イクラは当然鮭の卵であるが、実際には鮭だけではなく鱒の卵なんかも食べるらしい。イクラは魚から取れるものであるが、人工のイクラも作れる。人工イクラは食品としても売られている。
この人工イクラをどうやってつくるかというと、アルギン酸という糖を使うのである。
アルギン酸は、褐藻(例えば昆布)などの藻類から取れる多糖である。これらは食品添加物として実際に売られているし、食品にも使われている。増粘剤、ゲル化剤として使われている。
アルギン酸Wikipedia
アルギン酸ナトリウム塩を水に溶かして、アルギン酸水溶液を作製する。濃度は1%~5%くらいでよい。なかなか溶けないので、辛抱強く攪拌するか、軽く熱をかける。
また、カルシウムの水溶液(塩化カルシウムや乳酸カルシウム)を別に作製する。こちらは10%くらいの濃度で作製する。
作ったアルギン酸水溶液をピペットで吸って、カルシウム水溶液に滴下していったのが下の動画である。
このように、カルシウム水溶液にアルギン酸が触れると、アルギン酸カルシウムが形成され、人工的な膜を作って球状になる。
ちなみにアルギン酸水溶液に青色が着いているが、これはフィコシアニンという食用色素である。フィコシアニンは別の記事に書いているが、シアノバクテリアや紅藻から取れる食用の青色色素である(藻類から取れる食品添加物のコラボである)。アルギン酸は白色なので色はない。
このように、藻類は食品そのものとしてだけではなく、さまざまな食品添加物を合成することもできる。食品添加物というと、なんか化学合成で体に悪いイメージがあるが、このように藻類から天然の食品添加物を取ることもできるのである。
科学の実験としても面白いので、物事を多面的に捉え、いろいろな分野に応用して欲しいと考えている。
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