研究にもアウトリーチ活動が必要とされている。
アウトリーチとはもともと手を伸ばすという意味である。いろんな分野で様々な意味で使われているが、研究でのアウトリーチ活動といえば何かというと、研究成果を広く一般に知らしめることである。
研究成果は論文や特許になる。学術論文になればそれだけで世界中に発信される。論文になると、全然関わりもない遠い国の人から連絡が来たりする。すごく偉い外国の先生の論文に引用されたりもすると、「ああ、こんなに広く伝わっているんだ・・」と感動することもある。
しかし、これらは全て専門家向けである。論文を読めばいいけれど、専門の文章を読むことはすごく難しい。教員だって専門が少し外れれば読めなくなってしまう。なので、研究を専門としていない人には伝わりにくい。
また、科研費などの税金で研究を進める場合には、一体何を研究しているのか?という説明責任を求められることも多い。なので、昨今は研究者もアウトリーチ活動が求められている。
研究者のアウトリーチ活動にはどのようなものがあるかを紹介してみようと思う。
1. 論文発表後のプレスリリース
いろんな活動があるけれど、結局今のところ、これが一番効果的。アウトリーチ活動というと、なんとなく目立てば良いと思うかもしれない。SNSでバズらせる方がたくさんの人の目には触れる。
でも、たくさん感想が来るとか、ファボやリツイートの数が多いとかで争っているわけではない(資金集めとかならばよいかもしれないけれど・・・いや、やっぱり微妙か・・)。
アウトリーチ活動で大事なのは、大きな目標に向かって本気で新しい何かをやろうとしており、そのために新しい成果や技術を探している人たちの目に留まることだと思っている。
大きな目標は、医学の発展でも環境・食糧問題の解決でも、ビジネス展開でもよい。本気で新しいことをしようと思ったら、新しい成果や技術を必要とする。既存のものだけでは瞬く間に真似をされてしまう時代である。
そのような目標を持った人たちは、常に最新の研究成果にアンテナを張っている。なので、論文を出さずに、ただ過去の研究紹介をしてもあまり興味を持ってもらえない。本気の人たちからすれば、「そんなの知ってる」で終わってしまう。
うちの研究室にも多くの企業の方々が訪れる。3つの会社と共同研究を進めているが、水面下ではもっと多くの企業と打ち合わせをしている。メディア・広報の方々も来たりする。どこで情報を知ったのですか?と聞くと、一番多いのが、プレスリリースのようである。プレスリリースされると、新聞にも掲載されることがあり、また、電子版ならばプレスリリースを自動的に掲載するサイトも多い。最も目に留まりやすいようである。
2. 企業の人たちがいる学会・研究会での発表
あえて、「企業の人たちがいる」とつけているのだけれど、学会もいろんなところがある。近い分野で前提知識を持っているもの同士でディスカッションをするのも大変有用である。
ただ、自分がいた分野は、ほとんど関連分野の大学の研究者ばかりで、似たような質問が多く、正直飽きてきてしまった。
最近は、生物工学会、農芸化学会などによく行くが、これは大学関係者だけでなく、企業の人たちが多いからである。また、2018年の鶴岡で開催されたメタボロームシンポジウムに参加したが、こちらにも企業の人たちが多く、とても活発で面白い会だった。そもそも企業の方が座長で、依頼を受けて発表した。
このような会だと出会いが多い。プレスリリースが効果的と言ったが、最大の弱点は直接会っていないことである。どこのどんな人かもわからないのに、いきなり共同研究なんてできるはずもない。一度は直接会う必要があるが、それもまたハードルが高い。なので、直接会ってしまう学会は当然有効である。実際に、ここから企業との共同研究に発展した。
なんか長くなってきたので、No. 2に続く。
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