2020年6月27日土曜日

自分で枠組みを作る問題に慣れていく。

春学期は、分子生物学、環境分析実験ともに、主に2年生が多い科目を担当することになっている。

今年は対面でできなくて残念だが・・。

講義の分子生物学だが、100分授業では集中がもたない。なので、途中で2回くらい、問題を出して自分で解いてもらうことになっている。今回はオンライン課題だが、同様の課題を出している。

これらの課題を出すときに、大事にしていることが、

あいまいな問題を出す

ことにしている点である。

あいまいな問題とは何かというと、例えば、

このPCRの結果を見て、書けることを書いてください

という感じである。

入試などでは、このような曖昧な問題はない。がちがちに条件が固まっていて、答えが決まるような問題だったと思う。

しかし、今後の人生において、答えが決まっていて、正解を教えてくれるような場面は非常に少ない。

そもそも自分で何を書けばよいのか、自分で考えて枠組みを設定し、そこからやっと勉強して解答を考えていくというプロセスを辿る。




こういう問題は、出された方はとても気持ちが悪い。

何を書けばいいのか?これを書いていいのか?これは間違いなのか?正解なのか?

努力の方向性が見えないので、すごくやりにくい。

しかし、今後はほとんどこの形式の問題に立ち向かわなければならない。

どの研究室に入って、どんなテーマを選ぶか。
大学院に進学するか、会社に就職するか。
どの職種のどの会社にするか。
会社のどの部署を希望して、どんな製品やサービスを提供するか

など、自分で決めて、それに向けて努力していなければならない。この方向で良いですか?と聞かれても、意見をもらうことができても、正解をもらうことはできない。この点が最も難しく、大変なところである。

こうした人生で迫りくる選択に備え、2年生からあいまいな問題を出すことにしている。

繰り返すが、こうした問題は、モヤモヤすると思う。これでいいのか不安に駆られながら進めると思う。しかし、これは避けては通れない。この会社に入って、この製品を作れば絶対儲かりますなんてわかっていたら誰も苦労しない。せっかく頑張って用意したのに、だれも興味を示さず、全く売れませんでしたということは当然ありうる。それが仕事の大変さであると思う。誰しもが、「この方向性で良いのか?」と聞きたい。

しかし、わからないからこそ、考えながら日々選択をしていくのである。まもなく研究に入ると、さっそくそれが始まる。就活で必要なことは言うまでもない。

ということで、だんだんと大人な問題に対峙していくことになる。こういう意図を持って曖昧な問題を出しているので、ぜひ挑戦して欲しいと思っている。









これが大学教育と受験勉強の違いです。。大学教育っぽい話でした。。
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