我々は明治大学に所属して研究をしている。すなわち、等研究室で研究をしている人は、いわゆるアカデミックの研究者ということになる。
アカデミックの研究者にとって、もっとも大事なものは「論文」である。これはおそらく異論のないところではないかと思う。
どんなに素晴らしい発見でも論文として発表しなければ、「科学的な発見」として認めてはもらえない。学会発表なんかでもダメではないけれど、やはり公式に認めてはもらえない(ただし、分野による)。
ところが、論文というものはものすごく時間と労力と予算がかかるものである。
特に生物の実験系だとかなり多くが、修士課程の修了時点で論文がなく、その後も論文がでないまま就職する。自分自身も、最初の論文が出たのは博士課程2年生の時である。
さらに現在、明治大学農学部農芸化学科では、修士課程に進学する学生がおよそ3割しかいない。うちの研究室でもだいたいその割合である。
それでも頑張って学部で論文を出してくれて、すばらしいと思う。なので、まずは論文を目標にはしているのだけれど、全員が原著論文を目標にするというのは、20数人をかかえる研究室としては現実的ではないかもしれない。
ちなみに、成果が挙がらないと途端に「論文なんていらない!」と言い出す人がいるのは、20年前からたくさん見てきている。やはり優秀な人はどのような場所で限られた期間であっても、それなりの目標を達成する。必ずしも論文である必要はないが、やはり計画を持って何かの成果を残す努力をした方がよい。成果・結果の出し方を学ぶことができる。
論文以外のの目標として何があるかというと、うちの研究室では「特許出願」も大事にしている。特許は特殊な世界であり、考え方がアカデミックとも一般の営利企業ともまた異なっているので、非常に勉強になると思う。明治大学に着任してから、早くも4件の特許出願を達成した。3年足らずにしては結構なペースだと思う。ただし、特許出願は大学の費用の問題があり、次から次への出願できないところがネックでもある。
他の目標としては、「学会発表」も言うまでもなく
大事である。生物工学会や農芸化学会にいけばわかるが、発表するのは別に大学関係者だけではない。就職しても発表する機会もあるだろうし、そもそも自分の仕事・商品・サービスを人に説明するのは研究だろうが、営業だろうが、事務だろうが変わらない。
また、人的交流を通したコミュニケーション能力の強化にも役立つ。
ただし、上で述べた通り、生物系だと学会発表のみであると少し成果としては弱い。学会発表だけでは、公式に認めてもらえないことの方が多いと言っても過言ではない。できればもう一段階進んだ何かを残して欲しいと考えている。
という時にでは何で残すか、発表するか?であるが、一つの手は和文でもいいので文章にすることである。私自身も和文の雑誌やオンラインジャーナルに寄稿することもある。皆がアクセスできるように文章化することは大事である。
また、迅速に、かつ広く見てもらうために導入したのがSNSでもある。別の記事でも書いたが、論文の遅さと就職までの期間がマッチしない。そのため、SNSなどで発表するという手段である。現時点では、「インスタで発表しました」は認めてはもらえないが、そのうちそういう時代もくるのではないかと思っている。
こちらはインスタで発表したクロロフィルキャンドル。科学的な重要性は・・・ない笑
どのようなビジネス書を読んでも「SNSを育ってておくこと」と書いてある。いうまでもなく、無料の広告メディアである。最近は、某ピザチェーンや某ファーストフードなどの関連のことを呟くと、すぐにリプライ・リツイートされる。「会社の広報」の仕事も変わってきていると言えるだろう。そのような練習にもなると思う。
ただし、この目標設定は変化していくので、常に柔軟に考えていかなければいけないと思っている。
アカデミックの論文のインパクトファクターなんかの話になると、研究者間でも「トップジャーナルに出すべきだ!」「インパクトファクターなんてくだらない。本数だ!」なんて喧嘩していたりする。
私の経験では、
「インパクトファクターが10前後以下の雑誌はカウントしない」、「論文は本数が大事」、「そもそも論文なんていらない(実用化が大事)」
などの意見に接している。
ようするに、評価は多様であり、目標設定も時と場合によって考えていかなければならないのである。
「インパクトファクターが10前後以下の雑誌はカウントしない」、「論文は本数が大事」、「そもそも論文なんていらない(実用化が大事)」
などの意見に接している。
ようするに、評価は多様であり、目標設定も時と場合によって考えていかなければならないのである。
もちろん、大目標である「生命のメカニズムの解明」、「二酸化炭素からのものづくりで環境負荷の低減」などを見失ってはいけないのであるが、短期的な目標は人や状況に応じてうまく設定していかなければいけないと考えている。
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