2019年6月26日水曜日

よく言われる異動の噂について

明治大学に赴任して5年目に入った。忙しさは変わらないけれど、最初の頃の講義や実習と研究室を立ち上げながら全ての業務を覚えていくという忙しさはなくなった。

赴任当初からよく言われていたことの一つに「明治大学に着任したけれど、国立大学などへの異動は考えているのか?」というものがある。そもそも異動することが前提で、「いつ異動するの?」なんて聞かれることもある。今もたまに言われたりする。なんでそんなに言われるんだろう?というくらいよく言われる。

結論から言うと「異動する気は全くない」である。。

確かに日本では、研究は国公立大学がとても強い。医学部を含む一部の私立大学を除くと、研究といえば国公立大学となってしまうかもしれない。また、うちもそうだが、私立大学の場合、一研究室に一教員のことも多く、助教などがいないため、教員が全てをこなさなければならない。担当講義・実習数も多い。これも研究が大変な要因の1つである。

しかし、異動する気がない理由には以下のようなものがある。

1. 最先端の組織に行くのではなく、自分がいる場所を最先端にする。
いきなりめちゃくちゃおこがましいことを言っているのだけれど。そもそも研究はそれぞれの分野において個人の研究成果で評価される。たとえば東大に行ったからといって、自分がその研究領域で一番になるわけではない。なので、自分がいるところを最先端にするという意識があれば、結局どこにいても同じではないかと思う。

担当講義数やスタッフに違いはあるので難易度に差があると思うが。でも、国公立大学もそれぞれの大変さがあるので、私立大学だけが大変なわけでもない。多分昨今は特に。

また、忙しくはあるが、本学はコマ数などを考えると研究ができないというほどではない。獲得した間接経費を結構な割合で研究室に返してくれるなどの素晴らしい処置もあるので、本学は比較的恵まれていると思う。

2. 学生の質が素晴らしい。
何と言ってもこれに尽きる。
異動してきて今に到るまで、色々と学生に指導しているが、一番衝撃的だったのがこれだと思う。研究所にいたのでしばらく学生と接していなかったのだけれど、

「え、学生ってこんなに優秀なの?!」

というのが赴任してから今に至るまで変わらぬ感想である。いうまでもなく、学部生は最初は知らないことだらけだが、少しやり方さえ覚えていけばどんどん自分で調べて研究するようになる。うちの研究室では、修士課程ともなれば、こちらは教わる方にすらなってしまう。

赴任前は学生の教育ですべてが終わり、研究ができないかもと思っていたが(それでもやるつもりだったけれど)、全くの嬉しい誤算だった。これからも自分が敵わないと思える学生たちを輩出していきたいと思う。

3. 周りの先生たちが優しい。
いや、ほんと優しいので、最初の1年間くらいは壮大なドッキリでも仕掛けられているのではないかと思った。。実は採用は間違いで1年後にクビになるので優しくしてくれているのではないかと疑心暗鬼になっていた(←曲がった人生を歩んできた証拠)。

農学部の伝統として、新人の先生を優遇するという方針も貫かれているし(普通なら偉い順に優遇されることだと思うが、これが違う。これには本当に驚いた)、多方面ですごく配慮してくれるし、昇進したらいきなりお酒をいただいてしまったりするし・・。学科内だけでなく、学部内や場合によってはそれ以外の先生・事務方も目をかけてくれている。

他にも色々理由があるが、異動する気は全くない現在である。。

すべてがハッピーなわけではなく、日々大変なことが次から次へと色々あるのは間違いない。それでも、本学に赴任できたことは途轍もない幸運に恵まれたと思っている。

ということで、これからも明治大学の発展にどんどん尽くしたいと思う。もちろん、それはただ付き従うだけではなく、「教育にも研究にもならない業務は減らそう」など、いい顔するだけでなく厳しい意見も述べていかなければいけないと思っている。上記のように、本学ではとても良くしていただいているので、今後も教育、研究をがんがん進めて、より貢献できるように頑張りたいと思っている。

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