2017年10月27日金曜日

微細藻類とは?(2)ユーグレナ

環境バイオテクノロジー研究室では、シアノバクテリア以外の研究も行っている。シアノバクテリア以外の研究対象の1つがユーグレナである。



ユーグレナは、別名ミドリムシとして知られている。細胞長がおよそ10〜30 μmの単細胞真核藻類である。小学校の頃にため池から水を汲んできて、顕微鏡で観察したことがある人もいるかもしれない。

ユーグレナは、現在、株式会社ユーグレナによって健康食品として工業的に生産されている。科学未来館などてでミドリムシクッキーとして販売されてテレビなどのメディアで紹介されて火がつき、その後、ジュースやお菓子、ハンバーグなどにもミドリムシが入れられて、商品の話題性の向上に一役買っている。

ユーグレナは、藻類であるため光合成を行うことができる。真核生物なので、葉緑体やミトコンドリアなどのオルガネラを有する。その他、赤い眼点という組織を持つなどの特徴がある。

鞭毛を有することで水中を移動することができる。また、ユーグレナ運動という独特のねじり運動が可能であり、細胞の形を自由に変化させることができる。

ユーグレナは食品として知られているが、株式会社ユーグレナやその他の企業がコラボレーションして、ジェット燃料の生産にも応用されようとしている。

当研究室では、ユーグレナが嫌気条件(酸素がない条件)で、コハク酸を生産することを発見した。コハク酸は、クエン酸回路の代謝産物として知られているが、実はコハク酸はプラスチックの原料となるのである。クエン酸サイクルといえば生物を選択する高校生は覚えるので、コハク酸は高校生でも知っている物質になる。しかし、このコハク酸がプラスチック原料となることは意外と知られていない。

このように、環境バイオテクノロジー研究室では、ユーグレナを用いて二酸化炭素を原料としたプラスチック原料の生産を行っているのである。さらに生産量を向上させる方法の開発を行っている。

ミドリムシからプラスチックなんて説明すると、多くの場合非常に驚かれる。ユーグレナのポテンシャルはまだまだいっぱいあるのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿