長い時間がかかりながら、応用・社会実装の道を模索している。
基礎研究者にとって、自分が完全に基礎研究でいくのか、それとも研究成果を生かして少しは社会に役立つこともするのかは、常に悩みの種である。
これにはいろんな考え方があると思うけれど、まず研究室の研究が完全に基礎であったとしても、それほど世間の風当たりは強くない。大学関係者のみならず、役に立たないからすぐにやめろと言う人は、それほどは多くない(いないとは言わない)。
一方、研究者として問題なのは、応用研究なんて全く目指していないのに、とりあえず応用研究を掲げることである。
こういうことを理由には、いくつかパターンがある。主なものが以下の3つ。
1)研究費を獲得するため
2)他の人が社会に役立つ研究をしてしまうと、なんか悔しいため
3)(少ないながらも)役に立たないことをしていると、馬鹿にしてくる人がいるため
という感じである。
人に流されて変に応用研究をすると、どっちつかずになって研究成果が挙がりにくかったりする。研究室のボスはよいかもしれないが、所属する学生やポスドクにとっては、成果が挙がるかどうかは、今後の生活をかけた死活問題である。
一方で、やはり研究成果を社会に役立てたいという思いを持っている人は少なくない。なので、うまく応用に繋がればそれにこしたことはない。
では、その研究室が本気で応用研究をやっているのかどうかを見分けるにはどうしたらよいだろうか。
1つのやり方は、「研究室で特許をどれくらい持っていますか?」と聞くことである。
ブログを読んでいたらご存知かもしれないが、起業に向けてスクールなどに通っている。
起業に向けた話では、必ず研究成果の知財化について聞かれる。ようするに、「特許はどうなっていますか?」という質問である。
こんな時に「いえ、全部論文です」とか「特許出願が1件だけです」とかだと、話はそこで終了と言っても過言ではない(よほどすごい特許とか、ダイレクトな製品化につながるならば別)。
1つ2つの特許ではなく、複数の特許を積み上げていって、やっとさあどれくらい守れるかなと考え始めるレベルである。
なので、本気で応用を目指すならば、当然知財戦略も進んでいるはずである。もし知財が全然ない場合は、本気で応用・社会実装は目指していないことがほとんどである。
そして、こういう時の言い訳に「いや、社会に広く研究成果を使って欲しいので、特許は取っていません」だったら、さらに注意である。
なぜって、特許は金儲けの道具ではなく、自分の領域の研究成果を守るものだからである。このブログでもしばしば書いているように、特許出願はディフェンスである。社会に広く使って欲しい場合は、出願で終わらせれば、他の研究者が特許を取ることができない。一方、その技術を使っても他の研究者たちは、お金を払う必要もない。実際に公的機関が出願で終わらせることもよくある。
ということで、上の返答をする場合は、たぶん特許のことをよく知らない場合が多い。もちろん、技術によってはあえて特許を取らないこともあるが、1つも取らないということは少ない。なので、全然特許がない場合は、最初にあげた3つの理由からなんとなく応用を掲げてみたという場合が少なくない。研究者も感情で動く人間なのである。
正直特許のシステムは難しくて、自分も2013年に初めて出願してから、少しずつ学んでいる状態であるので、偉そうなことは全然言えないが・・。
このように、別に大学の研究室なんて基礎でも応用でもどちらでも良いと思うのだけれど、応用の看板だけ掲げている場合もあるので注意である。これを見分けるには、特許について聞いてみると明らかになる場合があるというのが本日のブログである。
秋になれば自分の所属する研究室を考え出す学生もいると思うので、少しでも参考になれば。ただし、応用志向でもいきなり製品化を目指すのはお勧めしないけれど・・・。。
特許本当にむずかしい・・・
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