年度末の今は卒論・修論・D論(博士論文)の添削が佳境かと思う。すでに提出済みの人もいるかと思うが、提出後・審査後の修正も大事である。
卒論・修論などを添削していると「科学の文章におけるよくある間違い」がある。「論文の書き方」カテゴリーに原著論文の書き方があるが、今回は卒論・修論でよくある意見を掲載したい。
□チェック1 文章を直されて、感情的になっていないか?いきなり科学と関係ないが、人間同士でなんどもやりとりをするのが卒論・修論である。たくさん直されると、「人格を否定された気分」になってしまい、喧嘩になったり、落ち込んだりすることも多々ある。
文章の改良の話をしているのに、言い方・伝え方の話になってしまうことが割とある。まずは自分をみつめて、感情的になっていないことを確認するのが第一歩である。
□チェック2 自分で推敲した後か?どんな文章にせよ、書き上げるのは大変である。教員だって文章を書いている途中では投げ出してしまいたい気分になる。正直、必ずなる。それくらい文章を作り上げるのは苦しい。
よくあるのが、「イントロ(序論)だけ書いたので添削してください」、「ディスカッションはまだです・・」など、途中で渡すパターンである。
この段階で渡しても、たいてい誤字脱字だらけだし、あとで結果の順番や論旨そのものが変わったりして、原型が跡形もなくなってしまう。
苦しいかもしれないが、「自分で完成させて、さらに何度も推敲したものが初稿」である。
私を含め、教員の文章と言えど、最初に書き上げたものはとても人には見せられない。推敲からが勝負である。
□チェック3 序論:大きい話から小さい話の順番になっているか序論では、いろいろな文献を調べてそれらをまとめていく。ゼロから作っていくので、とてもたいへんな部分である。
序論を作り上げた後、「大きい話→小さい話の順番になっているか」をチェックする必要がある。
環境問題→二酸化炭素と地球温暖化→二酸化炭素と光合成→光合成と藻類→シアノバクテリア→Synechocystis sp. PCC 6803(シアノバクテリアの一種で実験に使った属・種)
という感じで話を作る必要がある。自分が実験で使っている生物の話をつい最初に持っていってしまいがちなので注意が必要である。
□チェック4 序論:文末にすべて引用がついているか?総説ばかり引用していないか?引用はすべての文につけるのが原則である。「地球温暖化が問題になっている」くらい壮大だったらいらないかもしれないが、「本実験で用いた◯◯という生き物は◯◯という特徴をもつ」などの紹介からは厳密にはすべて引用をつける。
また、総説・Review(まとめ記事)ばかり引用するのもよくある改善点である。個別の事実は、原著論文を引用するのが原則である。これはかなり大変だけれど、この点を見ると完成度の差がすぐわかる。卒論だとそこまで注意されないかもしれないが、修論以上では必須である。
No.2につづく
0 件のコメント:
コメントを投稿