2018年9月15日土曜日

実は今、研究室のターニングポイント No.4

実は今、研究室のターニングポイント No.4。
いつのまにかNo.4になってしまった・・・

さて今年は研究室発足4年目。3期生が4年生、4期生が3年生となっている(ややこしい。。)。4つの学年の学生が、環境バイオテクノロジー研究室に配属されたことになる。

今年度は比較的よく研究室が廻っていると思う。自分で使った器具は自分で洗う、掃除当番をさぼらないなどはまあ比較的うまくいっていると思う(ただし、先生の目に届かないだけの可能性はあるので、注意は必要だが)。

研究室としてのシステムが出来上がってきたのだが、さて何を悩んでいるかというと自分自身の目標についてである。

この悩みを語るために、いつの間にか研究室の流れを書いてしまったが。。

明治大学赴任前は理化学研究所にいた。27歳で博士号を取って以来、東京大学、理研で研究をしていた。いずれのポストも任期付きであった。

なので、まずはがむしゃらに研究をしていた。パーマネントポジション獲得!というよりも、とにかく研究を進める!という一心で、時間が空けば論文を書いていた。応用志向なので、論文だけでなく、特許出願もがんがんすすめた。本当にがむしゃらだったと思う。

35歳で明治大学に着任し、今も研究は必死に頑張っている。ただ、研究といってもどちらかというとサポート役だろう。研究できるシステムを整える仕事と言っていいと思う(論文は書くけど)。さらに、教育はもちろんのこと、大学業務もある。仕事が多様になってきた。

研究室のテーマも多様化してきた。研究といっても内部だけでなく、学外の方々との研究関連の仕事もある。ビジネス関連の仕事もある。基礎研究者が論文のことだけ考えているのは、はるか昔の話である。

教育も講義や実習だけでなく外部向けのイベントなんかもいろいろ。これらにさらに進路の相談関連のことからその他の大学業務、人間関係についてのことなど、色々と考えることがある。びっくりするくらいいろんな仕事がある。

そうすると、1つ1つの仕事が30分間区切りくらいになり、日々10〜20種類くらいの仕事をこなすという感じになってきた。

30分間区切りと明確になっていればまだましだが、集中したと思ったら別の仕事が入り、終わったと思ったら次の仕事が急に入り・・・という繰り返しである。

こうした中で、モチベーションを保っていくのは至難の技であると感じている。さらに、自分の将来を考えてしまうと、パーマネントポジションであり、生活には困らないくらいの給料はもらえるようになった(それほど豊かではないが・・)。

このような中で、自分の目標をどこに設定すべきかが、とても難しくなっている。

研究室でも学生には、「行動が自由な中で判断力を磨いていくことが大事」と口を酸っぱくして言っている。研究室に配属されると、それまでの講義や実習をうけるカリキュラムと違って、自分で自由に行動できる。この自由こそが難しく、目標設定を自分でしなければならない。目標設定を誤るとせっかくの努力があまり実を結ばない。研究室で訓練すべきことであると伝えている。

PIになった現在は、自由がさらに広がっている。とても幸せなことなのだけれど、自由であるということはとても難しいと、いまさらながら痛切に感じている。

研究室では、ポスドクのIさんと話している頻度が一番高いが、何をしているかといえば、この自由すぎる状況の中で、研究室の方向性を決めていくことである。既存のテーマの方向性の決定だけならばましだが、新しいテーマの種も常に播いていかなければならない。遊んでいるようにしか見えないところにこそ、新しい種が転がっていたりする(芽がでないことの方が多いが)。

さらに研究室の予算や労力の配分を考えなければならない。同じ実験機器を使う人が多過ぎれば効率は落ちる。人間関係の相性もある。そういったことまで総合的に議論しながら、研究室の”システムの最適化”を考えている。

この最適化について、これまでは自分の研究効率を最適化することだけを考えてきた。しかし、これを拡張し、自分やスタッフの働き方の最適化(もっと楽しく、無理なく働けるなど)や、学生の進路に向けた最適化(自分の希望する職や待遇を得られる確率を上げる)なども考えなければならない。

3人、4人だったら簡単だが、20人を超える研究室だとそうはいかない。ある人に特化して最適化したら、別の人には不利益を与えてしまう可能性もある。これらの可能性を考え、検証しながら、システムを作っていく必要がある。カオス状態である。。

なんかやたら長くなってしまったが、がむしゃらに研究成果を挙げよう!という時代は、ある意味では楽だったのかもしれない。若かったなと自分でも思う。30代も終わりに近づき、自分の仕事の内容が大きく変わっていることを強く実感する。

研究室が発足して3年半。新しいフェーズに入っていく環境バイオテクノロジー研究室がどのように変わっていくか、日々悩みながら、しかし良い方向に変えていきたいと考えている。長々と書いてきて、自分でもよくわからなくなってきたが、要するに、分のためにも、全体のためにも、もっと仕事を楽しくしなければならないと考えている。そうしないといつしかモチベーションが下がり研究をしなくなってしまうのではないかという危機感を抱いている。

今はどんなフェーズかというと、これからまだまだ長く研究をして成果を挙げていくために、研究室の持続的なシステムを構築する時ではないかと考えている。



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