研究を進めて2年、3年も過ぎれば、最初の1つの研究テーマだけを進めていることは少ないかもしれない。
たまたまその研究テーマが大当たりして進めている場合もあるけれど、多くの場合は思った結果が出ずに2個目、3個目の研究テーマに進んだりする。また、同じテーマだったとしても予想外の結果が出て、方向転換・軌道修正していたりする。
こちらの方が当たり前で、全然考えずに最初のテーマを一心不乱にやっていることの方がかなり珍しい。
こうして、2つ、3つと研究テーマができることがあるが、非常に大事なことは、なるべくこれらの研究テーマを連続的にすることである。
ようするに、全く別のテーマのように見えたとして、それぞれのテーマに関係性があり、かつ、そのテーマに移ることが自然に見えるようにするべきである。知見を調べて、連続するように考えるべきと言った方が正確かもしれない。
なぜかと、連続的にすることで、片方の研究テーマが完全にネガティブデータだったとしても、それがポジティブデータとして蘇るからである。
テーマではなく、個別の実験に置き換えて、わかりやすい例を。
例えば
ある細菌Aに塩化ナトリウムを入れたら増殖がよくなる
ことを発見した。
この次の実験として、例えば
1)ビタミンCを入れても増殖がよくなることがわかった
2)塩化カリウムを入れても増殖が変わらないことがわかった
という(結果の)選択肢があったとする。
一見、1)の増殖がよくなることを発見した方が良さそうに見えるが、実際には2)の方が良いことが多い。
なぜかというと、1)の実験に進んでしまうと、
○塩化ナトリウム以外の塩でも増殖がよくなるのか?
○ビタミンC以外のビタミンでも増殖がよくなるのか?
○塩化ナトリウムで増殖がよくなるメカニズムは?
○ビタミンCで増殖がよくなるメカニズムは?
と、次々と疑問が沸き上がってしまう。なんかわからないけれど増殖がよくなりますでは、1つの研究成果としてはまとまりにくい。
しかし、2)のような一見ネガティブデータに見えるものの方が、塩化カリウムで増殖がかわらないならば、ナトリウムが増殖をよくする原因なのではないだろうか?となる。そして、ナトリウムに着目した実験が続くことになる。
これは1つの研究テーマの中での話であるが、研究テーマのレベルに置き換えても同じである。
片方の研究テーマで全然変化がなかったとしても、連続的ならば次の研究テーマで変化が現れた場合、後者の特異性というものが明らかになる。
なので、研究テーマの変遷はいろいろあると思うし、思いつきで進むことも多いと思うが、後付けでもよいので、それぞれのテーマが連続的になるようにするべきであると考えている。
自分の研究に入ってしまうとなかなか俯瞰的に見えなくなる。そんなときはまわりとディスカッションをしながら、自分のやっていることが大きく見れば1つであると言えるようにすることが、とても大事だと思っている。
本日はかなり真面目な話。研究室メンバーにも伝えねば。
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