2018年9月5日水曜日

卒業生の訪問と教員の喜び

この間、1期生のKさんが研究室を訪ねてくれた。夏休み期間で研究室に寄ってくれたので、大学で話をした後、同期も含めて5人で呑みに行った。



こういうのが、大学の先生になった最大の喜びの一つである。

大学の前は、理化学研究所にいた。ちょうど事業仕分けや捏造騒動などがあり、タイミングも悪かったかもしれないが、研究所や研究室の中はやはり余裕がなかった。働いている人たちは、自分も含めほぼ全員が任期制だった。来年のことを考えながら常に仕事をしている。仲が悪かった訳では全然ないのだが、こういう状況だとどうしても余裕がなくなる。

また、仕事柄どうしても利害関係になってしまう。研究費やポストなど、どうしても争うこともでてきてしまうのである。

大学に異動して、「お金のことを考えなくていい関係」の学生と接することができて、「ああ、なんかほっとするな」と強く感じた。心が洗われる感じであった(「いや、お金のことは考えていなくても、単位のことは考えているのかもしれないが」)。



理化学研究所でたくさん研究をできて、それはとても素晴らしいことであった。でも、4、5年経った後に、

「このまま論文の本数とジャーナルのレベル、そして研究費の獲得競争に明け暮れてすごすのだろうか・・・」

と思うようになってきた。そのころちょうど子供も生まれたし、30代半ばに差し掛かるところだったので、そろそろ次の世代への教育に転換しないなというタイミングだった。

素晴らしくよいタイミングで、現在の明治大学農学部農芸化学科に採用していただいた。35歳で着任(だったと思う・・)なので、自分で考えていた理想の形でもあった。いやほんと、運がいい人間である。今でも何であんなにあっさり採用されたのかわからない。しばらくどっきりじゃないかと疑うほどだった(芸能人でもないので、どっきりなんか仕掛けられるわけはないのだけれど)。

話はそれたが、自分の研究室を持って学生が配属された。自分の研究室の学生ができた!という感動は、一生忘れないと思う。

ただし、学生として研究室に在籍している間は楽しいことばかりではないと思う。むしろ、研究の大変さにびっくりするだろうし、毎日顔を合わせていれば、いいことばかりではない。

それでも、卒業してこうやって訪ねてくれると、いい思い出ばかり蘇ってくる。「機械を壊した!試薬を間違えて作った!」なども、その当時は大変だっただろうが、時が経てば笑い話になって、飲み会でネタにしてみんなで楽しく話すことができる。

今後もどんどん卒業生が増えていくが、卒業生が訪ねてきてくれることは、教員にとって最高に嬉しいことである(いそがしくて邪険に扱ったらごめん。。)。卒業生も仕事で忙しいと思うが、とにかく健康と安全に気をつけてもらい、こちらはまた会う日を心待ちにしている。

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