2018年11月22日木曜日

楽をしたけりゃ全部S

農芸化学科は単位取得がとても厳しい。すごく勉強しなければならない学科として知られている。

授業によって単位取得の難易度は異なる。これはどの大学でもそうかもしれないけれど、「あの授業は楽タン(楽に単位をとれる)」とか「成績が厳しい」とかは、学生の間で常に情報交換されていると思う。

昔の自分の大学時代では、新聞部のようなものが授業の難易度などを発信していたと思う。今ではデータベースなんかもあるかもしれない(本当にあるかは知らないけれど、あるのだろうか?)。

ただ、教員になればわかるのだけれど、「教員が一番楽しようと思ったらどうすれば良いか?」と聞かれたら、答えは簡単である。

「全員の成績をSにする(一番良い成績にする)」

である。

良い成績をつけて文句を言われることはない。学生も満足することだろう。ひとかけらでも良い部分を見つけて成績をよくすることは不可能ではない。

とはいえ、これで実力がアップするかといえば、もちろんそんなことはない。そして、社会にでた瞬間、実力がつかなかったので苦労することになると思う。会社はそんなに甘くない。実力ない人はあっという間にどこかに追いやられる。

授業では繰り返し述べているのだけれど、大学の授業はもはや選抜試験ではないので、苦手な部分を見つけて、それを改善してくれればOKと言っている。

悪い点がついたら、それはたくさん改善することがあるというだけれど、その改善ができたら問題ない。そもそもそのために大学に授業料を払って通っているのだと思う。

なので、その時の点数や成績よりも、間違った部分を直して実力アップしてくれる方に重点をおいて欲しいと思っている。

とはいえ、やはり悪い成績をつけられれば「なんだ、あいつ」となり、耳を塞いでしまいたくなるのが、人間というもの。自分だって学生時代はそうだった。ついつい褒めてくれる人の話を重視し、叱る人の話は遠ざけてしまう。

大学教員として、成績のつけ方というのはとても悩ましい。耳を塞がれてしまっては困るし、かと言って褒めるだけでは成り立たない。どうやったら実力アップしてもらえるかという大原則だけを曲げずに、これからも悩み続けるテーマではないかと思っている。




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