2018年2月8日木曜日

ひさしぶりにICUを思い出してみる。no.3

ひさしぶりにICUを思い出してみるno.3である。

1年生はELPという英語の授業が大半を占め、ひたすら英語の勉強をさせられるのが国際基督教大学(ICU)教養学部であった(ICUには教養学部しかない)。受験勉強が終わり、大学に入学してさあ遊ぶぞ!なんて思ったら、全然遊べないじゃないか!というのは明治大学農学部だけではない(笑)

1年生は英語授業に加え、数学や生物学などの基礎科目の授業がある。また、特徴の1つが一般教育科目(General Education)で、通称ジェネードと呼ばれる科目である。

この一般教育科目(ジェネード)の特徴は、まずキリスト教概論に加え、自然科学、人文科学、社会科学などの授業を満遍なく取らなければならないことである。最終的に生物学を専攻した私だけれど、音楽の世界や西洋の劇場などなど全く異なる分野の授業を履修することになる。

また、その特徴が3年生の終わりまで一般教育科目があることである。普通は1年生で一般教育科目がだいたい終わりでより専門的な授業に入っていく。ところが、そこが教養学部(リベラルアーツ)の特徴で、一般教育科目の割合がものすごく多いのである。

これがリベラルアーツの良さであるのだけれど、どのくらい効果があるのかは正直わからない。そういった意味では、真にリベラルアーツの意味を理解していないのかもしれないが、少なくとも専門の授業が少ないので、大学院などへ進学するのに大変な思いをしたことは間違いない。

「キリスト教概論」の授業のディスカッションの際に、「もっと専門に偏って広く学んでもいいのではないか?」という意見を教授にぶつけたこともある。例えば生物学専攻ならば化学、物理、数学などいくらでも学ぶことがある。

これに対する返答は、「私はそうは思わない」というものであった。特に理由はなかった。ケースバイケースであるし、コントロールが取れるわけではないので、正解はわからないし、未だに答えは見えていない。教養学部とはそういうものであるとしかいいようがないかもしれない。

ちなみに我らが農芸化学科は、まさに専門分野を広く学んでいるのではないかと思う。化学・生物学を中心に、しかし、食品化学、微生物学、分析化学、環境化学、物理化学など少し特殊な分野が目白押しで勉強する範囲が広い。

要するに学生時代に私が主張していたことは、まさに農芸化学のように分野をせめてもう少し絞って広く学ぼうよというものである。そういった意味では、私は農芸化学に合うのかもしれない。。
(これは明大生田キャンパスの食堂の写真。ICUではない。)

では専門分野はどうするのかといえば、なんとパンフレットには専門的な研究は別の大学院でやってくださいと書いてあるのである(今のパンフレットは知らない)。リベラルアーツカレッジとは、徹底的に広く勉強し、勉強する方法を身に付けるところであって、研究をする場所ではないというスタンスである。

このため、専門分野の勉強は、だいたい他の大学の1年分位少ないというのが印象である。すなわち、よその理学部生物学科の2年生の内容を3年生でやっている。このため、大学院で外部に進学などをして外の人々と接すると、ICU生はまず壁にぶつかる。

自分たちは優秀だと思っていたのに、専門分野の勉強が1年分位少ない。そうすると専門的な知識が少なすぎて、なかなかその分野で成果を挙げることができない。そうすると、時として馬鹿にされたり、叱られたりするのである。

ここでだいたい専門分野から逃げ出そうとして、急に英語の試験を受けてみたり、留学を考えてみたり、ボランティアをしようという出すのもICU生あるあるだった。ようするに専門分野での負けを認めたくないのである。

この壁を突破できるかどうかで教養学部の真価が発揮されると思っている。専門分野で追いついた時には最初の幅の広さが役立つことだと思う(多分)。

このように、専門分野の授業が少なく、一般教養が多いのがICUの教養学部であり、卒業して他の大学の人と接するとかなりのギャップに驚くことになるのである。ここを突破できるかどうかで、教養学部の真価が問われると言っても過言ではない。

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