2018年2月10日土曜日

理化学研究所(RIKEN)とは?No.2 〜研究者の雇用問題について〜

理化学研究所(RIKEN)とは?No.2は、研究者の雇用問題についてである。


SNSでもしばしば議論が熱くなるが、職の安定は人生にとって死活問題である。

昔は、定年まで一つの会社に尽くすのが当たり前であり、終身雇用のような安定感があった(実際には会社によってそんなこともないだろうけれど)。

ところがバブル崩壊以降、リストラなんてニュースでさらっと流れて終わりになるくらい当たり前になってしまった。

一旦勤めた会社もすぐに転職する。昔ちょうど30歳の時に高校の同級生5人くらいで集まったが、一つの会社に勤め続けている人は一人もいなかった。そういう時代である。

そんな中でも研究者が相対的に不安定なのは結構知られているかもしれない。噂に尾ひれがついて、研究者は相当危ないのではないかと思ってしまい、研究者を目指すこと自体やめてしまっている人も多い。

理化学研究所は、全体の予算が豊富であるので、中で働いている人は高給取りで贅沢でもしていると思われているかもしれない。

しかし、実際には研究者の雇用契約は年度更新である。すなわち、一年ごとに契約を結び直しており(単年度契約)、年度末に「ごめん、来年は契約ないです」と言わればそれまでである。

また、かなり上のポジションでない限り退職金もない。かなり上のポジションとは、なんとPI(研究室の長)ですら退職金がない。PIでも実は年度更新である。おそろしい。PIの中で定年制になって、やっとおそらく退職金が発生するのではないかと思う(これは未確認情報)。

当然、研究員(博士号を持っている研究者)、テクニカルスタッフなどはほとんど定年制ではないし、賞与もない。すべて年度更新である(ごく一部、定年制の研究員もいる)。

さらに今度は5年ルール(研究者は10年ルール)が登場した。これは理化学研究所だけの問題ではなく、研究界隈全体の問題である。

5年以上働いた場合は、雇用主はその人を無期雇用にしなければならないというルールである。改正労働契約法である。
ところが、上に述べた通り、PIですら定年制でない研究所で、無期雇用にできるはずもない。ということで、5年または10年で契約を打ち切らなければならないのである。

すでに理研では現実問題として始まっていて、長年勤めた凄腕のパート・アシスタントが一旦辞める、または、これを機に辞めるということが起こっている。

理化学研究所だけではなく、大学などでも問題になっている。

予算があるのならば全員無期雇用にすればいいのだけれど、予算がないからなんとか単年度契約で予算を取ってきて繋げているのであるが、予算獲得以外のハードルができてしまった。職の不安定に追い討ちをかける出来事である。

理化学研究所自体は安定でなくならないのかもしれないが、自分のポジションは全く安定でないのが理化学研究所である。このような状況で研究成果を挙げなければいけないので、結構辛い。

自分も理研の時は3時半〜4時半くらいに勝手に目が覚めた。来年度のことを考えるとおちおち眠れないので、起きて論文を書いていた覚えがある。

ということで研究環境はよいのであるが、雇用に関しては良いとは言えない理化学研究所。

理研に限らず、他の大学も研究者の待遇はあまり良くないので、なんとか研究者の雇用環境をよくしていく方策を打ち出していきたいと考えている。

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