一昨日論文のリバイスを投稿した。リバイスとは、投稿した論文が査読(審査)を受け、それに基づいて論文を修正することである。
昨今はこのリバイスが厳しすぎて、場合によってはリバイスに1年以上かかることも珍しくない。長くかかる実験を要求され、しかもリバイスをしたからといって必ず論文がアクセプト(採択)されるわけではない。まさに研究者の勝負所である。
一昨日のリバイスはそんなに厳しくないので、おそらくこれでアクセプトになるのではないかと思う。そんなに高いレベルの雑誌ではないが、一応フルペーパー(速報や短報でない論文)。I.F.が最近落ちてきて、3点台になっている雑誌。一昨年まで確か5点台だったのだが。まあ、いいけれど。
さて、僕の方針で、うちの研究室ではフルペーパーで、I.F.が3か4以上の時はプレスリリースを書くことにしてる。プレスリリースとは、堅苦しく言うと報道発表だが、要するに、論文を日本語でわかりやすくして公開することである。
こちらはJST-ALCAのホームページのプレスリリース集
基本的には筆頭著者がプレスリリースの文章を書いて、僕が直すことになる。それを関係各所に送って、また直す。結構大変な作業である。
さてなんでこんな大変な作業をいちいちするかというと、いくつか理由がある。大きく分けて2つあると思っている。
1. 自分の研究をわかりやすく伝える練習
自分の研究を他分野の人に伝えるのは、とても難しい。専門用語が出てきたらいちいち解説しなければ意味は伝わらない。しかし、説明が長ったらしければだれも聞いてくれない。一方、あまりにも単純化しすぎると、うそになってしまう。ちょうどいいバランスで、ポイントだけ抑えるのはとても難しい。
自分のやっていることを説明することは、仕事ではとても大事だと思っている。仕事 is 説明責任。仕事とは、自分がやっていることを人に説明することだと、研究室でもよく言っている。この練習である。
また、そもそも仕事を得るための就職活動でも、説明が必要なのはいうまでもない。ということで、自分のやっていることをわかりやすく説明する練習である。
2. 異分野、特に企業の人に向けた研究成果の発信
原著論文は確かにオンラインで読める。しかし、原著論文をわざわざ読むだろうか?原著論文をいきなり読むのはかなり近い分野の人である。なので、PubmedやGoogle Scholarで検索できますというだけでは、論文が発表されたことすらほとんどの人が知らない。
また、研究成果というものは、他の人が見ると全く違う使い方を思いつくことがある。なので、少しでも多くの人に見てもらうと、研究が意外な広がりを見せることがある。
最近、企業との共同研究が増えているが、企業からの問い合わせの8、9割方はプレスリリースを見た連絡をしましたというものである。すべてがものになるわけではないが、今年もすでにこの話の流れから共同研究に発展している。
ということで、1は教育として、2は研究として有効であるため、ひと頑張りしてプレスリリースをすることにしている。また、その3としては、プレスリリースされて大学のHPに載ったり、新聞に掲載されたりすると、本人たちもやっぱり嬉しいし、モチベーションの向上につながることもある。
いや、ほんとに結構大変なのだけれど、教育にも研究にも役立つのならば仕方ない。頑張って日本語の文章を書くのも大事なことである。。
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