2018年5月24日木曜日

司会者が一番偉い。

研究室のゼミでは、大学院生の学生に司会をしてもらうことにしている。座長といってもいいかもしれない。

発表をお願いして、終わったら質疑応答を促し、質問がない時には自らが質問をする場合もある。司会・座長である。

1年目は特になにも考えずに私(教員)がやっていたが、いつからかお願いするようになった。

なぜなら、司会をする能力はとても重要だからである。

テレビでも、一番偉いのは司会者である。番組名に人名が入るとしたら、それは司会者のことが圧倒的に多い。


しかし、一見すると不思議なものである。たとえばロケ番組だったら、体を張って面白い映像を取ってくるのは司会者ではない。教育的な番組だったら、専門的な話をするのは毎回のゲストであり、司会者ではない。ともすれば、「映像や話にリアクションをしているだけじゃん!」と感じることもあるだろう。

けれども、日本に限らず、海外の番組でも司会者が一番偉いポジションである。

これはどんなものでも「場を作る」ことが大事だからである。人と人とをつなげると言い換えることもできるかもしれない。

番組に限らず、ものづくりも研究もいろいろな人の仕事がばらばらに動いているわけではない。それぞれの仕事の量や質を調整し、仕事の場所や時間も合わせなければ、お互いの仕事が妨害し合ってしまい、全体としてうまく進まないことが多々ある。

これをうまく進むように運ぶのが司会者の役割であり、一般的な仕事では社長や役職者の仕事であると思う。

研究でも、学部長や学科長、事務長になっている人は、やはりこういう能力に長けている。うまくことが運ぶと、それは目に見えないので、なにをしているのか具体的にわかるわけではない。だから、能力が高いのか低いのか判断しにくいのだが、やはり場を作る能力が必須なのである。

一方、どんなに技術や実績があっても場を作れなければある一定以上の仕事は任せられない。若いうちはそれでも良いのだが、年齢とともに新しい技術、元気な若手が現れるとどんどん苦しくなっていくのである。

ということで、若いうちから司会をすることで、場を作る能力を鍛えてほしいと思っている。点数でわかる能力ではないので達成感を得るのが難しいが、職種に限らず必要な能力であると思っている。





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