2018年9月20日木曜日

ポスドクやテクスタの採用方針について No.5

ポスドクやテクスタの採用方針について No.5。

書類選考についての続き。

基本的には仕事としてしっかり働いてくれる人をセレクトするのが書類選考。当たり前といえば当たり前。

他に見るのがどこかと言えば、


仕事(科学、研究、実験)が好きかどうか


だろうか。次回募集をかけるとしたら、今までよりもこの基準を重要視すると思う。

こんなことを言うと、「何言ってんだ!好きに決まっているだろ!」と条件反射で言い返す人も多い。

研究職ではなくても、「研究・科学が好きです」、「実験大好き」という人はたくさんいる。

なので、この業界の人ならば、ほとんどの人が仕事を好きだと言うと思う。志望動機を書くとなればなおさらのことで、例外なく研究や科学、実験が好きですと言ってくる。

でも、どうか冷静になってほしいというのが、私の意見である。本当に冷静になって自分を見つめ直してほしいと思っている。

実際にいろいろと出会った研究職の人でも、「この人って、研究・科学・実験のどの部分が好きなんだろうか?」と首を傾げたくなる人は、意外に多い。もちろんその人の心の中の問題なので、本当のことはわからない。でも、全然好きそうに見えない、この仕事をしていて楽しそうに見えない人は結構いる。研究なんてそんなにすぐには進まないし、仕事としてしまうと苦しいのはわかる。自分もそうであるし。

それでも、どう考えても、自分の進んだ道を正当化して、好きだと自分に言い聞かせているだけにしか見えない場合もあるような気がしている。大学の研究室で実験という仕事なので、なんとなくこれまでの延長でこの仕事を選んでしまう人も多いように思える。選んでしまったので、自分の道を必死に肯定しているように見える。

ようするに、新入社員が就職したての頃に「うちの会社が一番!最高!」と言っているのに近い。そのうち魔法は解けるけれど。

別に仕事が好きでなくても良いのだけれど、お金のためだけだったら、モチベーションもあまり高くない。正確に言うと、持続しない。その仕事が好きな人は、自然と勉強したり、新しいことを学ぼうとする。そして、そういう姿勢は周りにも良い影響を与える。

本当に好きでないと、アカデミアは待遇も良くないし、だんだん苦しくなってくる。そして、長期的にはあまり成果も上がらないし、周りにも良い影響を与えない。どんどん苦しくなっていく。

大学での研究の仕事なんて、極めて特殊な仕事だし、べつに好きでなくても問題ないと思う。みんながみんな科学や研究を好きでなければいけない理由もない。

なので、今一度、自分は本当に研究の仕事(科学の仕事、実験の仕事)が好きなのか?を自問して欲しいと思っている。


実を言うと、自分も純粋な基礎生物学者であるとは思っていない。生き物の仕組みはとても素晴らしく感心させられるが、メカニズム解明だけで終わらせたくないのが、自分の好みである。

生き物のメカニズムを解明しつつ、それをどうやって社会の役に立つ技術に使えるか、さらにビジネスに発展させられるかを常に考えている。そこまで考えた上で、自分は自分の仕事をすごく気に入っている。分子生物学で1つの遺伝子に一生をかけるようなやり方だったら、自分はこの仕事を好きにはなれない人間である。


もちろん、好みの問題であり、どれが正しくてどれが正しくないなんてことは全然ないと思う。好みがそれぞれだなんて当たり前のことなのだけれど、なぜか応用展開が好きと宣言すると、攻撃してくる人がいるが・・・。

それはともかく、自分はじっくり考えた上で、上記のような位置づけならば、研究という仕事が大好きであるという結論に達した。そして、今に至る。

また、研究や科学ではなく、実験そのものが好きでもいいと思う。うちのテクスタであるSさんは企業からの転職組である。いろんなことをやってもらっているけれど、分析の仕事を任せたら、機械の調子が悪く、うまく分析ができないような時でも、嬉々としてHPLCを分解して修理している(笑)

ちなみに、これまでにHPLCを扱った経験はない。でも、自分でどんどん調べて、総じて楽しそうに仕事をしている(もちろん、仕事なので基本は大変であることは言うまでもない)。ああ、テクスタに向いているな・・としみじみ思う。

ということで、好きこそものの上手なれであり、仕事内容を楽しめそうかどうかが、選考でとても大事であるという結論に至った。いろんな人を雇用した経験から得た選考基準あり、(すごく偉そうだけれど)何よりも応募者のためだと考えている。

でも、こちらから見抜くのは難しく、書類でも面接でもよくわからない。どうすれば本当に好きかどうかを見抜けるかは、次の採用の機会までに考えたいと思っている(いや、無理かもしれないが。。。)。

No. 6に続く。

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