環境バイオテクノロジー研究室は、明治大学農学部に所属しているため、基礎研究を行うところである。しかし、農学部農芸化学科という性質上、純粋な生物のメカニズムの解明だけでなく、社会に展開できる技術の開発も志向している。
学術論文を書いて広く世間一般に公開して、世の中の科学の発展に貢献するのが1つの仕事ではある。しかし、世の中はそんなに甘くはできていない。研究も当然だがお金がかかる。研究機器や試薬は企業から購入しなければいけない。お金がなければ研究はできないのである。大学からのサポートもあるが、研究を大きく発展させるにはそれだけでは不十分なのである。
理化学研究所に在籍していた時から、特許の出願を積み上げてきた。シアノバクテリアのバイオプラスチック生産や水素生産に関するものである。一定期間(1年半くらい)をすぎると、出願した特許は公開特許公報に掲載されるので、その特許出願技術は世の中にオープンになるのである。
明治大学から出願した特許も以下のように特許の公開されている。
この特許は、水素の生産に関わるヒドロゲナーゼの発現を抑制することで、シネコシスティスのコハク酸、乳酸の生産量を増大させたものである。
http://www.conceptsengine.com/patent/application/2017070252
理化学研究所時代の特許も公開になっている。
https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.action
こちらは、転写制御因子であるRre37やSigEを過剰発現させることで、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)を増大させたものである。
特許出願の仕組みはとても難しく、専門家の力が必要になる。今回したもので、前者は特許出願である。一方、後者はすでに特許庁の審査請求を経て、特許を取得している。前者については別にこの技術を使ってもライセンス料は発生しないが、当たり前だけれど同じことで特許を出願することはできない。
一方、後者についてはもし実施していたら特許権の侵害になる。特許についてはまた改めて書こうと思う。難しいので、こちらの間違いもあるといけないので。
こんな風に、実験を進めて基礎研究の成果を論文にするだけではなく、特許として公開するという手もある。ただし、特許には弁理士の方々の力が必要で、出願そして審査請求と進めるには予算が必要である。これを研究費で出すわけではないので、やはり特許の場合には、ビジネスに発展しそうな技術や成果のみに限定されることが多い。
微細藻類のバイオプラスチック生産も、いつの日か工業レベルに達することを目指して、日々研究に勤めている。
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