2018年11月1日木曜日

転写制御因子のダブル改変でコハク酸を増やす。

Cluster-Level Relationships of Genes Involved in Carbon Metabolism in Synechocystis sp. PCC 6803: Development of a Novel Succinate-Producing Strain.
Takeya M, Iijima H, Sukigara H, Osanai T.
Plant Cell Physiol. 2018 Jan 1;59(1):72-81. doi: 10.1093/pcp/pcx162.

さぼりまくっていた論文アーカイブス・・。ということで、ひさしぶりに論文紹介。

こちらは、現在M2の竹屋くんが筆頭著者論文となったもの。ポスドク飯嶋さんのデータもたくさん含まれている。

わが環境バイオテクノロジー研究室が誇る天才、竹屋氏の論文である。。いや、一期生なんだけど、いきなりこういう学生がいて、着任から「なんだ、この大学・・・」と驚くばかりである。就職関連のことも含めるのでブログには書けないが、他にもすんごい学生たちがたくさんいる。

それはさておき、こちらの論文は、単細胞性シアノバクテリアであるシネコシスティスの遺伝子改変により、転写制御メカニズムを調べるとともに、コハク酸の増産を行ったものである。

これまでにいくつかの論文でコハク酸増産株(コハク酸生産量が増える株)を作ってきた。6つのコハク酸増産株における、糖代謝やコハク酸生産に関わる遺伝子の転写産物量の解析をしたものである。

遺伝子間の関係性を相関係数とクラスター解析というもので明らかにしている。よくわからなくても、かっこよさげな図ができることはわかる。。。

これは、例えばある遺伝子Aの転写が増えた時に、別の遺伝子Bの転写が増えることが多いか、減ることが多いか、それとも関係ないことが多いかを数値で表したものである。

遺伝子AとBが関係するかどうかの解析である。

これらを駆使してコハク酸増産株の共通パターンを見出したのち、SigE、Rre37という2つの転写制御因子を過剰発現して、コハク酸を増やした。

生産量としては、3日間420mg/L。これは生産効率としては、発表時シアノバクテリアの世界最高記録である。

と言っても、その少し後に、うちのALCAチームである神戸大学の蓮沼先生がさらに塗り替えた(同じ研究チームとしてやっているので、もちろんデータは知っていた)。

こんな難しそうなクラスター解析を、なんと学生が自分でやってしまった。僕はというと、「どうやってクラスター解析ってやるの?」と聞くレベルである笑。もう、先生ってそんなレベルである(←威張ることか笑)。。

ということで、Figureだけで20個もある長編論文。もう一歩良いジャーナルでも良いと思ったのだけれど、最終的にはPCPにアクセプトされる(もちろんPCPも素晴らしいジャーナルです。。。)。論文の質にはわりと良いと思うので、ぜひご一読を。

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