、他人のやることを否定しまくる人、考え方を同じ方向に向けようとする人は、決して少なくない。
特に、誰かに応用研究をされてしまうと出し抜かれた感があるので、頑張って否定しようとしたりする。このブログでも何度も触れている。
ということで、外部の意見を丸呑みする必要は全然ないと思うけれど、アカデミックの中でも襟を正さないといけない部分はあると思っている。
自分は一貫して、「基礎と応用研究を両方担当する」と言い続けている。そろそろ製品も見えてきたし、なんとか本学が稼げる大学の看板が掲げられるように、役立ちたいと考えている。いうまでもなく、それは副業ではあると思うけれど。
↓早く製品がでるとよいのだが・・・。なかなか大変。。
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