2019年9月23日月曜日

初めての学会発表に向けて、学生たちに伝えている2つのこと。

9月は学会シーズンだが、10〜12月にも学会や研究会はいっぱいある



その年に配属された学生には早すぎるかもしれないが、配属2年目の学生たちにとっては、1年半が経っている。就職活動の時期も含まれている場合もあるが、それでも1年間以上は研究しているので、ポスター発表や短い口頭発表には良い時期である。

本学科の場合は3年生から配属されるので、ちょうど4年生が初めて学会発表をする時期でもある(学生によって全く異なるので、一概には言えない。3年生で学会発表する人もいるし、学士の間はしない人もいる)。

割とみんな遠慮がちで、学会発表したら?というと、自分の研究成果で学会発表ができるのか?と返されることも多い。

そんな初めて学会発表をする学生には2つのことを伝えている。

1)学会発表は、データの数の競争ではない
グラフや表の数を数えて、すごいとかすごくないとか比べ合うことがある。卒論や修論発表会でもたまに見かける光景である。わざわざグラフを2つに分けて数を増やそうとしたりすることすらある。データの数が少ないと、なんとなく進んでいない気持ちになってしまうからである。なので、データが少ないので、学会発表は無理だろうと思う人も少なくない。

しかし、学会発表では別にデータがいくつあるからできるというものではない。別に1つだって構わない。

では、じゃあ誰でも、どんなものでも発表すればいいのかと言えば、もちろんそれは違う。何が大事かというと、

2)序論と考察をつけて、ストーリーを作れるか

である。

ストーリーを作るとはすなわち、まず序論として先行研究がどれくらいあり、その上でなぜ自分はその実験を行ったのかを説明できることである。そして、結果が得られたあと、それはどのような位置付けなのか、次に展開をするのかを考察・議論することができることである。その際には、データは少なくても構わない。

要するに、方法と材料及び結果だけでなく、序論(イントロ)と考察・議論(ディスカッション)がきちんとしていれば、データの数は関係ないということである。逆にどんなにデータがたくさんあっても、ストーリーがないと(序論と考察がないと)、上に言われてやっただけに聞こえてしまう。

序論において、研究室でやっているからとか先輩から引き継いだからというのはもちろん理由にはならない。先行研究をたくさん調べて、初めて自分のやっていることの位置付けがわかってくる。

SNSでも見かけるが、例えば生物をみて「わあ、不思議」とか、溶液の変化を見て「すごい、綺麗」とか感動するのは、(動機としては素晴らしいが)科学研究ではない。科学研究はそれまでにどのような知見があって、それは新しい発見なのか、新しいとしてもそれまでの知見と比較して、どのように違うのか、または同じなのかを考察できて初めて科学研究になる。なので、勉強しないと実験をすることはできても研究をすることはできないのである。

ということで、実験から研究に移行してもらうために、学会などを利用して、ストーリーを考え直して欲しいと願っている。最初のうちは学会に行くだけでかなり疲れると思うけれど、必ず成長につながるので、ぜひ挑戦して欲しいと思う。

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