2019年6月7日金曜日

昨日はプレスリリース。バイオプラ増産遺伝子について。

昨日は新しい論文のプレスリリース(報道発表)を行った。

https://www.meiji.ac.jp/koho/press/6t5h7p00001d3vpa.html

シアノバクテリア(ラン藻)は窒素欠乏時にポリヒドロキシ酪酸(PHB)という物質を蓄積する。これは生分解性のポリエステルである。すなわちバイオプラスチック原料である。

今回の論文では、このPHBを増やすタンパク質として、NtcA(エヌティーシーエー)というものを発見した。このタンパク質は転写因子であり、窒素のグローバルレギュレーターとして知られている。要するに、窒素の栄養状態を感知して、数多くの遺伝子の転写を制御する司令塔である。

この論文では、NtcAの過剰発現(細胞内でタンパク質を増やすこと)で窒素欠乏時のPHB量が2〜3倍に増加することを明らかにした。

また、単にPHB量が増加することを示しただけではなく、メタボローム解析を行い、代謝の全体像を明らかにしている。さらに光合成や呼吸の活性も測定し、遺伝子改変株の電子伝達の変化も明らかにした。

論文は3月に卒業した1期生の有坂さん(元M2)と同じく1期生で2年前に卒業した寺原さん(元B4)がco-first(共同筆頭著者)として発表した。有坂さんはこれで3本目の筆頭著者論文となる。本当にすごいことだと思う。

1期生がラボを作ってくれて、続く2期生、3期生もシステムを構築してくれた。これによって、現在後輩たちはとてもうまく研究を進めていると思う。初期メンバーは本当に大変だったと思うが、立派に成果を挙げてくれた。

論文を1本出すのは本当に大変。想像を絶するくらい大変なのだけれど、こうして1つずつ世の中に研究成果が出ていくことは喜ばしい。先生の仕事は増える一方だけれど、まあ頑張ろう。。。

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