昨晩の会見を見たが、まあ、感想はもう言うまでもない。まともな人は誰が真実を言っているかわかるだろう。
私は3年前まで理化学研究所(通称理研)に所属していた。理研には通算6年くらいいたと思う。この時期に何があったかというと、あのSTAP細胞の事件である。
真相うんぬんはさておき、画像の使い回しやコピペなどがあった。言うまでもない不正である。しかし、会見では認められることがなかった。昨晩の会見と同じである。
さて、こういうことが起きると、内部では何が起こるのだろうか。体験談を紹介したいと思う。
まずはこういう会見を見て、
「真実を語って謝ってくれればいいのに・・・認めないのかよ」と頭を抱える。
これが始まりである。今回の選手の方についてもそうだが、日本人は再起・復活物語みたいなのが好きである。なので、正直に謝って出直すと、たいがい許してくれる気がする。
話はそれたが、しかし、謝らずにあのような会見を行う。それを見た内部の人たちは、
「くるぞ・・・これはえらいとばっちりがくるぞ・・・」
と、当然身構えることになる。
そして、何もなく過ぎ去る・・・なんていうことがあるわけもなく、がっつり悪影響が来る。
しかし、一般的な悪影響のイメージとは異なるかもしれない。例えばデモ隊みたいなのが押し寄せたり、誹謗中傷の電話が鳴り止まないなどを予想するだろう。広報窓口にはそういうのもくるのかもしれないが、現場はいたって静かである。
しかし・・・そう、静かだが強力な負の出来事がたくさん起こる。
今回の件でも「第三者委員会を立ち上げて・・・」なんて言っていた。そうすると、外部の弁護士や教授などを呼んできて組織を作り、検証を依頼する。また、昨日の会見にも大勢の人間や大きな会場などを用意することが必要である。内部で連日会議をしたことだろう。
こういったことに多額の予算が費やされることは言うまでもない。
どこかで予算が費やされれば、他のところで予算が削減されるのは当たり前である。
どこが削られるかというと、例えば新規採用や任期の延長、新しいプロジェクトのスタートなどである。
要するに、予算が削減されたからといって、だれかをクビにするのは難しいし抵抗も激しい。しかし、新規採用を取りやめならば、文句も出しようがない。また、新しいプロジェクトの中止なども残念ではあるが、生活に困るほどではないので、それほどの抵抗もでない。さらに任期制の社員、特に立場の弱い人の任期の延長がなくなる。これも任期が決まっているのだから、延長がなくなるだけで、組織論理としては仕方がないとされる。
こうして、静かだが確実で強力な負の影響が出るのである。新規採用がなくなれば若手の力がなくなるし、新しいプロジェクトの中には将来極めて有望なものがあったかもしれない。将来への投資が人知れずなくなるのである。
もちろん他にもたくさんの影響が考えられ、例えば施設の修繕・環境整備などは遅れることだろう。こういうのも削減しても激しい抵抗にはならないからである。
今回の日大の件ではわからないが、少なくとも予算がそれなりに消費されると思われるので、上記のような出来事が起こるのではないかと思う。
さて、こんなやっていられない目に遭うのだが、中の人はそんな苦しい中粛々と働くのだろうか?
もちろん頑張って働くことになるが、もう一つたまに起こることとしては、
自分たちで自虐ネタにして笑いをとらないとやっていられない
と考えることである。
理研でも、あの直後の4月の新入所員説明会において、「これがあの理研の実験ノートです!!」と事務職員の方がネタにしていた。そうでもしないとやっていられないという気持ちだっただろう。
ということで、あのようなことがあると、
謝ってくれよと頭をかかえる
↓
身構える
↓
静かに、しかし確実に負の影響が出る(新規採用etc)
↓
せめてもの抵抗として自虐ネタにする
という流れが起こった。今回はどうなるかはわからないが、間違ったらすぐ謝るのが大事であることは確実だろう。
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