2018年2月26日月曜日

【連載】PIのつぶやき No.4 〜タイムカプセル〜

【連載】PIのつぶやき No.4の副題は、タイムカプセルである。

タイムカプセルといえば、例えば小学校の卒業記念に自分の夢や大事なものをみんなで校庭に埋めておき、大人になってから掘り起こすというものだろう。やったことはないのだけれど。。

タイムカプセルとは、未来の自分に向けたメッセージと言ってもいいと思う。

このブログもやや説教じみてしまっているが、同じことを狙っている。自分にではなく、読者、特に学生に対してであるが(とはいえ、自分にも役立つかもしれない)。

このブログでもそうだが、実力と目標のバランスをうまく調整するとか、心と体の健康が大事とか、説明責任だのコミュニケーション能力を鍛えよだのいろいろ言っている。

自分は今大学教員の立場だけれど、じゃあ学生(学部生・大学院生)のころにこれらのことを教員からたくさん言われたらどうかと想像すると、「そんなの知ったこっちゃない!」と大半のことはスルーすると思う。

その時々で、自分でいっぱい考えていることがある。また、健康や安全、判断力やコミュニケーション力、努力が大事など、言ってしまえば当たり前である。だから、大人への反発という面を差し引いても「そりゃそうでしょ!」で、読んだとしてもそれなりに流すと思う。

それだったらなんでメッセージ的なものも書いているのか?と言われれば、それはタイムカプセルを仕込んでおきたいからである。人にたとえてスリーパー(休眠者)と呼んでもいい。漢字にすれば時限作動装置である。

前回の20代前半から半ばで、実力と目標のスキマに悩んでしまうというのも、多くの人が経験することである。自分も非常に苦しんだ。

自分が実際にそのような経験をした時に、例えば前回の記事をふと思い出してもらえればよいのである。思い出すことによって、「ああ、みんな経験するものなんだ。私がおかしいわけではないんだ。」と思って、心身が破綻しないようにしてほしいのである。これがタイムカプセルの意味である。

人間の思考というのは、どうしても自分に都合のよいことに向いてしまう。また、自分という特別な存在は、根拠もなく幸せになると思ってしまう。悪いことではないが。

ところが現実はそんなに甘くなく、根拠のない楽観的思考・願望を叶えてくれるほど甘くない。むしろ、思い通りにならないことの方が多い。このような状況の時に、「いかに壊れないか」が大事であると思っている。

はじめて原著論文を投稿する時なんかにもこの傾向は顕著であり、私としてはタイムカプセルを渡しておく。何かと言えば、「すぐにアクセプト(論文採択)なんてありえない。ほとんどリジェクト(不受理)で、すごくよくてリバイス(採択のために追加実験を要求されること)。」と必ず言う。現実的にそうであるので。

しかし、そうは言っても、心のどこかで「自分の論文はすぐにアクセプトされて、世界から賞賛されるのではないか!?」という願望を持っている。そして、すぐに採択されない現実に遭遇すると、心身のバランスを崩すのである。過去の自分が完全にそうだった。

ということで、プロトコールのようなものは別にして、このブログでの説教じみた助言は、将来必要な時にタイムカプセルのように作動して、心身の健康を保つのに一役買えば十分であると思っている。

こんなことを考えながら、大学教員の立場でブログを執筆している。

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