2021年3月19日金曜日

生化学と代謝工学の融合

ひさしぶりに研究の話。



昨日ポスドク飯嶋さんの論文が、大学のHPからプレスリリースされた。

https://www.meiji.ac.jp/koho/press/6t5h7p00003akjuu.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

Metabolic Engineeringというそのまんま代謝工学という名前の雑誌である。。3人のレビューアーに2回もリバイスをやらされて、本当に大変だった。


今回は、クエン酸回路の酵素であるリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH, 遺伝子名citH)を過剰発現させてコハク酸を増やした内容である。生物は、シアノバクテリア(ラン藻)で最もよく使われるシネコシスティス(Synechocystis)。


なぜこの酵素に着目したかといえば、昔1期生のTくんが生化学解析をしたから。

https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2018/6t5h7p00000rudis.html

教科書で習うクエン酸回路では、フマル酸→リンゴ酸の方向で炭素が流れる。MDHは、実はどの生物でも反対方向のリンゴ酸→フマル酸の活性が強い。


しかし、シネコシスティスのMDHは、これまで知られているどの生物と比較してもこのリンゴ酸→フマル酸に偏っていた。


発酵でコハク酸を作るときには、リンゴ酸→フマル酸の方向で炭素が流れるので、じゃあこの酵素を過剰発現したらとなった。


他にも培養方法の工夫などもふんだんに盛り込まれている。単純に育てて発酵させればいい訳ではない。

条件検討がすべてといっても言っていいくらい大変である。ここをポスドク飯嶋さん&テクスタ渡辺さんのコンビでこなしてくれた。

2人は理研時代からずっと一緒に働いている。長い付き合いである。。


今回はコハク酸だけでなく、フマル酸やリンゴ酸の生産も。まだまだ生産量は欲しいが、着実に生産効率が上がっている。


何はともあれ、1つ仕事が片付いてよかった。


二酸化炭素をベースにしたものづくりをこれからも進めていこう。





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