2018年2月12日月曜日

★論文査読あるある★ No.1 〜はじめての論文投稿のときは・・〜

明治大学農学部農芸化学科に発足した環境バイオテクノロジー研究室も丸3年が経とうとしている。

学生、ポスドク共に論文をたくさん投稿するようになってきた。めでたいことである。

めでたいことであるが、論文の審査、すなわち「査読」はとてもつらいものである。論文というものは書いて投稿すれば掲載されるものではない。つらいことがわかっていないと、大きなショックを受けてしまい、研究そのものを辞めることになると言っても過言ではない。

自分の過去を振り返っても、初めての論文投稿および査読の期間が本当につらくてつらくて仕方なかった。

そこで、査読の時にどのような目に遭うのかを紹介しようと思う。

これを知っていれば多少なりとも落ち着くだろうし、「自分だけ理不尽な目になっているんじゃないんだ!」と思えるだろう。研究は人間がやっているものなので、心と体の安定をキープしていくことも大事である。

ということで、論文査読あるあるとして、体験談を語っていきたいと思う。語れることがたくさんある。。シリーズ化しようと思う。

はじめに大事なことであるが、上記の通り、論文というものは書いて投稿すれば掲載されるものではなく、有名な雑誌・ジャーナルほど審査(査読)が厳しくなる。

最初の論文では、実験をして、さらに文献をたくさん読み、論文を書き上げる。責任著者と主にやり取りをして、議論を重ねあげながら作っていく。

これらによって、論文が完成して投稿した時点でかなり疲れている。

なので、そのままの形で査読を通過して掲載(アクセプト)になって欲しいと願う。人間の心理としては仕方ないところである。

しかし、即アクセプトなんてほとんどない。マイナーリビジョン(Minor revision)(文章など少し直せばOK)なんていうのもほとんどない(少なくとも私の場合は)。

たくさんの追加実験を要求されるのがむしろ普通である。

追加実験を要求して、それらができればOKというのがメジャーリビジョン(Mejor revision)である。

はじめはこの返事をもらっただけで、「追加実験がこんなに・・・」とぐったりしてしまったり、査読者に怒りをぶちまけたりする。

しかし、このメジャーリビジョンはむしろ良い返事である。

私の場合、最終的に掲載された雑誌ですら、多くの論文の最初の判定はリジェクト(Reject)、すなわち掲載不可であった。

上記の通り、リビジョンは「追加実験をしたら査読を通す」のが原則である。しかし、それでも通らないことも多い。そうすると、著者と査読者の側で揉めることになる。

ということで、最近はとりあえずメジャーリビジョンではなく、リジェクトで返すことも多い

Reject but encourage resubmission(不可だが再投稿を促す)と書いてあることがある。これば実質的なリビジョンであったりする。

また、ただのRejectであるが、追加実験項目がたくさん書いてあり、オンラインの投稿画面を見ると再投稿できるようになっている。

これを見て、「よし、リバイスだ!」と自分でポジティブに解釈して、再挑戦するのである。それなりに良い雑誌に通す時にはこれくらいの精神力が必要である。

もちろん、追加実験をして再投稿してもリジェクトのことも多いが、私の場合、それなりに良い雑誌はほとんどこのパターンである。良い雑誌と言ってもNatureとかではなく、PNASはおろか、The Plant Journal、Plant Physiologyなどの専門誌でもこのパターンが多かった。それくらい論文査読は大変なものである。

ということで、査読あるあるの1つは、はじめに投稿すると良い返事を期待しているので凹むが、実際にはリジェクトでも戦えるということだろうか。

論文は想像をはるかに超えて通りにくいものであるので、通った時の気分は格別である。

No.2に続く。

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